当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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REACH第22次CL収載物質の公表

REACH規則においては、発がん性、変異原性、生殖毒性 (CMR) 物質、難分解性、生物蓄積性、有毒性 (PBT) 物質、極めて難分解性、高い生物蓄積性 (vPvB) 物質および内分泌攪乱物質等の人の健康と環境に重大かつ深刻な影響を与える物質そのものやそれらを含む混合物および成形品の上市、製造、使用等について認可および制限により一定の規制を設けています。


認可については第一段階で高い懸念のある物質を認可候補物質に指定しCL収載物質に収載しています。 CL収載物質は最終的に一定の手続きを経て認可物質に指定され附属書ⅩⅣに収載されます。 認可物質には収載時に日没日 (sunset date)が設定され、日没日以降も継続して使用を希望する場合には企業は認可申請を行い認可された場合にのみ認可条件での使用が可能となります。


なお、CL収載物質が認可物質として附属書XIVに収載された場合でもCL収載物質から削除されることはありません。


制限の場合は対象物質の製造、使用、流通等について人や環境に容認できないリスクがありEU全体で対処する必要がある認められる場合、当該物質の使用条件等が当局により定められ附属書ⅩⅦに収載されています。


認可候補物質 (CL収載物質) は第1次の15物質が2008年10月に収載されて以降近年は年に2回 (6月と12月頃) 収載されています。

第22次候補4物質がECHAから2019年9月3日にCL収載物質として4物質を提案され10月18日までパブリックコンサルテーションが行われました。1)


その結果、ECHAの提案4物質が2020年1月16日に第22次のCL収載物質として公表されました。2)


公表された4物質は以下です。


1.フタル酸ジイソヘキシル  CAS No 71850-09-4

収載理由 REACH第57条(c) 生殖毒性

使用例 REACH規則では未登録


2. 2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-4’-モノホリノブチロフェノン (CAS No 119313-12-1)

収載理由 REACH第57条(c) 生殖毒性

使用例 ボリマー製造に利用される。


3. 2-メチル-1- (4-メチルチオフェニル) -2- モノホリノプロバン-1-オン (CAS No 71868-10-5)

収載理由 REACH第57条(c) 生殖毒性

使用例 ボリマー製造に利用される。


4. ペルフルオロブタンスルホン酸 (PFBS) およびその塩   (CAS No -------- )

収載理由 環境に重大な影響を与える可能性と同等の懸念レベル

(第57条 (f) ―環境)

人間の健康に深刻な影響を及ぼす可能性と同等の懸念レベル

(第57条 (f) ―人間の健康)

使用例 ポリマーの製造および化学合成で触媒/添加剤/反応物として使用される。

ポリカーボネイトの難燃剤としても使用される。


ECHAは上記物質中1、2および3については第57条 (c) 生殖毒性を理由に、4についてはその他の懸念組合せを考慮しCL収載を決定しています。


後者については発がん性、変異原性および生殖毒性 (CMR) 、および難分解性、生物蓄積性及び有毒性 (PBT) および極めて難分解性および極めて高い生物蓄積性 (vPvB) 物質と同等のレベル懸念を呈し人の健康と環境におそらく重大な結果をおよぼすとしています。

今回、上記4物質が第22次CL収載物質に加わることによりCL収載物質の合計数は205物質となります。


CL収載物質となった物質に対しては、企業に法的義務が生ずる可能性があります。

その法的義務は収載された物質そのもの、混合物あるいは成形品中の物質に適用されます。 特に、重量比0.1%以上のCL収載物質を含んでいる成形品のサプライヤーは川下カスタマーおよび消費者に対し情報提供義務があります。(REACH規則第33条)


更に、CL収載物質を重量比0.1%以上含んでいる成形品の輸入者および製造者は当該物質が年間1トン以上の場合、収載日 (2020年1月16日) から6ケ月以内にECHAに届出をしなければなりません。(REACH規則第7条 (2) )

ただし、以下の条件の何れか1つを満たす場合は上記の届出義務は除外されます。

(1) 廃棄を含む通常のまたは予測可能な使用条件下で、人または環境へのばく露を排除で

きる場合 (第7条 (3) )


(2) その用途についてすでに登録されている物質 (第7条 (6) )

日本企業の場合、上記REACH規則第33条の情報提供や第7条 (2) のECHAへの届け出は唯一の代理人 OR) を任命している場合はORを通じて行うこととなりますが、そうでない場合はEUの輸入者が行うことになります。 後者の場合は輸出者としてEU輸入者の義務遂行へための協力が必要となります。


(瀧山 森雄)


引用

1) https://echa.europa.eu/-/four-new-substances-added-to-candidate-list


2) https://echa.europa.eu/substances-of-very-high-concern-identification

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