当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q587.chemSHERPAの代替手段について

2021年01月29日

【質問】

当社は海外より製品を輸入して国内で販売しています。 販売先よりchemSHERPA提出の依頼が来ています。 輸入品のため、chemSHERPAの入手は困難です。 販売先はchemSHERPAの一点張りです。 有効な代替方法を教えて下さい。

【回答】

chemShelpaは2016年4月よりアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)により運営されている情報伝達スキームです。 製品に含有される化学物質を適正に管理し、サプライチェーンにおける情報伝達を可能にすることを目的としており、経済産業省ではグローバルなサプライチェーンで活用されることを目指して国際的な普及活動を進めています。 海外サプライヤーにとっても以下のようなメリットがあります。


・国際標準であるIEC-62474(電気電子業界およびその製品に関する材料宣言)に準拠していること~日本向けのローカルなシステムではなく、RoHS指令の技術文書作成の整合規格であるEN IEC63000:2018でも材料宣言規格としてIEC62474を引用している

・アジアを中心に政府間でchemSHERPAを標準ツールとする動きがあること

・2021年1月より開始された欧州のSCIPデータベース入力にも対応していること

・化学物質の情報伝達、規制遵守のエビデンスとして効率がいいこと


しかしながら、2019年時点でのJAMPによるアンケート結果1)では、chemSHERPAによる情報提出の回答を拒否された経験のある事業者は50%を超えており、その理由として、「中小企業でツールが使えない」と並んで多いのが「海外サプライヤーであるため」でした。 また、「回答拒否を減らすために有効と考えられる方策は?」との質問に最も多かった回答は「普及・啓発を促進させ、特に海外に対して普及させれば回答拒否は減る」でした。


基本的方針としては、海外のサプライヤーに対してchemSHERPAの使用を粘り強く促すべきだと考えられますが、対応には時間がかかると考えられますので、当面の国内顧客に対しては代替手段を提案し受け入れてもらうよう交渉が必要です。これら対国内顧客および対海外サプライヤーへの対応方針について以下に記します。


(国内顧客に対して)

代替手段としては、サプライヤーから入手できる情報を元に輸入者がchemSHERPAに登録して顧客に提供する方法が考えられます。 製品の構造が複雑で、部品点数も多い場合は完全な情報を網羅することは困難と思われますが、不十分な部分をSVHC調査報告書や非含有証明書、不使用証明書などで代替することを顧客に受け入れてもらえるよう交渉します。 その際に、海外サプライヤーの教育に時間がかかることを説明し、できれば後述するようにサプライヤーと合意したchemSHERPAの導入スケジュールを示して、代替手段での提供の期限を示すことが有効と考えられます。chemSHERPAへの登録に関しては民間の入力代行会社も存在しますので、こうした会社を活用することも検討されるといいでしょう。


(海外サプライヤーに対して)

海外サプライヤーに対して、前述したようなchemSHERPAの様々なメリットを説得材料として交渉されると良いと思います。 chemSHERPAはあくまでもツールであり、データ自体は国際標準であるIEC62474に準拠しているので汎用的に使うことが出来るという点がポイントになります。 また、海外サプライヤーへの普及活動として、JAMPでは以下の取り組みが行われています。


・英語、中国語のマニュアルの提供

・英語、中国語の入門テキストおよび学習動画の提供

・海外サプライヤー向け共同現地説明会の開催


これらの材料を用いて粘り強く交渉し、いつまでにchemSHERPAの活用を開始するというスケジュールを合意することを目指し、必要なサポートをしていくことが肝要です。 マニュアルやテキスト、学習動画はchemSHERPAのウェブサイト2)から誰でもダウンロードすることが出来ます。


(参考)

1)

https://chemsherpa.net/wp-content/uploads/2020/01/2019chemSHERPA-questionnaire-.pdf

2)

https://chemsherpa.net/


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