当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

Q552.REACH規則の成形品含有濃度の分母

2019年11月15日更新


【質問】 EACH規則の成形品の含有濃度を求めるための分母はどこまで対象とすべきか教えてください。

【回答】

ご質問の含有濃度を求めるための分母を適切に設定するには、「成形品」をREACH規則第3条3項の定義にしたがって判断し、対象物の構成に応じて分母の範囲を決めていく必要があります。


1.分母となる「成形品」の判断

対象物が成形品かどうか判断する手順としては、はじめに対象物の使用目的である「機能」を定義し、次にその機能を達成するために重要なのは物理的形状と化学的特性のどちらかなのかを判断します。 すなわち、形状・表面またはデザインによる物理的形状が重要な場合「成形品」となり、硬度や磁性、融点などの化学的特性が重要な場合「物質/混合物」と判断することが基本となります。


さらに、対象物中に分離できる「物質/混合物」が含まれている場合などより詳細な判断については、欧州化学品庁(ECHA)が発行している「成形品中の物質の要求に関するガイダンス」1)内のフローチャートなどを参考として決定していきます。


2.「複雑な成形品」について

複数の成形品で構成されている製品などは「複雑な成形品」とされ、どのように含有濃度を求める分母を設定するかについて、REACH規則内に明確な記載がなく解釈の余地がある状況でした。 この論点については、2015年9月にEU司法裁判所から判決が出ており、以下のように判断がされています2)。


「部品など複数の成形品で構成されている製品は、その製品自体を一つの成形品として考えるのではなく、構成する複数の成形品が製造プロセスを経た後も成形品の定義を維持する場合、それぞれを成形品として法規制の適用を行う。」


この判決を適用すると例えば、金属製のはさみのように「成形品A」と「成形品B」が、接合部品「成形品C」で接合された成形品の場合、接合している「成形品A」、「成形品B」および「成形品C」を合算して含有濃度を求める分母とするのではなく、「成形品A」、「成形品B」および「成形品C」それぞれ成形品毎で含有濃度を計算します。


一方で、「成形品A」と「成形品B」が「物質/混合物」の接着剤で接合された「成形品D」の場合は、含有濃度は「成形品A」、「成形品B」および「成形品D」で求めることになります。 「成形品D」では、その分母は「成形品A」、「成形品B」および接着剤の合計を分母として、接着剤中のCL物質の含有率を求めることになります。


同じ「成形品A」と「成形品B」を接合してできている成形品であっても、接合の内容により含有濃度を求める分母の設定が異なるため、注意が必要です。


「自転車」や「携帯電話」などより複雑な成形品についても上記のような考え方を適用して、含有濃度計算の分母を設定していくことになります。


1) https://www.echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf/cc2e3f93-8391-4944-88e4-efed5fb5112c

2)

http://curia.europa.eu/juris/liste.jsf?language=en&td=ALL&num=C-106/14#


1,062回の閲覧

© 2011-2019  一般社団法人東京環境経営研究所

  • Facebook - White Circle
  • YouTube - White Circle
  • アマゾン - ホワイト丸