当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q581.CLP規則と国内法令との違いについて

2020年11月16日更新

【質問】

当社は化学品のEUへの輸出を予定しています。 化管法に基づくラベル表示を実施済です。 EUに輸出に際して、CLP規則に基づくラベル表示をどのようにすれば良いのでしょうか。 日本国内法令の違いを中心に教えて下さい。

【回答】

日本国内におけるラベル・SDSの作成表示については、GHSに基づく国内規格JIS Z 7252により物質の危険有害性分類を行い、その結果に基づいてJIS Z 7253 によりラベル・SDSの表示及び作成を行うこととなっています。 化管法も条文でJISを引用していることから、JIS Z 7252/7253に準拠した分類・ラベル表示を求めています。


JIS Z 7253は2019年5月にGHS第6版準拠に改正されました(JIS Z 7253:2019)が、2022年5月24日までは旧版(JIS Z 7253:2012、GHS第4版に準拠)との併用を認めています。


JIS Z 7253ではラベル記載項目として次の6項目を定めています。

1) Supplier identification(供給者を特定する情報、住所、電話番号)

2) Product identifiers(化学品の名称)

3) Pictograms(絵表示)

4) Signal words(注意喚起語)

5) Hazard statements(危険有害性情報)

6) Precautionary statements(注意書き)


一方、CLP規則はGHS第7版に準拠して規定されており、物質及び混合物の分類・表示・包装・届出などの義務を課しています。 CLP規則に基づいた分類の結果「危険有害性あり」と判断される物質、もしくは混合物中に「危険有害性あり」と分類される濃度限界値以上含有している場合にラベル表示が必要となります。


なお、分類対象の物質が附属書Ⅵパート3表3の「危険有害性物質の調和化された分類及び表示リスト」に収載されている場合、原則としてこの表で定められた分類結果を使用しなければなりません。


ラベルに表示すべき内容はJIS Z 7253とほぼ同様ですが、CLP規則独自のものとして、混合物を対象としたUFI(Unique Fomula Identifier、固有の成分識別子)があります。 UFIはECHAへの届出により取得し、混合物の構成や危険有害性を登録し、所定のラベル表示をします。 規制の適用開始時期は用途によって異なり、一般消費者向けおよび試験・分析などの専門用途向けは2021年1月1日、工場などの産業向けは2024年1月1日から適用開始されます。


CLP規則独自の取り決めとして、少量容器に入った物質や混合物について、一部のラベル表示項目の免除が認められています。 例えば、125ml未満の小さな容器に入った物質や混合物で、形状や容器サイズによりラベルの貼付が困難の場合、その危険有害性分類に応じて、絵表示(Pictograms)、危険有害性情報(Hazard statements)、もしくは安全対策・応急措置・保管・破棄に関する記載(Precautionary statements)などをラベル表示から省くことができる場合があります。 少量容器のラベル表示免除項目については、容量や危険有害性分類によって細かく規定が定められておりますので、ラベリングガイダンスを確認することを勧めます。


参考:「Guidance on labelling and packaging in accordance with Regulation (EC) No 1272/2008」 Version 4.1 May 2020

https://echa.europa.eu/documents/10162/23036412/clp_labelling_en.pdf


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