当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q548.REACH規則の認可物質の日本での利用

2019年10月11日更新


【質問】

REACH規則では認可物質となっていても、日本でのみ上市される製品の製造では自由に利用できるのでしょうか。

【回答】

REACH規則で認可対象物質とされている物質は、基本的には人の健康を脅かす可能性のある危険な物質です。 日本国内においても労働安全衛生法(労安法)の規定により、一定の危険・有害な物質(現在673物質)には、物質そのものおよびそれらを使用した製品の供給者にはSDS交付義務やラベル表示義務が課せられています。 またその製品の使用者には化学物質等を取り扱う際のリスクアセスメントが義務付けられています。


それらの労安法で特定されている物質の中にはREACH規則で認可対象物質とされているものが多数含まれていますので、日本国内のみ上市される製品であっても、労安法で規定されている義務を果たさなければ上市できないことになります。


また、その他にも日本の国内法である化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)や化管法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律)等があり、それらの法規制を遵守するための対応が必要となります。


化審法は、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律であり、大きく分けて以下の3つの部分から構成されています。


(1)新規化学物質の事前審査

新たに製造・輸入される化学物質に対する事前審査制度

(2)上市後の化学物質の継続的な管理措置

製造・輸入数量の把握(事後届出)、有害性情報の報告等に基づくリスク評価

(3)化学物質の性状等(分解性、蓄積性、毒性、環境中での残留状況)に応じた規制及び措置

性状に応じて「第一種特定化学物質」等に指定

製造・輸入数量の把握、有害性調査指示、製造・輸入許可、使用制限等

一方、化管法は、PRTR制度とSDS制度を柱として、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とした法律であり、その要求事項に対応する義務が課せられます。


以上通り日本国内であってもREACH規則の認可対象物質が自由に利用できるわけではありません。


ご質問の内容から推察しますと、貴社は製品を直接海外に輸出していないと思われますが、貴社の製品(部品など)を川下のユーザーが自社製品に組み込むなどして、海外に輸出している可能性があります。 その場合には海外輸出されているお客様は、販売先の国が定める化学物質管理規制などの法規制を遵守することが要求されます。


認可対象物質が含まれている場合であっても、EU域外で製造された成形品の上市や使用については認可申請の対象にはなりませんが、一部の物質および用途では、輸入が認められないケースがあります。


具体的には、REACH規則の附属書XVII(制限)では、フタル酸エステル類(DEHP、BBP、DBP)を合計0.1wt%を超える濃度で含有する特定の成形品(育児・玩具製品)についてはEU域外からの上市が禁止されています。 また、2020年7月の改正で新たにDIBPも制限対象に加わる予定です。 今後も上述の用途や物質のようにEU域外から輸入される場合でも規制範囲が拡大される可能性があり、その動向を確認する必要があります。


また、REACH規則第3条1項では、物質とは自然界にある化学物質や製造工程から得られる化学物質のことであり、安定性を保つための添加物や製造工程由来の不純物は物質に含まれる、と定義されています。


したがって、日本国内の工場における製造工程中で使用される加工助剤のようなものであっても、製品中に残留する場合には、それに含まれる化学物質はREACH規則への対応が必要になることになります。


このような状況を踏まえて、貴社のお客様またはその先のユーザーなどが貴社製品を組み込んだ製品をEU域内へ輸出する場合には、そのお客様から請求があればREACH規則などの法令に遵守するため、製品に含まれる化学物質についての情報を提供する必要があり、それに対応するための仕組みを構築することが必要となると考えます。

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