当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q616.第26次CL物質の含有調査方法について

2022年02月18日更新

【質問】

2022年1月17日に第26次CLSとして4物質追加されました。

その中で

(±)-1,7,7-trimethyl-3-[(4-methylphenyl)methylene]bicyclo[2.2.1]heptan-2-one covering any of the individual isomers and/or combinations thereof (4-MBC)はCAS RN(R)

に記載されていません。

含有調査はどのようにしたらよいのでしょうか。

 

【回答】

ご質問の、2022年1月17日にCLSに追加1)された (±)-1,7,7-trimethyl-3-[(4-methylphenyl)methylene]bicyclo[2.2.1]heptan-2-one covering any of the individual isomers and/or combinations thereof (4-MBC) に関して、括弧書きで書かれている4-MBCはこの物質の慣用名(4-methylbenzylidene camphorと呼ばれる)ですが、その直前に “covering any of the individual isomers and/or combinations thereof” という表現があります。 これは「個々の異性体 および/または その組み合わせのいかなるものも網羅」という意味です。 異性体とは、分子式は同じ(分子を構成する原子の種類と原子の数は同じ)であるけれども、構造や立体的な配置などが異なる物質のことです。 つまり、(±)-1,7,7-trimethyl-3-[(4-methylphenyl)methylene]bicyclo[2.2.1]heptan-2-one covering any of the individual isomers and/or combinations thereof (4-MBC) が示しているのは、1種類の物質ではなく、複数の種類の物質を含む物質群の総称であるため、CAS RN(R) が特定されていません。


CLSへの追加が検討された加盟国委員会支援文書 2) には、本物質の詳細について記載されています。 個々の異性体およびその組み合わせがCLSの対象になった経緯として、「異なる異性体間の構造の類似性、および個々の異性体に関する証拠の欠如のため、個々の異性体 および/または その組み合わせはすべて内分泌かく乱作用を有すると仮定せざるを得ない」と説明されています。 また、この文書の表1.3に「提案されたエントリーが対象とする物質の非網羅的なリスト」として、以下の7つの物質(括弧内にCAS RN(R)を記載)が挙げられています。


・(1S,3E,4R)-1,7,7-trimethyl-3-(4- methylbenzylidene)bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 852541-30-1)

・(1R,3E,4S)-1,7,7-trimethyl-3-(4- methylbenzylidene)bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 95342-41-9)

・(1R,3Z,4S)-1,7,7-trimethyl-3-(4- methylbenzylidene)bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 852541-21-0)

・(1S,3Z,4R)-1,7,7-trimethyl-3-(4-methylbenzylidene)bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 852541-25-4)

・(3E)-1,7,7-trimethyl-3-(4-methylbenzylidene)bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 1782069-81-1)

・(1R,4S)-1,7,7-trimethyl-3-(4-methylbenzylidene)bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 741687-98-9)

・(±)-1,7,7-trimethyl-3-[(4-methylphenyl)methylene]bicyclo[2.2.1]heptan-2-one (CAS RN(R): 36861-47-9)


上記の物質名およびCAS RN(R)の情報については、ECHAが公開しているCLSの一覧表 3) および、当該物質の詳細情報が掲載されているページ 4) でも確認することができます。


化学物質の名称はIUPAC命名法に則ることが基本ですが、複雑な物質の場合には名称が長くなり、その物質の構造を理解することが難しいことがあります。 そのような場合には、CAS RN(R)やEUの場合にはEC番号を使うことによって規制対象物質を正確に特定することができます。 しかしながら、今回のように規制の対象が物質群であり複数の物質が対象となっている場合に加え、CAS RN(R)が登録されていない物質の場合には、CAS RN(R)による含有調査が難しくなります。 このような場合には、対象となる化学物質の構造などを理解した上で、サプライヤーに対しても原材料や部品に関する技術情報(SDS、材料宣言、分析試験結果など)の提供を依頼し、含有される可能性について確認することが重要です。


【参考URL】

1)ECHA, Four hazardous chemicals added to the Candidate List

https://echa.europa.eu/-/four-hazardous-chemicals-added-to-the-candidate-list


2)加盟国委員会支援文書(2021年11月29日採択)

https://echa.europa.eu/documents/10162/41008a30-53db-84bd-6d4e-7f31d9aa78dc


3)ECHA, Candidate List of SVHCs for authorisation

https://echa.europa.eu/candidate-list-table


4)ECHA, Substance Infocard

https://echa.europa.eu/substance-information/-/substanceinfo/100.325.076

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