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Q556.大人向けアクセサリーでの玩具指令の要求
2020年1月18日更新
【質問】
当社では大人向けのアクセサリーを販売しています。 顧客(バイヤー)から、玩具指令の基準を満たすように要求がありました。 どのように対応したらいいのでしょうか。
【回答】
ご質問の事例は一般消費者向けの貴社の製品をEU域内に上市する貴社の販売先が、適用される「一般的な製品安全に関する欧州議会および閣僚理事会の指令2001/95/EC」(GPSD)の対応のためであると考えられます。
GPSDはEU域内で「安全な製品」のみが販売されることを目的にして制定されました。 一般消費者向けの製品の内、RoHS指令、玩具指令などの規制で適用されない部分を補完する役割を持っています。 貴社の製品である「大人向けアクセサリー」についてはGPSDの順法が求められることになります。
GPSDでは生産者に対して、「安全な製品」のみをEU域内に供給することを義務付けています。 GPSDにおいては、安全な製品についての明確な基準はありません。 製造者は製品の安全基準を一般消費者がどのような形で製品を使用するかを合理的に考慮して、自ら決定することになります。 安全基準は玩具指令や機械指令などの指令で定められた基準を参考することになります。 子供が遊びの中で安全に玩具を使用できることを考え、玩具指令は厳しい安全基準を定めています。 貴社の販売先は玩具指令の安全基準を採用すれば、大人向けアクセサリーの安全性に問題ないと考え、貴社に玩具指令の基準を満たすように要求していると考えられます。
玩具指令では14歳未満の子供が遊びの中で使用するように設計または使用することを意図した玩具に対して適用されます。
玩具指令の安全要求事項は第10条(一般安全要求事項)と附属所II(個別の安全要求事項)で規定されています。 個別の安全要求事項としては「物理的および機械的特性」、「可燃性」、「化学的特性」、「電気的特性」、「衛生」、「放射性」と6つの項目に分けて定めています。 今回の顧客からの要請の「化学的特性」に関しては頻繁に改正が行われているので注意が必要です。 最近では、2019年11月19日付でポリマーやチップボード、布地、皮革、紙、水性の玩具素材に含まれるホルマリンの新たな上限値を導入する委員会指令2019/1929が官報公示されました。注1)(2021年5月21日より適用)
なお、貴社の製品をEU域内に上市する場合、REACH規則の適用を受けます。 REACH規則では、ブレスレットやネックレスなどの宝飾品(大人用アクセサリー)について下記内容の使用制限が設けられています。注2)
(a)カドミウム
【制限条件】
0.01wt%以上含有するネックレス、ブレスレット、リング、
腕時計、リストウエアー、ブローチ、カフスなどの宝飾品
(b)ニッケルおよびその化合物
【制限条件】
直接かつ長時間皮膚に接触することが想定され、放出速度が
0.5μg/cm2を超えるイヤリング、ネックレス、アンクレット、
指輪、腕時計
(c)アゾ色素およびアゾ染料
【制限条件】
30㎎/kgを超える濃度で放出する可能性がある場合と人の皮
膚または口腔に直接かつ長時間接触する皮革製品
(d)6価クロム化合物
【制限条件】
革の乾燥質量に対して3mg/kg以上含有し、革部分が皮膚と接
触する革製品
玩具指令の有害物質の許容含有制限値は、REACH規則の値と比較してみると、例えば、カドミウムの許容値が0.75mg/kg(0.0075wt%)など総じて制限条件よりも厳しいものとなっています。
注1)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32019L1929&from=EN
注2)