当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

Q560.成形品でのCLSの情報提供

2020年04月03日更新

【質問】 REACH規則では、成形品にCLSが0.1%以上含有されている場合に、成形品の供給者は川下ユーザーや消費者に情報提供を行うことになっていますが、どのような情報を提供しなければならないのでしょうか。

【回答】 REACH規則の第33条では、成形品中の物質に関する情報伝達の義務を規定しています。 1項において、CLSが0.1%以上含有されている成形品の供給者は、その受取人に対して成形品の安全な使用を可能にするために、供給者が利用できる十分な情報(少なくとも物質の名前を含む)を提供するものとしています。 さらに2項では、CLSが0.1%以上含有されている成形品の供給者は、消費者の要求に応じて、消費者の安全な使用を可能にするために、供給者が利用できる十分な情報(少なくとも物質の名前を含む)を消費者に提供するものとしています。 これらの情報は、要求を受けてから45日以内に無料で提供することが求められます。 どのような情報を伝達すべきかについては、成形品に含まれる物質の要件に関するガイダンスVer4.01)の3.4.1項において詳しく説明されています。 まず、提供すべき情報を特定するにあたり、成形品の生産者または輸入者はサプライチェーンの最初の行為者として、当該成形品に対する予見可能な処置や行為を考慮する必要があります。 また、サプライチェーン川下の行為者は、次のユーザーが成形品をどのように使用するのかをより正確に理解したうえで、顧客の活動に関する補足情報を特定する必要があります。 提供すべき情報を特定する場合、成形品のサプライヤは、成形品における製品ライフサイクルのすべての段階を考慮する必要があります。 製品ライフサイクルの段階には以下のようなものが含まれます。 •工業的、専門家向けの再加工または組み立て •梱包(再梱包)または保管 •設置や保守といった工業的使用、専門家向け使用、および消費者による最終使用 さらに、サプライヤは成形品のリサイクルと廃棄を考慮し、予測される消費者による誤用についても想定する必要があります。 製品ライフサイクルの各段階において、安全に使用するために必要とされる情報には以下のようなものが含まれます。 ①使用条件:温度、屋外・屋内、頻度、持続時間など ②ばく露と放出を効果的に削減できるリスク管理措置 必要とされる情報は受け手によって異なる場合があるため、情報の評価および決定はケースバイケースで行う必要があります。 たとえば、成形品が「子供の手の届かないところに保管されるべきである」という情報は工業用途の使用者は必要としませんが、消費者にとっては有効な情報です。 いっぽう、成形品をさらに加工する際に、「物質の労働者へのばく露を制御する手段」といった情報は、工業用途および専門家用途の使用者に有効な情報です。 ばく露・リスクベースで検討を行うことにより、受け手にとってどの情報が有益であるかを判断できることもあります。 人間または環境へのばく露の可能性がない、またはごく僅かであるという確証がある場合には、提供する情報は物質の名前のみで十分である可能性があります。 以上のように第33条の情報伝達の義務において、サプライヤは伝達する情報を自らで判断する必要があります。 そのため、自社製品の使用用途やサプライチェーン上における受領者、製品ライフサイクルのあらゆる段階におけるばく露・リスク等を十分に検討することが重要だと考えられます。 なお2018年6月に廃棄物枠組み指令(WFD)が改正2)され、上記第33条1項の情報伝達の対象となる成形品のサプライヤは、2021年1月5日からECHAへの情報提供が義務付けられることとなりました。 ECHAへの情報提供は2020年10月末より運用予定とされているSCIPデータベース3)によって行われ、提出されたデータに基づいて廃棄物処理業者や消費者が成形品の最適な使用、処理、廃棄等を可能にすることを目的としています。 また、CLSのなかでも残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)における残留性有機汚染物質(POPs)として規制されている場合、REACH規則とは異なる濃度が設定されていることがあります。 例えばデカブロモジフェニルエーテル(decaBDE)は、POPsの附属書Aに収載されており、総量で500mg/kg以上含有する成形品の製造、輸入、使用等が禁止されています。 このようにREACH規則における義務だけではなく、他法規による要求事項についても注意を払う必要があります。 1) https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/articles_en.pdf/cc2e3f93-8391-4944-88e4-efed5fb5112c 2) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32018L0851&from=EN 3) https://echa.europa.eu/scip-database

466回の閲覧

最新記事

すべて表示

2022年01月14日更新 【質問】 当社は物流関連のモジュール製品を製造しています。 今回、食料品の物流関連の顧客より引き合いがあり、HACCP対応を求められました。RoHS/REACHについては遵守しています。 RoHS/REACHに対応していることで、HACCPにも対応できているか教えて下さい。 【回答】 1.HACCPとは HACCP(ハサップ)とは、Hazard Analysis and

2021年12月10日更新 【質問】 プラスチック製の子供向けの車のおもちゃを製造しています。アメリカの輸出先よりTSCA PBT 5物質の非含有証明を求められました。材料メーカーに確認したところ意図的含有は無いが、非意図的含有ゼロの証明は難しいと言われました。実際、どのように対処すれば良いのでしょうか。 【回答】 ご質問のTSCA PBT 5物質は、2021年に有害規制物質法(TSCA)の第6条

2021年11月19日更新 【質問】 EUMDRの対象製品を開発しています MDRでは、CMR物質やフタル酸エステル類を含有させた成形品の使用は許容されていると思いますが、そのような成形品を採用する上での留意点を教えてください。 【回答】 1.州医療機器規則(EU MDR)の化学物質に関する規制 医療機器規則(EU MDR)((EU) 2017/745)は、医療機器指令(Medical Devic