当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q536.REACH規則の第9次附属書XIV収載勧告草案について

2019年4月12日更新

【質問】Q536

REACH規則の第9次附属書XIV収載勧告草案では、ビスフェノールAが収載されていますが、PC(ポリカーボネート)やエポキシ樹脂プラスチックを製造する際のモノマーとしても使えないのでしょうか。

【回答】

BPA(ビスフェノールA)は内分泌攪乱物質(いわゆる環境ホルモン)として多くの環境規則等で使用が規制されている物質です。


 BPAはレシートなどに使用されている感熱紙の顕色剤として直接的に含有させる用途やご質問のPC(ポリカーボネート)やエポキシ樹脂の原料(モノマー)として使用される用途があり、それぞれ規制が異なります。


 BPAは、2018年9月5日にECHAから、認可対象物質とするREACH規則附属書XIV収載する第9次の勧告草案の18物質に含まれています。各国の専門家などの意見を踏まえ草案が通った場合には、ECHAで附属書XIVに収載する認可対象物質の勧告が作成され、欧州委員会に提出されBPAは認可対象物質となります。


 REACH規則 第3条(定義)で、「中間体とは、他の物質に変わるための化学的処理(以下「合成」という。)のために製造され、その処理において消費又は使用される物質をいう。」とされていますので、モノマーは中間体として扱われることになります。


 REACH規則 第2条(適用)8項で

「 現場で単離される中間体及び単離された中間体で輸送されるものは、以下を免除する。

(a) タイトルⅡ(物質の登録)第 1 章(第8 条(唯一の代理人)及び第9 条(研究開発用途物質の登録免除)を除く)及び

(b) タイトル VII (認可)」

とされています。 


第2条8項(b)の規定によりPC(リカーボネート)やエポキシ樹脂などポリマー物質を構成するモノマーとして使用する用途では認可の対象外となります。

第2条8項では、登録と認可以外の義務が残ります。


しかし、これらのプラスチック(成形品)には製造過程で反応しなかったビスフェノールAが残留し、微量のビスフェノールAが含まれている場合がありますが、プラスチック中に0.1wt%を超えて存在する場合にはこの成形品を安全に使用するために必要な情報を川下事業者に伝達する義務があります(REACH規則第33条)。また消費者からの要求があれば要求を受けた日から45 日以内に、少なくとも当該物質名を含む情報を提供しなければなりません。


 一方、第2条8項(b)では制限の義務は免除されませんので、感熱紙の顕色剤として使用される用途では、BPAはREACH規則の附属書XVIIで、感熱紙に200ppm以上の含有を2020年1月1日から制限されています。

 

また、BPAは上記以外にも多くの法律などによる規制があります。

例えば、日本の食品衛生法ではポリカーボネート製器具及び容器・包装からのビスフェノールAの溶出試験規格を2.5μg/ml(2.5ppm)以下としています。材料中の含有量は500ppm以下としています。


また、EUは、「食品と接触することを意図するプラスチック素材及び製品に関する委員会規則(PIM)」(EU REGULATION 10/2011)で、食品接触プラスチック材から食品へ溶出した未反応あるいは不完全に反応したモノマー、他の出発原料、または低分子添加物から生じる可能性を潜在的健康リスクとして規制しています。


PIMでは、乳児及び幼児を対象として

・ポリカーボネート乳児用哺乳瓶の製造に使用しないこと。

・ポリカーボネート製の飲用カップ又はボトルの製造には使用しないこと。

としています。


 さらに、EU玩具指令が改正され2015年12月21日から、36カ月未満の子供が使用することが意図された玩具または口に入れることを意図したその他の玩具について附属書II付録CでBPAは溶出量が0.1mg/lと制限されました。


 このように、食品接触プラスチック材や玩具などの用途に使用される場合には、REACH規則だけではなく、その他法規制への対応も必要になります。


参考資料


(1)ここが知りたいREACH規則2018.09.21コラム

「REACH規則附属書XIV収載勧告草案が公表されました」

http://j-net21.smrj.go.jp/well/reach/column/180921.html


(2)ここが知りたいREACH規則2016.06.03コラム

「BPA(ビスフェノールA)の規制動向」

http://j-net21.smrj.go.jp/well/reach/column/160603.html



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