当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

Q588.中国国内のグループ子会社に接着剤を支給した場合のGB規格の適用について

2021年02月05日更新

【質問】

日本国内で調達したVOCを含有する接着剤を中国国内のグループ子会社に有償支給しています。 グループ子会社は接着剤を製造工程で使用しています。 この場合、VOCのGB規格品の支給義務はあるでしょうか。 無償支給であればどうでしょうか。

【回答】

中国における接着剤のVOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)に対する規制は、GB33372-2020:接着剤の揮発性有機化合物(VOC)の制限量(以下、本強制標準)として告示され、2020年12月1日から施行されています1)。


VOCの定義は、GB/T 5206-2015:塗料とワニスの用語と定義の中で、「常温常圧下で、自然に蒸発する可能性のある液体または固体有機化合物」としています2)。 接着剤を始め塗料やインクなどの製品に含まれるVOCなどの有害物質の制限に関する7件の国家強制標準(GB規格)が2020年3月4日に告示され、その内の5件が12月1日に施行されました。 中国に輸入される接着剤・塗料・インクにも同じく適用されます。 大気環境への影響が顕著なVOCの排出対策が未だ不十分なため、原材料の段階から低VOC含有量に転換することでVOC物質の排出量を削減する源流管理に拠っています。 制定の背景を含め、7件の強制標準の概要は、本サイトのREACHコラム(8月26日)で紹介しています3)。


接着剤に対する本強制標準の内容は、5.1項に基本的要件として、接着剤中のベンゼン類・ハロゲン化炭化水素・トルエンジイソシアネート・遊離ホルムアルデヒドなど個々の揮発性有機化合物の含有量は、GB30982もしくはGB19340の規定に適合することを求めています4)5)。 その基準は接着剤のタイプ(溶剤型・水性型・固形型)や用途、材質ごとに設定されています。例えば、溶剤型のSBS(ゴム)系接着剤中のベンゼンは5g/kg以下と規定されています。 接着剤が複数の用途に使用される場合には、各要件における最も低い制限量への適合が必要です。

さらに、5.2項から5.4項において、接着剤のタイプ(溶剤型・水性型・固形型)と、その用途(建築用・内装用・家具用など)ごとに総VOC量の制限を設定しており、附属書AからEにおいて、接着剤のタイプ別にVOC含有量の測定方法を規定しています。


適用除外は、本強制標準の第1項に以下の要件が規定されています。

・接着剤用の生産原料もしくはその中間体

・研究開発用もしくは分析評価用

・尿素ホルムアルデヒド、フェノールもしくはメラミンホルムアルデヒド系接着剤

・接着時に使用する特殊な機能を持つ表面処理剤

なお、WTO通報版に記載されていた「100ml未満に小分けされた接着剤」は、本強制標準では適用除外から削除されています6)。


さて、大気汚染防止法第44条において、「揮発性有機化合物を含む原材料および製品を製造、輸入、販売および使用する場合、揮発性有機化合物の含有量は品質基準または要件を満たさなければならない」としています7)。 上記要件として、接着剤では本強制標準が該当すると考えられます。


ご質問のケースでは、接着剤として中国に輸入され、現地の製造工程で使用されていますので、本強制標準の適用除外には該当せず対象となります。 無償供与に関する除外規定は無く、源流管理の点からも有償・無償の区別なく適用されますので、無償に変更された場合でも対象となり、提供されている接着剤の種類および用途における本強制標準の基準に適合していることが必要です。


1) http://www.gzns.gov.cn/attachment/6/6722/6722588/6931066.pdf 

2) http://std.samr.gov.cn/gb/search/gbDetailed?id=71F772D80682D3A7E05397BE0A0AB82A (リンクが難しい場合あり)

3) https://www.tkk-lab.jp/post/reach20200826

4) http://openstd.samr.gov.cn/bzgk/gb/newGbInfo?hcno=34A7173C8B6D2757DAEB6C4BEE8B9175 (リンクが難しい場合あり)

5) http://openstd.samr.gov.cn/bzgk/gb/newGbInfo?hcno=D84DED0398E4534A662BC29CF373CE66 (リンクが難しい場合あり)

6) https://members.wto.org/crnattachments/2019/TBT/CHN/19_5663_00_x.pdf (WTO通報版)

7) http://www.moj.gov.cn/Department/content/2019-01/16/592_226964.html


488回の閲覧

最新記事

すべて表示

Q608.工業用途の混合物のEU毒物センターへの届出制度について

2021年09月17日更新 【質問】 工業用途の混合物のEU毒物センターへの届出制度について質問があります。 混合物の組成、含有率を非公開にしたく、混合物の組成に関する情報提供は、EU向けSDSに記載されている物質の情報のみでよいでしょうか。 【回答】 SDSの目的は化学物質を安全に取り扱い、事故や災害を未然に防止することです。 そのため、受領者が物質や混合物等の化学品の有害性を容易に特定できるも

Q607.塗料や接着剤を使用している製品の化審法適用対象について

2021年09月03日更新 【質問】 当社は産業用機器のメーカーで、製品には塗料や接着剤が使用されていますが、当社は化審法の対象となるのでしょうか。 それとも材料メーカーが対象となるのでしょうか。 【回答】 ◆化審法の義務 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、化審法)(1)の適用範囲は次のようになっており、貴社のように製品に塗料や接着剤を使用する場合、適用対象外になると考えられます。

Q606.EUのPBT規制の動向について

2021年08月27日更新 【質問】 EUのPBT規制の動向を教えてください。 【回答】 1.PBT規制とは 「PBT」は、難分解性(persistent)、高蓄積性(bioaccumulative)、毒性(toxic)の略語です。PBTがある化学物質を規制する仕組みが、「PBT規制」です。また、「vPvB」とは、「とても難分解性(vP)で、とても高蓄積性(vB)」です。 PBTの概念は、2001