当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q551.成形品に対する規制物質の含有率

2019年11月8日更新


【質問】

REACH規則で、成形品に接着剤やコーティング剤を塗布した場合の規制物質の含有率を計算する場合に分母はどのように計算したらいいのでしょうか。 分母は成形品と接着剤やコーティング剤の塗布物の合計でいいのでしょうか。

【回答】

CL物質を含有している接着剤やコーティング剤を塗布した成形品をEU域内に上市する場合に、CL物質の含有率によっては、REACH規制対象となり、下記義務が発生する可能性があります。


届出義務(REACH規則第7条)

EU域内において輸入または製造される成形品中にCL物質が0.1wt%を超えて、かつ輸入者又は製造者あたり年間1トンを超える場合には、欧州化学品庁(ECHA)への届出が必要です。


情報伝達義務(REACH規則第33条)

成形品中にCL物質が0.1wt%を超えて含有されている場合には、当該物質名を含む、成形品を安全に使用するために十分な情報をサプライチェーン川下事業者に伝達する必要があります。 加えて、消費者からの要求があれば、45日以内に、当該成形品を安全に使用するために十分な情報を無償で提供しなければなりません。


2015年9月、欧州司法裁判所は、成形品中のCL物質の含有濃度を 計算する場合に、分母は、製品(例:テレビ)を構成する個々の部品(例:コネクタ)の重量であるとの判断を示しました。


つまり接着材やコーティング剤などを塗布した成形品中のCL物質の含有率を計算する上での分母は塗布物と成形品の合計重量になります。 


2017年の発行された「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス(第4版)」注1)3.2.3項 表5では塗料、ラッカー、ワニス、機能性コーディングなどの混合物(コーティング剤)でコーティングされた成形品中のCL物質含有率の計算方法を下記3つの事例で紹介していますので参考にしていただければと思います。


事例A)

成形品にCL物質を含有しているコーティング剤を全体的にコーティングしている場合は、CL物質の重量をコーティングされた成形品の総重量(成形品と乾燥させたコーティング剤の合計重量)で除して計算します。


事例B)

成形品にCL物質を含有しているコーティング剤を部分的にコーティングしている場合は、事例A)と同じく、CL物質の重量をコーティングされた成形品の総重量(成形品と乾燥させたコーティング剤の合計重量)で除して計算します。


事例C)

複数組み合わされた成形品(複合オブジェクト)にCL物質を含有しているコーティング剤をコーティングしている場合は、CL物質の重量をコーティングされた複合オブジェクトの総重量(複合オブジェクトと乾燥したコーティング剤の合計重量)で除して計算します。


同ガイドでは含有率の具体的な計算事例も記載しているので紹介いたします。


事例

CL物質を含有する塗料を塗布した成形品の含有率の計算

条件

成形品の重量 5.0kg(乾燥塗料:固形分 0.1kgを含む)

塗料の不揮発分(固形分)の割合 67wt%。

塗料中のCL物質の含有率5wt%


計算

(1)CL物質の含有量(分子):0.0075kg

塗装に使用される塗料の重量×CL物質の含有率

0.1×100/67×0.05=0.0075kg

(2)成形品の総重量(分母):5.0kg

(3)成形品中のCL物質の含有率:0.15wt%

0.0075÷5.0=0.0015


注1)

https://echa.europa.eu/-/guidance-on-requirements-for-substances-in-articles

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