当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q590.PVCを素材とした健康器具の遵法宣言について

2021年03月01日更新

【質問】

健康器具としてPVCを素材としたバランスディスクを販売しています。 EUから引き合いがあり輸出を計画しています。遵法宣言が要求されていますがどのように対応したらよいでしょうか。

【回答】 消費者向けバランスディスクをEU向けに輸出する場合、「一般製品安全指令(GPSD) 2001/95/EC」(1)が適用される可能性があります。 一般製品安全指令(GPSD)の目的は、市場に出る製品が安全であることを保証するというところにあります。 ここでいう「安全な製品」とは、通常または予見可能な使用条件下で有害性に関するリスクを示さないまたは最小限のリスクのみでとどまる製品のことを指しています。


「安全な製品」の要件は破裂などの物理的な事項もありますが、ここでは化学的な事項について、言及します。

化学的な安全性は、一般家庭で使用する製品は、子供が触れる可能性を考慮して、玩具ではないのですが、「欧州玩具指令2009/48/EC」(2)の基準を準用します。 「欧州玩具指令」には、附属書Ⅱに使用禁止物質および使用制限物質の記載があり、「発がん性」「生殖毒性」「変異原生」(CMR)物質が使用制限されます。 アレルギー性の香料なども制限され、子供が製品を舐めた場合の溶出量制限もあります。


◆取り扱う製品中の化学物質の確認

貴社の取り扱う製品の素材はPVC(塩化ビニール)であることから、添加剤として軟らかくしなやかにするための可塑剤が使用されているものと考えられます。 この可塑剤がどのような種類のものであるかがポイントとなります。 例えば、可塑剤として使用率が高いフタル酸系の可塑剤(3)のうちDEHP、DBP、BBP、DIBPが使われがちですが、いずれも生殖毒性があり、使用が制限されます。

また、他のフタル酸エステル類についても有害性に関する評価が進行しており、今後規制対象となる可能性があります。

カラーボールである場合、色素についても成分確認が求められます。

また、「燃えないこと」が要件にありますので、難燃剤にも留意が必要です。「機械的に壊れない」ために、耐UV剤なども添加されがちで、耐UV剤には有害性が危惧されるものもあります。


遵法対象の法規制は、玩具指令、REACH規則の認可物質、制限物質やPOPs規則など多々ありますので、対象法規制とその基準をリストすることが必要です。

したがって、貴社においては取り扱う製品について、素材リストを作成し、原材料から含有化学物質の内容をSDSなどで確認し、有害性に関する評価状況も踏まえた上で自社基準を定めるなどの検討をすることをお勧めします。


◆適合宣言の要件

バランスディスクは玩具ではないので、CEマーキングは行いませんが、玩具の安全基準を満たしていることを輸入者に保証することになります。

適合宣言は、ISO17050-1(適合性評価-供給者宣言)に準拠しておこなうことができます。


基本的事項は、バランスディスクのサンプルをST(Safety Toy : 安全玩具)基準の検査を受けて、その製法を維持できる仕組み(マネジメントシステム)を記述できるようにします。


◆マネジメントシステムの構築

管理体制の構築は、貴社の業態にもよりますが、ISO9001:2015、エコステージやJIS Z 7201:2017などを参考として設計・開発、購買、製造および引き渡しの各段階において実施します。

設計・開発段階では、日本および輸出先国の法規制に対応できるように製品の含有物質に関する管理基準を定め文書化した情報として利用可能な状態にするのが望ましいといえます。 具体的には、開発仕様書(設計仕様書)などで示すことになります。

購買段階では、購買先に対し貴社の製品含有化学物質に関する管理基準を示し、情報を入手します。 入手した情報にて貴社の管理基準を満たすかどうかの確認をし、その結果を文書化した情報として保持します。 情報の入手方法としては、SDSやChem SHERPAの利用などが想定されます。 また、受け入れ時においても現品と情報の照合や必要に応じた測定など確認方法を明確化し、その結果を文書化した情報として保持するのが望ましいといえます。


製造段階では製造工程における製品含有化学物質に関する管理基準に基づき製造工程を管理し、文書化した情報を保持するのが望ましいといえます。 管理する製造工程においては、可塑剤など管理対象となる化学物質の誤使用および汚染の防止についても考慮する必要があるといえます。


製品の引き渡し段階では、購買から製造までの各段階において製品含有化学物質に関する管理基準を全て満たすことを確認し、製品含有化学物質管理基準への適合を文書化などで証拠として残すことが望ましいといえます。


サプライヤーの4M(Man(人)、Machine(機械)、Method(方法)、Material(材料))の変更管理は重要になります。 何時の間にか、4Mが変更されて(サイレントチェンジ)、問題を起こす事例があります。


(1)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32001L0095

(2)

https://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2009:170:0001:0037:en:PDF

(3)

https://www.vec.gr.jp/anzen/anzen2_2.html

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