当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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台湾 化学物質規制に関わる話題から

2020年02月22日更新

台湾の化学物質管理は、国際的な動向に合わせて、規制が厳しくされてきました。今回は、輸出企業の方に注意していただきたい、下記の情報をご紹介します。


1)労働部所管:危害性化學品標示及通識規則1)

2)環境保護署所管:毒性及關注化學物質標示與安全資料表管理辦法2)

3)毒性及關注化學物質標示與安全資料表管理辦法3)


1) 危害性化學品標示及通識規則1)

労働部所管の「危害性化學品標示及通識規則」は、2014年6月に「危險物與有害物標示及通識規則」と名称が変更され、全面的に改訂され変更されていました。さらに、条文の追加が2018年11月9日公布されました。

これらの改正で特に重要なことは、混合物中の閾値以上含有する健康有害性成分についてはSDSでの情報開示が必要です。この規定は2020年1月1日から施行されています。


① 急性毒性≧1.0%

② 皮膚腐食性/刺激性≧1.0%

③ 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性≧1.0%

④ 呼吸器感作性または皮膚感作性≧1.0%

⑤ 生殖細胞変異原性 区分1≧0.1%

⑥ 生殖細胞変異原性 区分2≧1.0%

⑦ がん性≧0.1%

⑧ 生殖毒性≧0.1%

⑨ 特定標的臓器毒性-単回ばく露≧1.0%

⑩ 特定標的臓器毒性-反復ばく露≧1.0%


この閾値は、GHSパープルブック第4版の沿っているものです。


ただし、SDSの下記の事項を国家安全保障や企業秘密にする必要がある場合は、承認申請が出来ることになっています。


① 有害化学成分名称

② CAS番号

③ 有害成分濃度

④ 製造者、輸入者または供給者情報


承認に申請には、秘密にする必要があることを証明する文書、秘密にために講じる対策、申請者と競合他社に対する経済的利益の評価、製品に含まれる危険有害性成分の危険有害性分類に関する説明とその証明などが必要です。


なお、下記の物質の承認申請はできません。


・GHS分類(CNS15030)で下記に有害性に分類される物質

① 急性毒性 区分1,2または3

② 皮膚腐食性/刺激性 区分1

③ 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1

④ 呼吸器感作性または皮膚感作性

⑤ 生殖細胞変異原性

⑥ 発がん性

⑦ 生殖毒性

⑧ 特定標的臓器毒性-単回ばく露 区分1

⑨ 特定標的臓器毒性-反復ばく露 区分1


・下記の規制の物質

① 許容濃度(PEL)が設定されている物質

② 優先管理物質

③ 有機溶剤 クラス1,2または3

④ 特定化学物質 タイプA,B,C1,C2,またはD

⑤ 環境モニタリングが要求される化学物質


なお、SDSは3年毎の更新が必要です。


2) 毒性及關注化學物質標示與安全資料表管理辦法2)

「毒性化学物質管理法」が2019年1月16日に改正され「毒性及關注化學物質管理法」として公布されました。 これに沿って、2020年1月13日に「毒性化學物質標示及安全資料表管理辦法」も修正・改称されて「毒性及關注化學物質標示與安全資料表管理辦法」として公布されました。


ラベル・SDSの記載要件等は、「危害性化學品標示及通識規則」と同じです。


3) 台湾における化学物質登録制度としては、その概要を2019年11月22日にご紹介しましたが、優先指定の登録期限について記載内容に漏れがありましたので、改めてご紹介します。


職業安全衛生法に基づく「新化学物質登記管理弁法」(労働部所管;以下MOL)と毒性化学物質管理法に基づく「新化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」(環境保護署所管;以下EPA)がありました。

両者には、新化学物質の登録に際して要求される情報や秘密保護期間等に関して相違する部分がありました。 環境保護署は、二者の整合を図るために「新化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」31)を修正し、2019年3月11日に公布されています。


これにより、新規化学物質については一回の登録手続きで登録が行えるようになっています。


他方、環境保護署所管の「新化学物質及び既存化学物質資料登録弁法」(以下、「登録弁法」と略します)では、既存化学物質の登録義務も規定しています。

既存化学物質については、2段階の登録をすることを求めています。 2016年3月1日までに年間100㎏以上製造・輸入していれば、第1段階登録を行わなければなりませんでした。 その後に100㎏以上になってからの規定はありませんでしたが、修正弁法で、100㎏以上になった場合は、6ヵ月以内に第一段階の登録を行わなければならないことが明確に規定されました。 また、100㎏未満の場合でも第1段階登録を行うことが出来ることになりました。


第1段階登録での提出情報は、登録者情報、CAS番号等の化学物質特定情報、製造・輸入年間量、用途情報です。 第1段階登録書類を提出しますと、審査手続き後、第1段階登録番号が付与されます。


第2段階登録の対象とする既存化学物質として、106物質を優先指定しています。第2段階登録(登録弁法では「標準登録」と呼ばれています)では、REACHと同じく製造・輸入量が多くなると、提出しなければならない情報が多くなります。 これらの物質については、第1段階の製造・輸入量および登録時期によって、下記の標準登録の期限を設けています。


1)第1段階登録を2019年12月31日までに行った場合

・第一段階登録の年間量1~100t;2022年12月31日までに

・第一段階登録の年間量100t以上;2021年12月31日までに

2)第1段階登録を2020年1月1日以降に行った場合

・年間量;1~100t:翌年1月1日から3年以内

・年間量;100t以上:翌年1月1日から2年以内

3)第1段階登録を、2019年12月31日以前に1トン未満で行い、

・2019年12月31日までに年間1t以上の場合:2022年12月31日

・2020年1月1日以降に年間1t以上の場合:その翌年1月1日から3年以内

4)100トン以上の場合に、必要な試験情報が間に合わない場合は、登録期限の6ヵ月前までに申請することによって、その試験情報の提出期限を延長することが可能。

5)第1段階登録を取り下げて再登録した場合

・第1段階の再登録が標準登録期限前の場合は、前記期限以内

・第1段階の再登録が標準登録期限の以降の場合は、第1段階の再登録と同時。


これらの規定で注意しなければならないことは、5)項です。

第一段階の登録トン数が100トン未満であり、2021年12月31日以前に100トン以上になった場合、5)項でから、標準登録を2021年12月31日まで行わなければならないと読めることです。


参考資料

1) https://laws.mol.gov.tw/FLAW/FLAWDAT01.aspx?id=FL044342

2) https://oaout.epa.gov.tw/law/LawContent.aspx?id=GL005415

3) https://oaout.epa.gov.tw/law/LawContent.aspx?id=GL005417


(林  譲)

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