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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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REACH規則に見る情報伝達義務

2008.10.31


REACH規則においては、物質や調剤中の物質などに関する情報を川上事業者から川下事業者へまた、川下事業者から川上事業者へと適宜伝達することが規定されています。 以下にそれらの情報伝達について、整理します。

1.川上事業者から川下事業者への情報伝達 (1)情報伝達が必要な物質または調剤中の物質 a.物質または調剤が指令67/548/EECまたは指令1999/45/ECで規定する、危険性としてのクライテリアを満たす場合 (危険な物質) 物質については、2010年までは現行の67/548/EECの危険有害性の分類が適用され、それ以降はEUGHSの危険有害性分類規則が適用されます。混合物(調剤)への適用はそれから4年ないし、5年後となる見込です。 b.物質がREACH規則付属書XIIIに定められているクライテリアのPBTまたはvPvBに該当する場合 (2) 情報伝達方法 a.安全性データが要求される物質または調剤の場合 (1)項のaまたはbに該当する物質の場合は、安全性データシート(SDS)を製品の受領者に最初の納品の際に提供します。安全性データシートは、原則、EU域内で当該物質を製造、輸入する国の公用語で記載することとなります(10t/年以上の場合は、暴露シナリオをSDSの付属書に添付するよう義務付けられています)。 b.安全性データシートが要求されない物質または調剤の場合 最低でも物質または調剤中の物質の以下の情報を伝達する。

・登録番号

・認可に関する情報

・制限に関する情報

・リスク管理措置に関する情報

2.成形品の場合の情報伝達 (1)認可対象候補物質(SVHC)の含有量の確認 認可対象候補物質(SVHC)は最初の候補物質リストの候補として、16の候補物質が2008年6月末に提案され、そのうち15物質が認可候補物質として認定されていますが、2008年10月28日時点では、未だ公表されていません。当該リストが公表されてからSVHC含有量の確認を行います。 (2)製品供給先に必要な情報を伝達する。 成形品中に認可候補物質(SVHC)が0.1wt%を超えて含有される場合は、川下ユーザーや消費者に対して下記の情報の伝達義務があります。 a.川下ユーザーに対して 当該成形品を安全に使用できるように十分な情報 (最低限、当該物質名称) b.消費者に対して 当該成形品を安全に使用できるように十分な情報 (最低限、当該物質名称) を要求があってから45日以内に無償で提供。 上記aおよびbで伝達する情報は、サプライヤーから来た情報を物質ごとに把握し、正しく伝達することになります。サプライヤーから来ない情報は利用可能ではなく、情報として伝達することはできないからです。 (3)成形品に含まれるSVHCに関する伝達のための情報形式は、「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス(Guidance on requirements for substances in articles」および「川下ユーザーのためのガイダンス(Guidance for downstream users)」に表形式で例示されています。

3.川下から川上への情報伝達 (1)川上事業者からは、「登録」などの申請書類作成に必要な情報の提供が求められます。特に、量、用途、暴露シナリオなどのリスク評価のために必要な情報の提供が重要となります。 (2)川下ユーザーによる自らの用途の川上事業者への伝達 伝達された安全性データシートに、川下ユーザーの用途が記載されていない場合、川下ユーザーは、川上事業者(物質、調剤の製造者)に川下ユーザーの用途を伝達します。

以上述べましたように、REACH規則のより効果的な運用を担保するためには、物質の性状、安全な取扱い、川下ユーザーの用途などについて、サプライチェーン間のコミュニケーションが重要とされる所以です。

(瀧山 森雄)