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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q671.REACH規則における情報伝達義務の具体的な方法について

【質問】

REACH規則33条の情報伝達義務で、(1)川下事業者への対象成形品を安全に使用するのに十分な情報の提供。(2)消費者へ対象成形品を安全に使用するのに十分な情報の提供。

これら(1)(2)の情報とはどのようなものなのでしょうか?

 

【回答】

REACH規則では成形品中に認可対象候補物質(CLS)を0.1% (w/w)%を超えて含有する成形品をEU域内で製造または輸入する事業者は、それを使用する利用者に対して、対象製品を安全に使用できる条件を示した情報を伝達しなければなりません。


欧州化学物質庁の成形品中の物質の要件に関するガイダンス2)によると、下流ユーザーへ伝達および通知する情報は、自社の供給する成形品に関連する合理的に予見可能なすべての手順と活動を考慮する必要があるとされています。

これらを踏まえた場合、川下事業者への情報としては、例えば、次のようなものが含まれます。

・工業的および専門的な加工または組み立ての情報

・梱包または保管するに関する情報

・ 設置やメンテナンスを含む、製品の産業、専門家、および消費者向けの最終用途の情報

さらに、供給者は、成形品のリサイクルと廃棄、特に消費者による予見される成形品の誤用を考慮する必要があります。


消費者への情報では、成形品が安全に使用される情報を伝達する場合に成形品の供給者として成形品のライフサイクルの安全を考慮する必要があり、その場合の安全な使用に関する情報には次のものが含まれます。

・使用条件、例: 温度、屋外/屋内、頻度、継続時間。

・ばく露と排出を削減するためのリスク管理措置。

ただし、どのような情報を伝達するかは、成形品の安全な使用を確保するという目的に適合しているかどうかを、ケースバイケースで情報の種類と詳細を評価して決定する必要があります。


 また、貴社が川下事業者へ対象成形品を安全に使用するのに十分な情報を提供する手段として拡張安全データシート(e-SDS)の作成があります。 e-SDSはSDSで要求される項目に追加して、第16項(その他の情報)としてばく露シナリオを含みます。 ばく露シナリオは、物質がそのライフサイクル中にどのように製造または使用されるか、および製造業者または輸入業者が人間および環境のばく露をどのように管理するか、または下流ユーザーに管理を推奨するかを説明する一連の条件です。


貴社は入手した情報と予見される成形品のライフサイクルを考慮しばく露シナリオを作成することになります。e-SDSの提供方法としては、以下の3つがあげられています。


1.安全データシートの本文に情報を統合する。

2.混合物の安全使用情報を安全データシートの付属書として添付する。

3.混合物中の物質に関連する曝露シナリオを安全データシートの付属書に添付する。


こうしたばく露シナリオを含むe-SDSの提供もREACH規則33条の情報伝達義務における情報と考えられます。



REACH規則1)


成形品中の物質の要件に関するガイダンス2)



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