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韓国「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」(韓国RoHS法)改正および施行令の改正案
2020年09月25日更新
韓国「電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律」(韓国RoHS法)が2020年5月26日に改正・施行され、その細則を定めた施行令案が2020年7月10日から10日間再立法予告され、関係者からのフィードバックを行った上で2021年1月1日実施予定です。
いわゆる韓国RoHS法は、EUのWEEE、RoHS、およびELVを一つにしたような法律です。
以下に今回の主要改正(予定)内容を説明します。
1.改正の目的等
今回の本法の改正は、「法律用語の整備のための環境労働委員会所管65の法律の一部改正のための法律」の施行を受けての用語等の微修正ですが、施行令の改正案(再立法予告)はEU/RoHS(Ⅱ)規定を準用したもので、重要な変更が含まれています。
特に下記「2.改正内容」の5)、6)、7)が海外から韓国への輸出を行っている(行う予定の)企業にとって影響が大きい変更点となりますが、内容はEU/RoHS(Ⅱ)に準拠したものですので、製品のEU対応ができていれば問題は無いと思われます。
改正の目的は、「国際的な環境基準を国内の環境法令にも適用することにより、国内製造業の対外競争力向上、有害物質の使用制限および環境汚染の予防による国民の健康に及ぼす潜在的なリスクを最小限に抑えること」とされています。
2.改正内容
今回の施行令の改正案は9つの改正項目が含まれていますが、影響が大きい改正点は対象有害物質の追加、対象製品の追加、および適用除外の変更です。
以下に改正点を一つずつ説明していきます。
1)有害物質の使用制限対象電気・電子製品の除外用途を追加(第8条)
EU/RoHS(Ⅱ)規定と業界の意見を反映して以下の除外用途を追加する。
・国家安全保障に関する軍事機器
・大型産業機器および大型固定設備
・医療機器
2)回収・引取・リサイクル義務対象機器および回収義務対象機器の除外用途を追加(第14条、第15条-3)
EU/WEEE規定と業界の意見を反映して以下の除外用途を追加する。
・国家安全保障に関する軍事機器
・大型産業機器および大型固定設備
・医療機器
3)帳簿記録保存要件の緩和(第32条)
回収・リサイクル義務対象者の記録保存方法として、従来の製造・輸入管理台帳と買取・販売管理台帳に加えて、関連内容を確認することができる代替帳簿も可能なように要件を緩和する。
4)賦課金減軽、リサイクル原料の使用量減軽規定新設に伴う補足(第34条、第35条)
賦課金減軽とリサイクル原料の使用量減軽などの条項が2016年度新設されたが、これに関連する運営管理情報の処理、権限の委任及び委託根拠が用意されていないので補完する。
5)有害物質の使用制限対象の電気・電子製品の拡大(別表1)
自動販売機など23品目の電気・電子製品について、鉛及び水銀などの有害物質の使用を法定基準値以下に制限して、国内の製造や海外製品の輸入の際に発生する可能性がある国民の生活環境安全への有害な要素を予防する。
これにより従来の26品目と合わせて合計49品目が対象製品に指定されました。
従来品目と追加された23品目は以下です。
(従来品目):電気浄水器・電気オーブン・電子レンジ・生ゴミ処理機・食器乾燥機・電気ビデ・電気清浄機・電気ヒーター・オーディオ・電気炊飯器・軟水器・加湿器・電気アイロン・ファン・ミキサー・クリーナー・ビデオプレーヤーとDVD・携帯電話端末
(追加品目):自動販売機・ナビゲーション・有/無線ルータ・ランニングマシン・スキャナ・食品乾燥機・湯沸かし器・電気フライパン・映像ゲーム機・電気温水器・電気ポット・足浴器・ミシン・製パン機・除湿機・コーヒーメーカー・脱水機・トースター・フライヤー・ヘアドライヤー・ビームプロジェクター・電気マッサージ器・監視カメラ
6)電気・電子製品への使用制限有害物質としてフタル酸エステル類4種を追加(別表1-2)
EU/RoHS(Ⅱ)を反映して、従来の6物質に加えてプラスチック可塑剤として、人体に有害で、環境への負の影響を与える、
ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソブチルフタレート(DIBP)
のフタル酸エステル類4種を国内でも使用制限物質として追加する。
これによりEU/RoHS(Ⅱ)と同様に合計10物質が使用制限有害物質となります。
7)電気・電子製品及び自動車の有害物質含有基準の除外用途を国際環境基準(RoHS(Ⅱ)に基づいて整備(別表2)
有害物質の代替のための開発の遅れなどにより、一時的に規定した電気・電子製品及び自動車部品内の有害物質の使用制限の用途除外項目について、最近改訂された国際環境基準に準拠するために関連の国内基準を変更する。
最近のEU/RoHS(Ⅱ)における適用除外期限切れによる終了を反映した削除案、自動車エンジン廻り電子機器に使用される鉛はんだの除外規定新設案、フタル酸エステル類の除外規定新設案などが含まれています。
8)電気自動車廃バッテリーのリサイクル方法と基準などに関する規定の新設(別表7)
電気自動車廃バッテリーの安全かつ効率的リサイクルのために、その方法と基準などを告示で規定することができるように規定する。
9)有害物質の使用制限対象及び含有基準違反業者違反回数に応じて過怠料賦課金額を差別化(別表8)
法定有害物質の含有量基準違反業者への過料金額が回数に関係なく、3千万ウォンで同一であって、最初の違反業者と常習違反業者間の差がない不合理を改善するために違反回数ごとに過怠金を差別化して、最初に違反した者が自主的に申告した場合、過料金額の1/2の範囲内で軽減ができるよう改正し、法規制の実効性を確保する。
3.その他の注意点等
韓国の環境関連法規は最近改正が相次いでいます。 今回取り上げた韓国RoHS施行令も2020年1月1日施行でリサイクル義務履行対象製品を23種追加して合計50品目とする改正を行ったばかりであり、「化学物質の登録、評価等に関する法律」(韓国REACH)施行令(2020年7月24日施行)や「生活の化学薬品および殺生物剤の安全管理に関する法律」(韓国BPR)(2021年1月1日施行)などの改正も行われています。
環境関連の法律、施行令、規則等に関する改正案情報は環境部の環境法令立法・行政予告のHPで検索できますので、確認することをお勧めします。
(杉浦 順)
*1 電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律(韓国RoHS法)
*2 韓国環境部 ニュースリリース
*3 電気・電子製品及び自動車の資源循環に関する法律施行令(大統領令)再立法告知案
https://opinion.lawmaking.go.kr/gcom/ogLmPp/59713?opYn=Y&isOgYn=Y&pntcNo=2020&pntcNo2=646&btnType=1
*4 韓国環境部環境法令-立法・行政予告のHP
http://me.go.kr/home/web/index.do?menuId-68