当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q543.年間1トン未満の物質の製造・輸入でのREACH規則での注意点

2019年7月23日更新


【質問】

REACH規則の登録条件は年間1トン以上の製造・輸入が対象とあります。年間1トンに満たない場合にREACH規則で注意すべきことはありますか。

【回答】

REACH規則では、登録義務の対象とならない年間1トン未満の場合でも、安全性データシート(SDS)の提供や成形品中の物質などの情報伝達の義務、認可の取得義務、使用の制限、分類・表示の届出義務などがありますので留意が必要です。以下ご説明致します。


1.情報伝達の義務

(1)SDSの提供の義務(REACH規則第31条1項、3項、附属書II)

1)物質について

以下の場合は、SDSに物質の名称等を記載することが必要です。

a.CLP規則1)の基準により危険有害性に分類される物質

b.REACH規則附属書XIIIの基準でPBT、vPvBに特定される物質

c.a、b以外の理由で認可対象候補リスト(Candidate List)に収載された物質(CL物質)

2)混合物について

2-1) CLP規則の危険有害性に分類される場合、混合物中の下記の物質の名称等を記載することが必要です。

a.混合物中に濃度限界以上含有するCLP規則の基準により健康有害性、環境有害性の物質

b.混合物中に0.1重量%以上含有するPBT、vPvBの物質

c.混合物中に0.1重量%以上含有する。a、b以外の理由でCandidate Listに収載されたCL物質

2-2) CLP規則の危険有害性に分類されない場合は、受領者の要求があれば下記の含有する物質の名称等を記載したSDSを提供する必要があります。

a.非ガス状混合物中に1重量%以上、または、気体混合物中に0.2体積%以上の健康有害性、環境有害性の物質

あるいは、

b.非ガス状混合物中に0.1重量%以上含有する下記の健康有害性の物質

・発がん性 区分2

・生殖区分1A、1Bおよび2

・皮膚感作性 区分1

・呼吸器感作性 区分1

・PBTまたはvPvB

・CL物質

c.混合物中のEU域内の作業所のばく露限界値がある物質

なお、使用者がヒトの健康と安全および環境の保護に関して必要な措置を講じるために十分な情報が提供されている場合には、川下の使用者や輸送者からの求めが無ければ、一般の人々に提供または販売されている危険有害性の物質または混合物のSDSは必ずしも提供する必要はありません(REACH規則第31条4項)。

(2)成形品中の物質

成形品中にCL物質を0.1重量%を超えて含有する場合は、川下企業に対して物質名と安全に使用するための十分な情報を伝達する義務があります。

また、消費者から要求があった場合には同様の情報を45日以内に無償で提供する必要があります。


2.認可の取得義務

物質がREACH規則附属書XIVに収載された認可対象物質は、量に関係なく認可が無ければ物質そのものおよびそれを含む混合物をEU域内で使用することができません。

対象の物質毎に設定された日(日没日:認可を受けない限り、上市や使用が禁止される日)の18カ月前までに認可を申請し、認可を取得する必要があります。


3.使用の制限

物質が制限物質として附属書XVIIに収載されている場合は、記載されている用途ではその物質またはその物質を含む混合物または成形品を使用することができません。 認可が無ければ全く使用できない認可対象物質とは異なり、制限されている用途以外の用途では使用することは可能です。


4.分類・表示の届出義務

CLP規則の分類基準で、危険有害性があると分類された物質あるいは危険有害性とする濃度限界値を超えて存在する混合物中の物質の分類と表示を上市(通関)から1ヶ月以内に欧州物質化学庁(ECHA)へ届け出なければなりません(CLP規則第40条)。

1) http://echa.europa.eu/web/guest/regulations/clp/legislation

2)https://echa.europa.eu/documents/10162/24198999/scenario_en.pdf/3021c958-d5f3-e618-5e05-be59b139822c

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