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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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REACHにまつわる最近のニュース(2)

2011年1月7日更新


新年明けましておめでとうございます。

 昨年は多くの読者に「ここが知りたいRoHS指令」、「ここが知りたいREACH規則」にアクセスいただきました。今年も参考になる情報をお届けできるよう努めますので、よろしくお願いします。


 2010年11月30日に一区切りの登録が終わりましたが、ひと息つく間もなく、今年も各国の法規制への対応が必要です。

 昨年10月15日に中国で改訂・新規化学物質環境管理弁法が施行されました。年末には台湾の既存化学物質の届出が締め切られました。台湾の既存化学物質に収載されていない新規化学物質については、申告制度の詳細はまだ公表されていませんが、間もなく新たな制度がスタートすることになります。

 日本国内では、4月から改正化審法の第2段階に入り、一般化学物質の届出が必要になります。米国では中間選挙の影響もあり、TSCAの改訂の審議が遅れているようですが、改訂の進捗には注意が必要です。

 他方、欧州議会で採択されたEU RoHSの改定案は、12月に予定されていた理事会での議決が1月の理事会に延期になりました。間もなく正式に改定案が採択されることになります。

 中国RoHSの改定も、パブコメの締切りが終わっていますので、近々公布されるかもしれません。両者ともに改定後はRoHS適合のマークが必要となりそうですので、その要件については十分に把握して準備することが必要です。


 2011年の最初の本コラムでは、REACHの成形品中のSVHCの最初の届出義務が2011年6月1日に迫っていますので、これまでに都度紹介してきたSVHCに関する情報を整理してお届けしたいと思います。


 まず、2010年8月30日にパブコメにかけられた11物質のうち8物質をcandidate listに追加する旨の発表が同年12月15日にありました1)(収載されなかった3物質等については2010年12月10日付けコラムをご参照ください)。これでcandidate listに収載されたSVHCは合計46物質となります。これらの物質リストを表1にまとめました。ECHAの掲載リスト順に記載しています。また、2010年12月1日に公開された段階導入物質の登録リストから、登録されている物質には○印を付けて示しています。


 これらのSVHCを0.1%以上含有する成形品の供給者は、川下企業や消費者から要求があった場合は45日以内に、供給者に利用可能な成形品の安全な使用をするのに十分な情報(少なくとも物質名を含む)を提供する必要があります。この「0.1%」を算出するための分母については、現時点(2011年1月3日)で公表されている改訂作業中の「成形品中の物質に関するガイダンス」草案においては依然検討が続けられているとしながらも、成形品全重量によるとしています。この情報提供義務は、candidate listに収載された日から発生しています。

 他方、0.1%以上成形に含有するSVHCが年間1t以上になると、ECHAに届出の義務があります。2010年12月1日までにcandidate listに収載された38物質については、2011年6月1日までに届出が必要です。2010年12月15日にcandidate listに収載された8物質については、2011年6月15日までに届出が必要です。

 以下のいずれかの場合には届出の義務は適用されません。


1. 成形品の使用、廃棄を含めて全てのライフサイクルにおいて、人や環境に暴露されることがない場合

2. その用途で既に登録されている場合


しかし、ガイダンスの説明では、届出をしない場合はこれらの要件を十分に考慮するように注意を喚起しています。例えば、考慮しなければならない事項としては以下のようなことを挙げることができます。

1の要件では、使用時に暴露しないようにすることは成形品の設計で工夫はできるでしょうしょうが、廃棄段階まで考えると、確実に暴露させないようにすることができるかどうかはかなり難しいように思われます。

2のその用途で登録されている要件にはつぎのような条件を満足することが必要です。


a. 登録されたSVHCと成形品中のSVHCが同一であること

b. 登録された用途が成形品の用途と同じであること


 aの物質が同じであるかについては物質名、EINECS番号やCAS番号が同じだけでは十分でなく、「物質の同定のガイダンス」で述べられている条件で確認する必要があるとしています。  また、bの登録された用途と同じであるかは、「情報要求と化学品安全性評価のガイダンス:R12」で説明されている、4要素からなる用途の記述システムが同じだけでは不十分で、成形品にSVHCを含有させているその用途を詳細に記述し、監督当局から要求があれば、その同じとした結論を示す必要があるとしています。  なお、3月1日からは、2010年11月30日までに登録された26物質の情報は公開されますが、残りの20物質については未登録です。また、REACH規則118条2項では、正確な用途に関する情報は商業上の利益の保護を損ねるとしています。従い、未登録物質については当然のことですが、登録済みの物質についても、その用途に関する公開される情報からだけでは用途が同じであることを確認することが困難なこともあると考えられます。すなわち、自社で届出を行わなければならない状況も出てきそうです。

表1:2010年12月15日時点のcandidate listに収載のSVHC


 また、2010年12月20日に第2回のREACH規則附属書XIVに収載する認可対象とする8物質の勧告案が、ECHAから欧州委員会に提出されました2)。第1回の勧告案の6物質と合わせて、認可対象物質は14物質になることになります。第1回および第2回の附属書XIV収載予定の物質を表2にまとめました。


 認可申請期限日については、第1回勧告案では具体的な日付は記載されていませんでしたが、第2回勧告案では具体的な日付が提案されています。第2回勧告案でのフタル酸ジイソブチルの認可申請期限を、第1回目のフタル酸エステル類と近づけるために早くなっています。すなわち、第1回目のフタル酸類の認可申請期限日は2013年7月1日以降にはならないと考えられます。としますと、最初に認可申請期限を迎える、1)のムスクキシレンと2) の4,4'- ジアミノジフェニールメタンの認可申請期限日は、この2013年7月1日の6カ月前の2013年1月1日以前となることになります。  また、第1回提案ではこの認可申請期限は公布後24カ月となっています。このことから考えますと、近々正式の決定が公布されると考えられます。この物質を輸出している場合は、輸出先での認可申請の準備に取り掛かる時期になったといえます。  なお、第1回目の勧告案にありました短鎖長(C10-13) 塩素化パラフィンについては、REACH規則附属書XVIIの制限条件の見直しのため収載案から削除されています。詳細については、2010年9月24日付けコラムをご参照ください。


表2:附属書XIV収載勧告物質(2010年12月20日まで)


1)http://echa.europa.eu/news/pr/201012/pr_10_26_svhc_candidate_list_20101215_en.asp 2)http://echa.europa.eu/news/pr/201012/pr_10_27_second_recommendation_20101220_en.asp

(林  譲)