当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q555.Prop65の対応

2019年12月26日更新


【質問】

アメリカの取引先から、カリフォルニア州プロポジション65(Prop65)に対応できているか、との問い合せがありました。 具体的にどのようなことをすればいいのでしょうか。

【回答】

プロポジション65(Proposition65 Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986、以下Prop65)は、1987年1月に施行されたカリフォルニア州法です1)。 発がん性や生殖毒性があると認められている化学物質(“The Proposition 65 List”2)以下The List)について、

(a)飲料水の水源への混入の規制や、

(b)消費者や作業者がばく露する可能性がある場合には事前に明確で妥当な警告を義務付けています。

しかし、The Listの収載物質の使用の禁止や制限するものではありません。


The Listは少なくとも年1回は更新され、直近の更新の2019年9月13日のリストには851物質が収載されています。


ご質問の具体的な対応方法については州当局のHP3)にも掲載されていますが、以下に要点をまとめます。

(1)The Listに収載された物質の確認

The Listに収載された物質が、製品中に含有もしくは使用中に生成しているかを確認します。 Prop65は、The Listの収載物質の含有濃度の制限規定ではありませんが、The Listの収載物質の含有/生成が無ければ、ばく露の危険性も無く、これ以上の対応は不要となります。


その製品での含有/生成の確認方法としてThe Listの全物質を対象とした成分分析も可能ですが、かなりの費用と時間がかかります。 まずは、貴社のサプライヤーにThe List物質の含有の有無とそのばく露の可能性について問い合わせを行うことが効率的です。 最終製品の場合、確認先が広がるため、かなりの時間と手間がかることを踏まえて進行する必要があります。


(2)The Listに収載された物質のばく露の確認

The Listに収載された物質の含有/生成を確認した場合、その製品の製造または使用において、消費者や作業者がその物質にばく露される可能性が高いかどうかを判断します。


The Listには、カルフォルニア州環境保護庁(OEHHA)がセーフハーバーレベル(有害なリスクのないレベル)を規定した物質もあります。 想定されるばく露量が規定されたセーフハーバーレベル以下であることを示すことができれば、警告を出す必要はありません。


一方、セーフハーバーレベルがないThe Listの物質の場合、製造者自らが、がんを引き起こす化学物質の重大なリスクレベル(No Significant Risk Lebel [NSRL])や生殖毒性に影響が出ない化学物質の最大投与許容量(Maximum

Allowable Dose Level [MADL])を設定しなければなりません。 その上で、想定されるばく露が発生した場合でも重大なリスクを引き起こさないと示すことができれば、警告を出す必要がありません4)。


The Listの物質の閾値と製品に起因するばく露の因果関係は複雑です。 リスク評価の専門家に相談して、ばく露レベルの推定や警告の可否を判断することを勧めします。


また、他法で制限されている物質は、同時適用となります。 例えば、フタル酸エステルのDEHPのセーフハーバーレベルは310μg/dayですが、連邦法の消費者製品安全改善法(CPSIA)では子供用玩具または育児用品は0.1重量%以上含有させてはならないとしています5)。


子供用玩具または育児用品のDEHP含有量が0.1%未満でも、ばく露レベルがセーフハーバーレベルの310μg/dayを超えれば警告表示を行い、セーフハーバーレベル未満であれば警告表示も不要となります。


(3)警告表示の確認

前項でばく露によるリスクの可能性ありと判断した場合には、事前の明確で妥当な警告となる表示を行います。 製品の種類および用途によって警告の方法が定められています。 事前の警告に関しては、2018年8月に施行規則Article 6. Clear and Reasonable Warnings(明確で妥当な警告)」等が改正・施行されて、対象や用途別に表示すべき内容が決められています6)7)。 例えば、消費者向け製品では、発がん性または生殖毒性のばく露の可能性に応じた警告表示から選択して表記することになります8)。


Prop65の違反は、個人もしくは団体からの告発で提起され、和解や裁判所の判決で決定され、1日当たり最大2,500ドルの罰金と訴訟費用が課せられます。 2018年年間の判決および和解は合計836件で、罰金を含めた総支払額は約3,500万ドルでした9)。コンプライアンスの順守が重要です。


1) https://leginfo.legislature.ca.gov/faces/codes_displayText.xhtml?lawCode=HSC&division=20.&title=&part=&chapter=6.6.&article

2) https://oehha.ca.gov/proposition-65/proposition-65-list

3) https://oag.ca.gov/prop65/faq

4) https://j-net21.smrj.go.jp/development/reach/column/180727.html

5) https://www.cpsc.gov/Business--Manufacturing/Business-Education/Business-Guidance/Phthalates-Information

6) https://govt.westlaw.com/calregs/Browse/Home/California/CaliforniaCodeofRegulations?guid=I49EA2F10D45011DEA95CA4428EC25FA0&originationContext=documenttoc&transitionType=Default&contextData=(sc.Default)&bhcp=1

7) https://www.tkk-lab.jp/post/reach-q544

8) https://govt.westlaw.com/calregs/Document/I18AE85B9BCA148788DB150CC1DEEB7D3?originationContext=document&transitionType=StatuteNavigator&needToInjectTerms=False&viewType=FullText&contextData=%28sc.Default%29

9) https://oag.ca.gov/prop65/annual-settlement-reports

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