当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q565.包装・梱包材に含有しているCLSの情報提供義務について

2020年05月29日更新

【質問】 EUに製品を輸出していますが、包装資材の一つにCLSが0.1wt%を超過するものがあります。 しかし、包装・梱包材全体でみるとCLSは0.1wt%を超過しません。 このような場合でもCLSの情報伝達義務は発生するのでしょうか。

【回答】 包装資材は、REACH規則の成形品ガイド(1) 2.5項において、主な機能が物質や混合物、成形品などの保護であり、その機能が化学組成より重要な場合は、成形品と判断されると記載されています。 また、包装・梱包材は包装している物質や混合物、成形品と一体ではない場合は、包装・梱包材を構成する包装資材はそれぞれ独立した成形品となります。


例えば、混合物であるインクとその容器からなるプリンターインクカートリッジは、インクを消費した後、容器が空容器として廃棄されるため、インクと容器は一体ではありません。 また、包装袋に入ったDVDディスクは、使用時あるいは破棄時に包装袋とDVDディスクが一緒である必要がありません。


一方で、作業場の化学物質濃度を測定する検知管や使い捨てカイロなどは、廃棄する段階においても容器と中の物質、混合物が分離されません。


前者のプリンターインクカートリッジの容器やディスクの保護袋は、それぞれ独立した成形品として扱われます。 後者の検知管や使い捨てカイロは、中身と容器が一体であり、全体として一つの成形品になります。


REACH規則の下で成形品とされるものは、成形品ごとに要件を判断するとしていますので、包装・梱包材全体でCLSが0.1wt%を下回っていたとしても、複数の資材(成形品)である構成された包装資材の一つにCLSを0.1wt%以上含有している場合は、その包装資材に第33条が適用され、情報伝達義務が発生します。

◆包装・梱包材を構成する成形品の確認

包装・梱包材を構成する成形品は、例えば個装箱がプラスチック容器の場合、プラスチック容器を成形品としてCLSの含有量について調査します。


また、輸送箱として使用するガムテープを用いて組み立てられた段ボールケースの場合は、ガムテープと段ボールケースのそれぞれを成形品として、CLSの含有量を調査します。


さらに、輸送用パレットなどを用いるオーバーパックの場合は、パレット本体とともに接着剤で接合した部品などパレットを構成する部品の一つ一つを成形品として、CLSの含有量を調査します。


貴社においては、上記の考えを適用しながら包装・梱包材を構成する成形品を特定し、成形品ごとに化学物質の含有量を調査する必要があります。 その結果、それらの成形品のうちの1つ以上にCLSが0.1wt%を超過するものが含まれていることを確認した場合、その成形品に関する情報伝達の義務への対応をREACH規則の第33条に基づいて行います。

◆輸送中に規制が公布される場合

包装資材は輸送に用いられる成形品のため、輸送中にCLSの追加など新たな規制が公布されるケースが想定されます。


REACH規則は上市の際に適用可能な法令が適用されます。 本ケースにおいて上市は、EU側からみた場合の輸入にあたります。輸入についてREACH規則では、第3条にて「EU関税地域への物理的導入」と定義しています。 「EU関税地域への物理的導入」は貴社の輸出品の通関日です。 つまり、貴社の輸出製品の通関日によっては、CLSの追加などで情報伝達義務に関する判断が輸送中に変更となる可能性があります。


したがって、貴社においては新たなCLS収載に関するパブリックコメントなどの最新情報を事前に把握するとともに、利用可能な範囲において新たに収載されるCLSについて情報伝達を行う準備をすすめておく必要があるといえます。

以上から貴社においては、包装・梱包材を構成している成形品ごとにCLSの含有状況などを把握し、輸送中の法規制の変更などに対しても柔軟に対応できるような体制を整えておくことをお勧めします。

(1) https://echa.europa.eu/guidance-documents/guidance-on-reach

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