当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q540.ナノスケール物質のREACH規則の規定

2019年6月13日更新


【質問】Q540

化粧品、塗料やワックスなどの身近な製品にも利用されてきているナノスケール物質ですが、EUのREACH規則の規定に従うものなのでしょうか。

【回答】

ご質問のREACH規則におけるナノスケール物質の位置づけは、2008年に欧州委員会より公表された「ナノスケール物質の規制的側面(1)」内で、REACH規則の「物質」の定義でカバーできるとされています。

「物質」は自然界にある化学物質や製造工程から得られる化学物質のことを指し、REACH規則の適用範囲の一つです。したがって、ナノスケール物質はREACH規則に対し、適切な対応を行っているものであれば、REACH規則に従っているといえます。


該当のナノスケール物質がREACH規則に従っているかについては、その物質の輸入・製造数量とともに登録状況を確認する必要があります。

ナノスケール物質の登録に関しては、2018年12月に「登録におけるナノスケール物質に特化した情報要求」として委員会規則 2018/1881/EUにて、REACH規則の附属書Ⅰ、ⅢおよびⅥ~Ⅻの改訂が公布されました(発効日:2020年1月1日)。

この中で従来の技術文書に求められる情報の他にナノスケール物質の形状に関する化学物質安全性報告書が求められています。

ナノスケール物質に対して各形状に関する化学物質安全性報告書が求められる理由は、同じ組成の物質であってもナノ領域のように微小な状態では形状や表面状態、粒径により異なる毒性や曝露パターンを発現する可能性があるためです。

ナノスケール物質はその形状ごとにリスク評価を行うことでREACH規則の目的に従う化学物質の管理が可能になると判断されています。


以上の状況からナノスケール物質に関する登録状況を確認する場合、物質名以外に「形状」「粒子サイズ」「表面特性」などの登録情報も確認する必要があります。

例えば、REACH登録物質となっている単層カーボンナノチューブでは、登録情報として形状(円筒状)、粒子サイズ(1-10μm)、表面特性として結合状態や光学異性体に関する事項についての記載があり、これらの情報から物質が特定されています。

このようなナノスケール物質に関する情報については、欧州化学品庁(ECHA)が開設しているナノスケール物質に関するサイト「EU ON」から確認をすることできます(2)。


該当するナノスケール物質が未登録で登録が必要な輸入・製造数量の場合、登録を進めていくことになりますが、ナノスケール物質の登録方法に関しては、「ナノ形状をカバーする登録書類の作成方法:ベストプラクティス」がガイダンスとして公表されており、参考とすることができます(3)。


また、上記のような対応を要するナノスケール物質は、ナノマテリアルの定義に関する委員会勧告2011/698/EUにて定義をされていますが、今後見直しをする方向で論議がされており、定義が変更となる可能性があります。


ナノスケール物質を用いた技術は発展途上の分野であり、技術の進展にともない新たな要求事項が発生することも想定されます。

取り扱うナノスケール物質がREACH規則の規定に従うかについては、定義も含め随時動向に留意し確認をしていく必要があるように思えます。


(1) https://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=COM:2008:0366:FIN:EN:PDF

(2) https://euon.echa.europa.eu/search-for-nanomaterials

https://echa.europa.eu/documents/10162/13655/how_to_register_nano_en.pdf/f8c046ec-f60b-4349-492b-e915fd9e3ca0

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