当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

POPs条約COP9の決定事項と我が国の対応

2019年9月19日更新


「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs Convention) 」1) は、1992年の地球環境サミットのアジェンダ21を受け、1995年に国連環境計画 (UNEP) 政府間会合で「陸上活動から海洋環境保護に関する世界行動計画」が採択され、残留性有機汚染物質 (以降「POPs」) について排出の廃絶、制限等を実行すべく国際条約の策定が求められました。


その結果、2001年5月にストックホルムで開催された外交会議において条約が採択されました。締約国が50に達したことにより、2004年5月17日に条約が発効しています。


本条約は、リオ宣言第15原則に規定する予防的な取組方法に留意しつつ、ポリ塩化ビフェニル (PCB) やDDTのような (1) 毒性、(2) 難分解性 、(3) 生物蓄積性および (4) 長距離移動性を有する化学物質である残留性有機汚染物質 (POPs) からの人の健康および環境保護を目的としています。


条約においては、締約国等から提案されるPOPs候補物質について、POPsの性状 (物質特定、残留性、生物蓄積性、毒性及び長距離移動性等) や取扱量等について、検討委員会 (POPRC) において審議を重ね、条約の附属書A (廃絶)、附属書B (制限) 等への収載を検討し、締約国会議 (以降「COP」) に提案します。COPにおいてPOPRCからの提案内容を審議し、提案された対象物質に対し附属書Aや附属書Bへの収載等の決定を行うこととなります。 附属書の発効は国連事務局から各国への通報が届いてから1年後となっています。


加盟国は対象物質について各国がそれぞれの条約を担保できるように国内法令で製造、使用等を規制することになっています。 我が国においては、附属書A (廃絶) に指定された物質については、POPsが長距離移動性を除いた毒性、難分解性および生物蓄積性は化審法の規定そのものであることに着目し、化審法の第一種特定化学物質に指定し、製造、輸入禁止措置がとられています。


今年4月29日から5月10日に開催された第9回締約国会議(COP9) 2) において、POPRC13およびPOPRC14の結果に基づき、新たに「ジコホル」と「ペルフルオロオクタン酸とその塩およびペルオロフルオクタン酸関連物質」が附属書A (廃絶) に追加されました。


上記に関連し化審法の所管官庁である経済産業省から化学物資審議会に対し「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 (昭和48年法律第117号) 第2条第2項に規定する第一種特定化学物質に関する化学物質審議会への諮問について」3) 及び環境省から中央環境審議会に対し「残留性有機汚染物質に関する法律に基づく追加措置について」(令和元年7月4日諮問第512号4)) がなされていました。


経済産業省及び環境省からの諮問に対する答申は、『COP9で附属書Aに収載が決定されている「ジコホル及びペルフルオロオクタンスルホン酸 (PFOA) とその塩」については、POPsとしての要件を満たすことがPOPRCにおいて既に科学的に評価されていることに加えて、その他の機関においても分解性、蓄積性、人の健康への影響及び動植物への影響に係る知見が蓄積されている。 これらの知見を踏まえると、以下の化学物質は難分解性、高蓄積性、かつ長期毒性を有すると考えられるため、法第2条第2項に規定する第一種特定化学物質に指定することが適当である』との内容となっています。5)


上記の経過等につきましては、7月24日に開催されています第4回審議会6) 及び審議会における審議会報告案7)の内容をご覧ください。


COP9での附属書A収載物質の化審法第一種特定化学物質指定が適当である物質群

1. 2・2・2―トリクロロ-1― (2― クロロフェニル) ―1- (4―クロロフェニル) エタ

ノール (CAS 番号 10606-46-9) 2. (1) ペルフルオロオクタン酸 (PFOA) とその塩

(2) 炭素原子に結合するペンタデカフルオロアルキル基 (アルキル基の炭素数が7のものに限る) を含む化合物

ただし、以下の化合物を除く。

・オクタデカフルオロアルカン (アルカンの炭素数が8のものに限る。) 、クロロ

(へプタデカフルオロ) アルカン (アルカンの炭素数が8のものに限る。) 、プロモ

(へプタデカフルオロ) アルカン (アルカンの炭素数が8のものに限る。)

・ペルフルオロアルキル基 (アルキル基は直鎖であり、炭素数が17を超えるものに限

る。) を有する化合物

・ペルフルオロアルカンカルボン酸 (アルカンカルボン酸の炭素数が9以上のものに

限る。これらの塩、エステル、酸ハロゲン化物、無水物を含む。)

・ペルフルオロアルキルホスホン酸 (アルキルホスホン酸の炭素数が8以上のものに

限る。これらの塩、エステル、酸ハロゲン化物、無水物を含む。)

・ペルフルオロアルカンスルホン酸 (アルカンスルホン酸の炭素数が9以上のものに

限る。これらの塩、エステル、酸ハロゲン化物、無水物を含む。)

・ペルフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) とその塩、又はペルフルオロオクタンス

ルホニルフルオリド (PFOSF)

上記物質群については、附属書の発効後化審法の改正に従い、第一種特定化学物質に追加されることとなります。8)

(瀧山 森雄)


引用

1) file:///G:/POPs条約/POPs条約.pdf

file:///G:/POPs条約/POP's条約和訳外務省.pdf

2) file:///C:/Users/morio/AppData/Local/Packages/Microsoft.MicrosoftEdge_8wekyb3d8bbwe/TempState/Downloads/UNEP-POPS-COP.9-30.English%20(1).pdf

https://www.env.go.jp/press/kagaku/08.s5.pdf

3) https://www.env.go.jp/press/kagaku/04.s2-1.pdf

4) https://www.env.go.jp/press/kagaku/05.s2-2.pdf

5) https://www.env.go.jp/press/kagaku/mat01.pdf

6) https://www.env.go.jp/press/107001.html

7) https://www.env.go.jp/press/kagaku/mat02.pdf

8) https://www.env.go.jp/press/y050-42/112058.pdf

0回の閲覧

© 2011-2019  一般社団法人東京環境経営研究所

  • Facebook - White Circle
  • YouTube - White Circle
  • アマゾン - ホワイト丸