当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q584.SCIP登録義務の期限について

2020年12月11日更新

【質問】

2021年1月5日以降、EU域内にCLSを0.1wt%以上含有する成形品を供給する場合、SCIPの登録の猶予期間はあるのでしょうか。 また、期限までに登録が間に合わなかった場合の対応も教えて下さい。

【回答】

SCIPデータベースへの登録義務は、廃棄物段階だけでなく製品のライフサイクル全体を考慮して廃棄物指令((EC)2008/98:新WFD)の修正指令((EU) 2018/851)で制定されています。(1)

この指令の第9条(i)は「2021年1月5日以降、REACH規則第3条33項で定義された成形品の供給者は、REACH規則第33条1項に基づく情報を欧州化学品庁(ECHA)へ提供することを確保する」としています。

REACH規則第33条1項の情報伝達の義務は、「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス(第4版)」の3.2.1項によると、EU域内の「生産者/輸入者から最終使用者に至るサプライチェーンの供給者すべてにあります。(2)


したがって、SCIPデータベースへの登録(情報提出)についても、REACH規則第33条1項の情報伝達の義務と同様にEU域内に成形品を供給するまでに実施する必要があり、猶予期間などは設けられていないと考えられます。

廃棄物指令は加盟国の国内法に転換して発効します。 また、REACH規則第33条1項の要件は、「供給者が利用可能(available to the supplier)」な情報の提供です。


廃棄物指令はTFEU(THE TREATY ON THE FUNCTIONING OF THE

EUROPEAN UNION:欧州連合の機能に関する条約)の第192条(1)で制定されています。第192条(1)は第191条(環境政策の目的および原則)の目的を達成するための条項です。

第191条は、3項で「利用可能な科学的および技術的情報」等を考慮するとしています。

何もしなければ、「利用可能な情報」集まりません。これは許されなく“Due diligence”といわれる、企業としてやるべきことをやった結果として、「供給者が利用可能」な情報の有無によります。


廃棄物指令による加盟国の国内法は、TFEU第191条(2)の「各地域における事情の多様性」を考慮します。

REACH規則のように、「この規則は、その全体において拘束的であり、すべての加盟国において直接適用されるものとする(第141条)」となっていないので、加盟国は独立した法律にする場合もありますが、既存の法律に統合している場合があります。


ドイツ法は「循環経済を促進し、環境にやさしい廃棄物管理を保護するための法律」で規制しています。(3)

フランス法は、「廃棄物と循環経済 対応法」で規制しています。(4)


罰則はありますが、2021年1月5日からECHAのデータベースへの登録する規定が確認できていません。

下位規定や通達で出されている可能性がありますが、言語の壁があり、検索ができていません。

 

一方、市場監視は規則(EC)765/2008により行われます。この規則は規則(EU)2019/1020で修正され、2021年7月16日から改定施行されます。


改定規則(EC)765/2008は附属書Iに収載された70のEU整合法令が対象です。附属書Iに廃棄物法は収載されていませんが、第1条で「この規則は、附属書Ⅰに掲げるEU整合法令の適用を受ける製品について適用する。ただし、EU整合法令において、市場の監視及び執行の特定の側面をより具体的に規制する同一の目的を有する特定の規定が存在しない場合に限る。」としています。


この条項は、前文第1文節でこの背景が示されています。

製品がEU域内で自由に移動することを保証するためには、製品がEU整合法令に適合していることを保証することが必要であり、従って、健康及び安全全般、職場における健康及び安全、消費者の保護、環境の保護、公安並びに同法により保護されるその他の公益の保護のような公益の高水準の保護を提供する要件を満たすことが必要である。


規則(EC)765/2008は税関業務も対象ですので、通関停止の処置の可能性があります。


ECHAのSCIPデータベース登録は始まっていますので、2021年1月5日の登録に向けて、最大限の努力をするのが基本です。


一部期待半分で言われている延期の可能性は低く、成形品のCLSの代替化の取り組みを並行して実施することが求められています。


(1) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX%3A32018L0851


(2) Draft_for_final_tracked_ex_CARACAL_x-check (europa.eu)

(3)

https://www.bmu.de/fileadmin/Daten_BMU/Download_PDF/Gesetze/novelle_krwg_bf.pdf


(4) https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000041553759


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