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SCIPと加盟国法 その2
加盟国法の状況を前号に続いて説明します。なお、見出し番号は前号に続いています。
(ii)フランス
フランスは、法令データベースの環境規則(Code de l'environnement )のセクション1:化学物質に共通の規定(Section 1 : Dispositions communes aux substances chimiques )Article L521-5に規定があります。注7)
2021年1月20日版では以下となっています。
第一節 化学物質共通規定 (機械翻訳による意訳)
L521-5条
I. –混合物、成形品、製品又は装置に含まれる物質の製造者又は輸入者は、この物質へのばく露に関連する人の健康及び環境への影響に関する知識の進展を妨げない。
混合物、成形品、製品又は装置に含まれる物質の製造者及び輸入者は、これらの物質の影響の観察及び人の健康又は環境に対する新たな危険又は深刻なリスクの存在を明らかにする「科学的及び技術的知識の向上」のいずれかから生じる、これらの物質及びその使用の危険な特性に関する新たな情報を所管行政当局に通知する。ただし、この情報が規則(EC)1907/2006に基づく連絡の対象でない場合に限る。
II. –混合物、成形品、製品または機器に含まれるような物質の製造者、輸入者または川下使用者は、化学製品を支配する共同体規則によって課される義務を満たすために必要とされるすべての情報を収集する。
要請があれば、この製造者、輸入者又は川下使用者は、この情報を所管行政当局に伝達し又は利用可能にする。
III. -材料および製品中の危険な物質の含有量の低減を促進するために、欧州議会および理事会規則(EC) No 1907/2006(REACH規則)の意味での範囲内の成形品の供給者は、2021年1月5日から、規則第33条(1)に規定される情報を欧州化学物質庁(ECHA)に伝達しなければならない。
その開示が国防の本質的利益を損なうおそれのある情報は伝達されない。
(iii)イタリア
2020年9月3日の法令No116「廃棄物に関する指令2008/98 / ECを修正する指令(EU)2018/851の対応、包装および包装廃棄物に関する指令1994/62 / ECを修正する指令(EU)2018/852の対応」で、2010年12月3日法令No10の修正法が告示されました。注8)注9)
第180条(廃棄物の発生の防止)は、次に置き換える。
1. 廃棄物の発生防止を優先事項として、環境と陸海保護省が経済開発省と合意し、農林林業政策省は、全国廃棄物防止プログラムを採用する。
全国廃棄物防止プログラムは、そこで確立された廃棄物防止対策の実施を評価するための適切な定性的および定量的指標と目的を設定する。
2. すでに実施されている対策を損なうことなく、全国廃棄物防止プログラムには次のような対策が含まれている。
a)持続可能な生産および消費モデルを促進および支援する。
b)分解、修理、再利用、アップグレードが可能であり、寿命や計画的陳腐化の欠如などの耐久性があり、資源効率の高い製品の設計、製造、使用、および廃棄物から得られた材料の使用を奨励する製造方法 (以下略)
3. 2021年1月5日から、欧州議会及び理事会規則(EC) No.1907/2006第3条第33項に定義されている成形品の各供給者は、指令2008/98/ EC第9条(2)に従って同庁により確立された通知の形式及び方法を通じて、欧州化学物質庁に前記規則第33条1項にいう情報を通知する。
その後の環境省および領土と海の保護に関する法令により、保健省との合意により、物品の供給者から送信されたデータを分析する方法が確立する。
4. 環境と陸海保護省は、第2項で言及されている予防措置の実施を監視および評価している。
5. 環境と陸海保護省は、指令2008/98 / ECの第9条第7項に従って確立された方法論に基づいて、再利用に関する措置の実施を評価する。
(iv)スウェーデン
2020年6月25日に環境省令廃棄物規則(2020:614)が、指令2008/98 / ECの改正指令2018/851/EUに対応して改正されました。注10)
この規則は、廃棄紙、廃電池、廃電気電子機器、廃油や廃包装材を含む幅広い規則です。
SCIPに関連する条項は、第7章(廃棄物管理に関する情報)です。
9§(スウェーデン環境保護庁への情報提出)
廃棄物防止措置を講じる者および廃棄物を生成またはその他の方法で処理する者は、スウェーデン環境保護庁の要請に応じて、指令2008/98 / ECまたは規則2150 /2002(廃棄物統計規則)に従って当局が報告する必要のある情報を提供するものとします。情報は、スウェーデン環境保護庁が決定した期間内および方法で提出する必要です。
スウェーデン環境保護庁に廃棄物関連法が公開されています。注11)
「当局が報告する必要のある情報」は、2020年12月9日に「スウェーデン環境保護庁の規制(NFS 2020:10)」として告示されています。注12)
「スウェーデン環境保護庁が決定した期間および方法で提出」に関連して、2020年7月3日に「有害廃棄物に関する情報を廃棄物登録簿への提出(NFS 2020:5)」が告示されました。注13)
廃棄物登録はSCIP登録と同じではないのですが、多くの情報をITシステムで登録する仕組みになっています。注14)
また、罰則に関する告示があります。注15)
環境先進国のスウェーデンならではの取り組みが垣間みられます。
(v)ハンガリー
ハンガリー法は、施行中、新規法、改正法案がWebで確認できます。注16)
現在施行中の WFDを受けた国内法の廃棄物法(2012. évi CLXXXV. törvény a hulladékról)は、2012年版です。注17)
WFDの改正指令((EU)2018/851)による国内法への転換は、2020年12月10日に「エネルギーおよび廃棄物管理に関する特定の法律の改正案」(T / 13958)として議会に提出されています。
2021年1月20日現在では、この採択の結果は確認できていませんが、収集した廃棄物をリサイクルした時の所有権について、論議が分かれているようです。注18)
国内法は改定作業が続きそうです。
§4.まとめ
WFDの理念を表す条項に第6条(廃棄物の最終状態End-of-waste status)があります。
1. 加盟国は、リサイクル又はその他の回収作業を受けた廃棄物が以下の条件を満たす場合には廃棄物ではなくなったとみなされることを確実にするための適切な措置をとる:
(a) 物質又は物体は、特定の目的のために使用される;
(b) そのような物質または物体の市場または需要が存在する;
(c) その物質又は物体が特定の目的のための技術的要件を満たし、かつ、製品に適用される既存の法律及び基準を満たしていること
(d) 物質または物体の使用が環境または人の健康に総合的な悪影響を与えない。
5.(b) 材料が廃棄物でなくなった後に初めて市場に投入される場合は、当該材料が適用される化学品および製品関連法規に基づく関連要件を満たしていることを保証するものとする。
一般廃棄物に有害廃棄物を混入させると有害廃棄物になってしまいますので、第18条(有害廃棄物の混合の禁止)で以下を規制しています。
1.加盟国は、有害廃棄物が他のカテゴリーの有害廃棄物または他の廃棄物、物質、または材料と混合されないようにするために必要な措置を講じるものとする。混合には、有害物質の希釈が含まれるものとする。
WFDは、「廃棄物階層」の廃棄物阻止(発生抑制)を第一優先とし、廃棄物になった場合は、加盟国で廃棄物ではない状態にすることを狙っています。
廃棄物の入口と出口を規制するもので、この出口を制するのがSCIPデータベースともいえます。
加盟国の国内法を調べてみましたが、言語と法体制の基礎知識の壁が高く、踏み込みきれませんでした。表面的な調査になってしまいましたが、加盟27ヶ国は「共通に有しているが差異のある責任」(リオ宣言)を感じました。
(松浦 徹也)
引用
注7:
注8:
https://www.minambiente.it/sites/default/files/dlgs_03_12_2010_205.pdf
注9:
注10:
注11:
注12:
http://www.naturvardsverket.se/Documents/foreskrifter/nfs2020/nfs-2020-10.pdf
注13:
https://www.naturvardsverket.se/Documents/foreskrifter/nfs2020/nfs-2020-5.pdf
注14:
注15:
注16:
https://net.jogtar.hu/jogszabaly?docid=00000003.TXT
注17:
https://net.jogtar.hu/jogszabaly?docid=A1200185.TV&searchUrl=/gyorskereso%3Fkeyword%3D1907/2006
注18:
https://www.parlament.hu/irom41/13958/13958-0009.pdf
お断り
説明を分かりやすくするために、機械翻訳により部分的に意訳用語を使っています。
法規制の解釈は必ず原文を参照してください。
なお、この説明は、2021年1月30に日までに入手した情報から作成しました。