当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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殺生物性製品中の特定化学物質非承認に関する委員会実施決定

規則 (EU) No 528/2012 (以降:「BPR」規則) に従って、殺生物性製品中の特定化学物質の非承認に関する委員会実施決定 (EU) 2020/1036 (1) (以降「実施規則2020/1036」)が2020年7月15日 にEU官報で公示されました。以下に当該実施規則の内容をご紹介します。

(1) BPR規則第89条に言及されている既存活性物質の系統だった検査のための作業プログラムの実行ルールを規定している委員会委任規則 (EU) No 1062/2014 (2) (以降「委任規則1062/2014) は、委員会委任規則 (EU) No 2019/277(3)により最終の修正がなされ、2019年3月30日に殺生物性製品中の既存活性物質のレビュープログラムに含まれている活性物質/製品タイプの組合せリストを附 属書Ⅱに収載しています。

(2)上記附属書Ⅱのリストに含まれている活性物質/製品タイプの組合せの幾つかは、すべての参加者 ( レビュープログラムに含まれている物質/製品タイプの組合せに対する申請の提出者、本規則第17条(5)に従っている届出の提出者またはそれらの人に代わって申請または届出を行っている提出者) がタイムリーな方法 (timely manner) でサポートを取下げています。

サポートの取下げについては、委任規則1062/2014第11条に以下の規定があります。

1. 参加者は以下の場合、レビュープログラムの物質/製品タイプの組合せに対するサポートを取下げたものとみなされるべきである。

(a) 取下げの意図を当局または評価権限当局に通知している

(b) 第3条(2)で特定されている期限内に申請の提出ができなかった

(c) 当該申請が、第4条(1)、第4条(4)または第5条(4)に従って、拒絶された

(d) 第6条(5)に規定されている期限内に追加情報の提出ができなかった

(e) 評価権限当局または当局に支払うべき料金の支払いができていなかった

2. 本規則の第6条(4)に従い、評価権限当局が申請者に評価権限当局レポートを提出する日以前に取下げが行われた場合、その取下げはタイムリーであるとみなされる。

(3)委任規則1062/2014の第12条 (3) は「同じ物質/製品タイプの組合せをサポートしているすべての参加者がレビュープログラムからタイムリーに取下げをして、当該組合せに対する参加者の役割が以前に引継がれている場合、当局は委員会に報告しなければならない。」と規定しています。当該規定に従って当局はその旨を委員会に報告しています。

委任規則 1062/2014第20条第1文節ポイント(a)においては、すべての参加者がタイムリーに取下げしていることを当局が委員会に通報した場合には、委員会は、BPR規則の第89(1)の第3文節に従い、非承認決定草案を準備しなければならないことが規定されています。

非承認決定とは、委任規則1062/2014第3条の用語の定義において、BPR規則第9条 (1)(b) もしくは第89条(1)の第3文節もしくは指令98/8/EC (BPD) 附属書ⅠまたはⅠAにそれを含んでいないことにより物質/製品タイプの組合せを承認しない決定を意味しています。

したがって、それらの活性物質/製品の組合せは殺生物性製品に使用するために承認さるべきではないことになります。

(4)参加者の役割が以前に引き継がれていなかった活性物質/製品タイプの組合せに対する参加者の役割を引き継ぐための公開招待状 (open invitation)が公表されていました。

組合せの幾つかに対しては、届出が提出されていなかったか、もしくは届出は提出されていたものの、委任規則1062/2014 第17条文節4 (届出者が当局からの支払い要求に対し、30日以内に支払いができなった場合)または文節5 (当局が届出の適合性を検証し、適合していない場合是正処置への対処の猶予を認めるが猶予期間内においても適合できなかった場合) の規定が適用され届出が拒絶されています。

委任規則1062/2014第20条第1文節のポイント(b)に規定されている本規則の第14条(2)または14条(3)により、規定されている期限内に誰も届出を提出していないまたは届出は提出されていたが第17(4)又は第17条(5) により拒否される場合にBPR規則第89条(1)の第3文節に従って、非承認決定草案を準備しなければならないとの規定が適用され、それらの活性物質/製品タイプの組合せはバイオサイド製品への使用に対しては承認さるべきではないとされています。

(5)本決定に規定されている措置は、殺生物性製品に関する標準委員会 (Standing Committee) の意見に従っています。

実施規則2020/1036の本文および附属書は以下となっています。

第1条

 附属書に収載されている活性物質はその中に指定されている製品タイプに対して承認されない。

第2条

本決定は、EU官報発行の20日後に発効する。

附属書

 すべてのナノ材料形態を含んでいる、活性物質/製品タイプの組合せは承認されない。

(筆者注)

 附属書には、委任規則1062/2014附属書Ⅱの以下の27エントリーが収載されています。37,1025,1027,1028,1029,85,195,253,346,345,359,382,1035,1036,473,1041,1044,597,939,1052,1053,1055,1056,731,811,1041,868

 例えば、エントリー37は、以下となっています。

物質名:フォルミックアシド (formic acid)

CAS RN NO : 64-18-6

製品タイプ :11,12

(瀧山 森雄)

引用

1)

https://eur-lex.europa.eu/eli/dec_impl/2020/1036/oj

2)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=OJ:L:2014:294:FULL&from=EN

3)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=uriserv:OJ.L_.2019.037.01.0001.01.ENG&toc=OJ:L:2019:037:TOC

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