当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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SCIPと加盟国法 その1

2021年02月05日更新

SCIP登録(通知)が2021年1月5日から義務化されました。 2021年1月11日の情報として500万件以上通知され、数か月以内に公開するとの発表がされました。注1)


混乱もなく運用が開始されているようです。 一方、弊所へのお問合せには加盟国法に関することが増えてきています。 UKのEU離脱で、フランス、ドイツなイタリアなどの英語以外の加盟国法の調査が難しくなっていることも背景にあると思います。


SCIPに関する加盟国法に確認にトライしてみます。


§1.WFD(指令(EC)2008/98)の本質について

廃棄物規制は、古くからの規制で過去とのしがらみもあり複雑で、EUでも変遷を経て今の基本政策を以下としています。


廃棄物管理に対する欧州連合のアプローチは、廃棄物政策を形成し、業務レベルで廃棄物を管理する際の優先順位を以下のように定めた「廃棄物階層」に基づいています。注2)

(1)廃棄物阻止(発生抑制)

(2)再利用の準備

(3)再生使用

(4)回収

(5)処分(埋立とエネルギー回収なしの焼却を含む):最も好ましくないオプション


WFDは2018年5月30日の改正指令((EU)2018/851)により、第9条1項(i)が追加されました。

(i)連合レベルで定められたこれらの材料および製品に関する調和のとれた法的要件を損なうことなく、材料および製品中の有害物質の含有量の削減を促進し、REACH規則の第3条の33項で定義されている成形品の供給者が、2021年1月5日から、第33条(1)に従って情報をECHAに提出する。

この条項によりSCIPデータベース登録が義務化されました。


§2.指令の国内法転換手順について

WFDは、指令ですから加盟国は国内法に転換して規制します。 転換期限が2020年7月5日でした。 指令の国内法の転換手順は、環境に関連する法規制は、欧州連合の機能に関する条約(Treaty on the Functioning of the European Union:TFEU)第192条の手順で行われます。注3)


第192条

1. 欧州議会及び理事会は、通常の立法手続に従って行動し、かつ、経済社会委員会及び地域委員会と協議の上、第191条にいう目的を達成するために同盟がとるべき措置を決定する。


第191条

1. 環境に関する連合方針は、以下の目的の追求に寄与するものとする:

-環境の質の保全、保護及び改善、

-人の健康の保護、

-天然資源の賢明で合理的な利用、

-地域的又は世界的な環境問題に対処するための国際レベルでの措置の推進、特に気候変動への対処。


2. 環境に関する連合の政策は、連合の各地域における状況の多様性を考慮して、高度な保護を目指すものとする。 予防措置をとるべきであるという予防原則及び原則に基づき、発生源において優先的に環境損傷を是正すべきであり、汚染者が負担すべきである。

この文脈において、環境保護の要件に対応する調和措置は、適当な場合には、同盟による検査の手続に従うことを条件として、非経済的な環境上の理由から加盟国が暫定措置をとることを認めるセーフガード条項を含む。


3. 環境に関するその方針を作成する際には、連合は、次のことを考慮しなければならない:  

-利用可能な科学的及び技術的データ

-連合の様々な地域における環境条件

-行動の潜在的利益及び費用又は行動の欠如

-連合全体の経済的及び社会的発展並びにその地域の均衡ある発展


第193条に加盟国による独自基準の設定が容認されています。


第192条に従って採択された保護措置は、いかなる加盟国も、より厳格な保護措置を維持し、又は導入することを妨げない。 そのような措置は条約に適合しなければならない。

それらは、委員会に通知されるものとする。


なお、RoHS指令などは、全加盟国の基準を同じにするために 、TFEU 第114条(単一市場(域内市場の物、人、サービスや資本に関する自由移動))手順で行われます。


§3.WFDの国内法の制定状況

TFEU第193条により加盟国の国内法を確認する必要があります。27加盟国の国内法は、英語記述が少なく、TFEU第291条の「各地域における状況の多様性を考慮」や「セーフガード条項」により、確認が難航しています。


調査できた加盟国法をご紹介します。


なお、指令の国内法転換状況は、“National transposition”のページで確認できます。 注4)


(i)ドイツ

ドイツはWFD(2008/98/EC)および修正法(EU)2018/851を受けて、2020年12月9日に「循環経済を促進し、環境に適合した廃棄物の管理を保護するための法律(循環経済法-KrWG)」(Gesetz zur Förderung der Kreislaufwirtschaft und Sicherung der umweltverträglichen Bewirtschaftung von Abfällen (Kreislaufwirtschaftsgesetz - KrWG))を改正し、規制をしています。注5)


KrWGの第1条(法の目的)でWFDの関係を示しています。


§1 法の目的 

(1)本法の目的は、循環経済を促進して天然資源を保護し、廃棄物の生成と管理において人と環境の保護を確保することである。

(2)この法律は、廃棄物および特定の指令の廃止に関する2008年11月19日の欧州議会および理事会の指令2008/98 / ECにおける欧州法の目的を達成することも目的としている。

(2008年11月22日のOJ L 312、p 3; 2009年5月26日のL127、24ページ; 2015年11月13日のL297、9ページ; 2017年2月18日のL42、43ページ)、指令(EU)2018/851(OJ  14.6.2018のL150 109ページ)の変更)


指令(EU)2018/851(WFDの修正指令)のSCIP登録(通知)の義務は、§7aとして追加されました。


§7a化学製品法 

(1)廃棄物の状態が初めて使用されなくなった物質および物体を使用する、またはそれらを初めて市場に出す自然人または法人は、これらの物質または物体が「化学物質および製品法」の該当する要件を満たしていることを確認する必要がある。

(2)第1項に記載された法的規定が物質および物体に適用される前に、第5項第1項の要件に従ったそれらの廃棄状態が終了している必要がある。


§7aの「化学物質および製品法」(Chemikalien- und Produktrechts)の要件は、「危険物質に対する保護に関する法律(化学法-ChemG)」(Gesetz zum Schutz vor gefährlichen Stoffen (Chemikaliengesetz - ChemG))第16条fとして追加されています。注6)


第16条f サプライヤーに情報を提供する義務

(1) 規則(EC) No.1907/2006(REACH規則)の第3条第33項の意味の範囲内で供給者として、同項の意味の範囲内の製品を配置する者は、指令2008/98/ EC(WFD)の第9条2に従って、2021年1月5日から欧州化学物質庁に規則(EC)第1907/2006第33条1項による情報を提供する。軍事目的の製品には適用されない。

(2) 連邦政府は、連邦理事会の同意を得て、データベースの連合レベルで策定された要件を考慮して、第1項で言及される義務が履行される条件を、どのように、どのような条件で満たすかをより詳細に決定することを、連邦理事会の同意を得て承認される。


ドイツは、WFDを循環経済法(KrWG)で受けて、KrWGでREACH規則に関する事項を化学法(ChemG)で決めています。 SCIP登録手順は、下位規定を定めるとしています。 この下位規定は確認できておりません。


次号でフランスやイタリアなどの国内法をご紹介します。


(松浦 徹也)


引用

注1:

https://echa.europa.eu/-/scip-duty-kicks-in-5-million-notifications-received-for-harmful-chemicals-in-products

注2:

https://ec.europa.eu/environment/waste/index.htm

注3:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A12016E%2FTXT

注4:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/NIM/?uri=CELEX:32008L0098

注5:

http://www.gesetze-im-internet.de/krwg/BJNR021210012.html#BJNR021210012BJNG000200000

注6:

https://www.gesetze-im-internet.de/chemg/BJNR017180980.html


お断り

説明を分かりやすくするために、機械翻訳により部分的に意訳用語を使っています。

法規制の解釈は必ず原文を参照してください。

なお、この説明は、2021年1月30に日までに入手した情報から作成しました。

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