当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q549.日本国内のお客様にのみ製品を販売している場合の海外法規制対応

2019年10月25日更新


【質問】

当社は日本国内のお客様にのみ製品を販売しています。取引先のお客様よりREACHなどの海外法規制対応を要求され困っています。海外法規制対応は必須でしょうか。

【回答】

法規制はその法規制が効力を発効する国・地域に存在する人や法人に対して適用されるものです。 したがってREACHなど海外法規制は、日本国内の事業者に対して直接の義務を課すものではありません。 貴社は日本国内の顧客(日本顧客)にのみ製品を販売されているとのことですので、対応に疑問を持たれることは理解できます。


しかし、日本顧客に販売された製品が、加工や組付けをされて海外顧客に輸出されることは否定できません。 そのように間接的に輸出されている場合には、日本顧客は輸出先である海外顧客から該当する海外法規制への対応が求められます。 日本顧客が貴社製品に対して十分な情報を有していない場合には、海外顧客が現地法規制に対応し、商取引を継続できるよう貴社に対応や情報提供を求めてきます。 貴社が日本顧客との商取引の継続を希望されるのであれば、対応をしていくことが必須であるといえます。


以下、ご質問で例示されたREACH規則を例に対応内容を概説します。


1、貴社の製品が日本顧客を通じて、物質・混合物として輸出される場合

REACHでは年間1トン以上製造・輸入される物質そのものや混合物中の物質は、EUの輸入者やEU域外の製造者が指定した唯一の代理人による登録が必要です。 登録は貴社製品の物質を名称やCAS番号で特定し、用途情報やばく露情報などの各種情報を記載した技術一式文書(年間10トン以上となる場合は化学物質安全報告書も必要)の提出によって実施することになります。 輸入者や日本顧客が登録をする場合には情報提供が必要となるほか、貴社が唯一の代理人の指定を求められる可能性もあるなどサプライチェーンを通じた対応が求められます。


2、貴社の製品が日本顧客を通じて、成形品として輸出される場合

上記の登録は物質・混合物の場合に要求されることが基本ですが、成形品の中に年間1トン以上含まれ意図的に放出される場合には、その放出される物質の登録が必要です。 要求される情報は前述と同一です。


また、貴社製品にCLSが含まれており、さらに重量比(w/w)0.1%を超える濃度で日本顧客の成形品中に存在する(年間1トン以上)場合には、意図的放出の有無には関係なく登録番号、成形品中での物質の用途、成形品の用途などの届出が必要です。 さらには、EU輸入者または唯一の代理人には、川下企業に対して物質名と安全情報などを伝達し、消費者からの情報提供要求には45日以内に無償で応える義務がありますので、それらの情報が要求されることとなります。


また、前述の重量比計算の分母は個々の成形品となります。 日本顧客製品が成形品の組み合わせである複合成形品の場合、その製品に占める貴社製品の割合が小さな場合でも貴社製品としての判断と情報提供が必要です。


以上のように直接の販売先を日本国内の企業に限定されている現状でも、海外法規制と無関係でいることができるというわけにはいきません。 グローバル化が進んだ現代のサプライチェーンを考えますと、海外法規制への対応の可否が一顧客にとどまらない事業機会の拡大にも縮小にもつながり、最悪の場合には事業の継続にも影響する事態となることが想定できます。 まずは該当する海外法規制が要求する内容を把握し、貴社の川上企業にも協力を要請しながら必要な情報を収集することが肝要となります。

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