当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q561.シロキサンやBPAへの対応と測定

2020年04月10日更新

【質問】 当社は樹脂材料の成形加工メーカーです。

最近、シロキサンやBPA(ビスフェノール A)などの新たな物質調査が顧客から届いています。 調査はどこまでするべきでしょうか。

【回答】 ご質問のシロキサン、BPAはいずれも樹脂そのものではなく、その原料(中間体)です。 シロキサンはシリコーンゴム等の、BPAはポリカーボネートやエポキシ樹脂の原料に用いられます。 これらの物質は、樹脂となる段階で反応によりほとんどがなくなりますが、樹脂中に未反応でごく微量残留する可能性があります。

特定のシロキサン(環状シロキサン、D4~D6)とBPAは認可対象物質候補リスト(CL)に収載済みですので、成形品中に0.1wt%を超えて含有されている場合、情報伝達と届出の義務が生じます。

貴社は樹脂材料の成形加工メーカーとのことですので、上記中間体を使用する代表的な樹脂として、シリコーンゴムとポリカーボネートを例に、成形加工品の物質調査の注意点をまとめます。

シリコーンゴムの場合は基本的には原料のシロキサンを架橋反応により高分子化します。その後、2次加硫と呼ばれる熱処理により残留シロキサンを飛ばします。 シリコーンゴムの場合は成形の工程により残留シロキサン量が決まりますので、成形後の製品の分析を行う必要があります。 多くの分析会社がこれらの物質の分析サービスを行っており、GC-MS(ガスクロマトグラフ質量分析)などの手法により含有量を測定することが出来ます。 もしも0.1wt%を超えた残留が認められた場合には、2次加硫の条件の見直しや、原材料を低分子量シロキサン対策品に変更するなどの対応が考えられます。

なお、BPAは一つの化学物質を指すのに対し、シロキサンはシロキサン化合物全般を指します。 そのうちREACH規則の認可対象物質候補リスト(CL)に収載済みとなっているのは環状シロキサンの4量体~6量体(D4~D6)のみですが、これ以外の低分子量シロキサンも、揮発により電子部品等の接点異常を引き起こすことが知られており、顧客の調査依頼の目的、調査対象のシロキサンの種類、求められる含有量の上限等を明確にすることが必要です。

ポリカーボネートの場合は熱可塑性樹脂のため、一般的には原料の樹脂ペレットを加熱可塑化して金型などにより成形します。 したがって、原料の樹脂ペレットの仕様により成形後のBPA含有量が大きく左右されます。購入仕様書に仕様を明記し、確実に規格内のBPA含有量である原料を使用することが重要です。 顧客からの調査依頼内容が、BPAの含有量が基準値以下であるかどうかならば原料の仕様管理で対応できると思いますが、含有量の数値データを求められているならば、分析会社を使って分析する必要があります。 BPAについても多くの分析会社が対応しています。

また、BPAはポリカーボネートが最も大きな用途先ですが、それ以外にエポキシ樹脂やポリエステルの原料として、あるいは塩ビやその他の樹脂の添加剤として使われる場合があります。 ポリカーボネート以外の樹脂についても原料調達先から、BPAの不使用証明あるいは購入仕様書にて含有量の管理を行うことが必要となります。 こうした情報を得ることが難しい場合や、顧客から製品の数値データを求められた場合は分析会社を利用して分析を行うことになります。

なお、BPAについては、REACH以外に食品の包装材や哺乳瓶、乳幼児向けの玩具などの用途に対する出様々な規制があります。例えば日本の食品衛生法ではPBAの溶出量を2.5ug/ml(2.5ppm)以下、材料中の含有量は500ppm以下としています。 詳細はQ536(2019年4月19日)を参照ください。顧客とコミュニケーションを取って、最終製品用途や、求められる含有量について確認してから調査を始めることをお勧めします。

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