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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q693.CoRAPとCLSの関係について

  • 執筆者の写真: tkk-lab
    tkk-lab
  • 2024年8月2日
  • 読了時間: 3分

2024年08月02日更新

【質問】

CoRAPとCLSの関係を教えてください。

_________________________________________


【回答】

CoRAP (Community Rolling Action Plan) 1) とCLS(Candidate List of substances of very high concern for Authorisation)2)の関係は、CoRAPは人の健康や環境へのリスクが懸念される物質に対する評価作業計画であり、CLSはその評価の結果に基づいて整備される認可対象候補高懸念物質リストのことになります。


CoRAPとは共同体ローリングアクションプランのことで、欧州化学品庁(ECHA)の作成するREACH規則3) 第44~48条に基づいて実施する物質評価プロセスを実施するための計画です。CoRAPは2011年に欧州加盟国委員会によって提案され、2012年2月にECHAより公表されました。CoRAPは毎年更新され、加盟国とECHAが連携して、次の3年間の評価対象物質を選定します。評価は、REACH規則の規定に基づき登録された物質の人の健康や環境へのリスクを評価するために行われます。2024年から2026年のCoRAP更新案も発表されており、引き続き物質の評価を進めています。4)

このプロセスは、化学物質の潜在的なリスクを明確にするための情報を生成することを目的としています。


このCoRAPに基づいて実際の物質評価が進められます。以下はCoRAPに基づく物質の評価プロセスの概要です。5)

1. 物質の選定

加盟国とECHAが連携して、次の3年間の評価対象物質を選定します。

選定は、物質の潜在的なリスクや関心のある特性に基づいて行われます。

2. 評価の実施

選定された物質は、評価の対象となります。

評価は、人の健康や環境へのリスクを評価するために行われます。

評価は、物質の特性、使用法、曝露経路などを考慮して行われます。

3. 評価結果の報告

評価結果は、ECHAによって報告されます。

物質のリスクが特定された場合、適切な対応策が検討されます。

4. リスク管理措置:

物質のリスクが特定された場合、適切なリスク管理措置が検討されます。

CoRAPは毎年更新され、欧州連合加盟国全体で物質の評価を進めています。詳細な手順や具体的な物質の評価結果は、ECHAの公式ウェブサイトで確認できます。


CLSとは認可対象候補高懸念物質リストのことで、REACH規則において、将来的に認可対象となる可能性のある物質のリストです。CLSリストに記載されている物質は、REACH規則の第 57 条のSVHC(高懸念物質)の基準に適合する物質を第 59 条の手順に従って特定された物質です。

CLS は、ECHA が特定した CoRAPの対象物質と加盟国が認可物質とすべきと提案した物質をスタート物質として検討されます。


具体的は、CoRAPに基づく物質評価において57条の定義に該当するとの意見が出された場合、EU委員会は、第 57 条に定める基準に該当するとの見解を有する物質について、ECHAに対して、附属書 XV の関連する一式文書を作成することを求めることができます。また同様に加盟国も、第 57 条に定める基準に該当するとの見解を有する物質について、附属書XV に基づく一式文書を作成し、ECHAに対して送付することができます。ECHAはその一式文書を、他の加盟国に対して送付します。ECHAは、加盟国から送付された内容をウェブサイト上で公表し、利害関係者に対し、所定の期限内に意見やコメントをECHAに提出するよう求めます。

ECHAは、意見やコメントが無い場合CLSに収載します。しかし、意見やコメントがある場合には、加盟国専門委員会に付託された手続がとられます。その後、ECHAは附属書 XIV に収載される候補物質のリストにその物質を収載し、ウェブサイト上で公表し、更新されます。


1)コミュニティ・ローリング・アクション・プラン

2)高懸念物質の候補リスト

3)REACH規則

4)CoRAP(2024-2026)更新案

5) CoRAPの評価プロセスの概要


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