当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q553.ホルムアルデヒドの規制

2019年11月28日更新


【質問】 REACH規則の制限対象物質リスト(附属書ⅩⅦ)に新たに追加される検討対象物質のリストの更新が行われました。 ホルムアルデヒドとホルムアルデヒドの放出剤が検討されていますが、具体的にはどのような規制となるのか教えてください。

【回答】

ホルムアルデヒドは接着剤、塗料、防腐剤などの成分として広く用いられていますが、シックハウス症候群の原因物質としても有名で、人体に有害な物質です。 CLP規則では、急性毒性 経口・経皮・吸入 共に区分3、皮膚腐食性 区分 1B、皮膚感作性 区分1、生殖細胞変異原性、発がん性 区分1Bに分類されています。


ホルムアルデヒドは後述するように、これまでもREACH規則で制限が適用されてきましたが、2019年4月3日に、ECHA(欧州化学庁)が新たにREACH規則の制限対象物質リスト(付属書XVII)に追加を検討する化学物質のリストを公表した中にホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒドの放出剤が含まれています。 対象はすべての消費材で、成形物と混合物となっており、一般消費材向けが対象で、産業用途は対象外です。


改めてホルムアルデヒドとその放出剤が検討対象になった理由は、室内の一般消費者の健康を守るためです。 ホルムアルデヒドの室内濃度基準はWHOにより0.08ppm(0.1mg/m3)以下とされていますが、室内濃度は製品からのホルムアルデヒドの放出により変動しますので、製品中の含有濃度では規定できません。 そのため、現在のREACH規則の制限では必ずしもこの基準を守ることが出来ない恐れがあります。 実際に放出テストを行い一定の基準以下であることが必要となり、European Standardで定められた条件下で人工気候室(Climate Chamber)による放出テストを行い、1m3のテストチャンバー中0.124mg以上の放出がある場合について制限することが提案されています。 すでに2019年9月20日にこの提案書に対するコメント募集は締め切られており、多くのコメントが寄せられています。 室内のホルムアルデヒド濃度に最も大きな影響を与えるのは建築内装材や家具などの木材製品や壁紙の接着剤などですが、適用範囲を全ての成形物とするのかどうかも含めて、寄せられたコメントを参考に今後ドラフトが作成されます。


参考として、これまでのホルムアルデヒドに関するREACH規則の制限について、内容を説明します。


2018年5月4日の官報REACH規則附属書XVII(制限)を修正する規則2018/675により、ホルムアルデヒドは附属書XVIIのEntry28の対象となりました。 これにより、ホルムアルデヒドを0.1wt%以上含有している場合は、一部医薬品などの例外を除いて上市及び使用が制限されます。


また、2018年10月12日、REACH規則AnnexⅩⅦ(制限)を修正する官報(EU)2018/1513により、附属書XVIIにEntry72として追加された33物質群の中にもホルムアルデヒドが含まれています。 これら33物質群が、衣類や室内製品などの繊維製品等に含有する場合、以下のように段階的に含有濃度が制限されます。


2020年11月1日から2023年11月1日  300mg/kg(0.03wt%)

2023年11月1日以降 付録12に規定されている 75mg/kg(0.0075wt%)

(ECHAによる提案書2019/3/20)

https://echa.europa.eu/documents/10162/019ab915-c3a6-3441-00eb-69e970c1c315

(提案書に対するコメント)

https://echa.europa.eu/documents/10162/5787c1a5-fb0e-c54b-fbd8-8e65328eca2e

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