当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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REACH 認可対象物質の最近の情報から

REACH附属書XIVを修正するための委員会規則 (EU) 2020/1711)が2020年2月7日に公布されました。今回のコラムでは新たに収載された物質についてまとめてみました。


1.認可対象となる附属書XIVに収載された11物質

公布された委員会規則によって、認可対象物質リストである附属書XIVに、新たに11物質が収載されました。 これまで、附属書XIVには43物質が収載されていましたので、認可対象物質は合計54物質となりました。


これらの物質を整理しますと下記の通りです。


a) フタル酸ジヘキシルおよびフタル酸ジヘキシルを0.3%以上含有するC6~10アルキルのフタル酸エステル類(エントリー番号44、45、46)

エントリー44は、1,2ベンゼンジカルボン酸(フタル酸のIUPAC名です。フタル酸は、慣用名です)のジヘキシルエステルです。ヘキシル基は、直鎖状及び分岐状の全ての物質を包含するようにCAS番号で特定しています。主な用途は可塑剤です。

エントリー45は、フタル酸ジヘキシルのCAS番号で特定しています。

エントリー46は、0.3%以上のフタル酸ジヘキシルを含有する炭素数が6~10のアルキルの1,2ベンゼンジカルボン酸のエステルです。ここで、フタル酸ジヘキシルは、上記のエントリー44、あるいは、45のどちらも対象であると解釈できます。認可申請の期限は2021年8月27日、日没日(認可を取得していなければ、この日以降はEU域内では使用できない日)は2023年2月27日です。


既に、附属書XIVには、有害性が生殖毒性1Bであるとしてフタル酸2-エチルヘキシル、フタル酸ブチルやフタル酸ジブチル等の11種のフタル酸エステル化合物が収載されており、認可申請日を既に経過しています(附属書XIVのエントリー4~7、33~39)。 今回の収載は、これらに続くものです。 今回の収載により、炭素数4から11までのアルキル基のフタル酸エステル化合物をカバーしていることになります。


b)りん酸トリキシリル(りん酸トリス(ジメチルフェニル))

エントリー47は、難燃剤等に使用されるりん酸トリキシリルです。生殖毒性1Bです。 認可申請期限は2021年11月27日、日没日2023年5月27日です。


c) 過ホウ酸ナトリウムとその四水和物

エントリー48は過ホウ酸ナトリウム(EC番号239-172-9、234-390-0。官報ではCAS番号は特定されていませんが、ECHAの登録情報ではCAS番号11138-47-9となっています。)です。 他方、エントリー49は直訳すると「ペルオキソメタホウ酸:CAS番号7632-04-4」として収載されています。 これも生殖毒性1Bです。認可申請期限は2021年11月27日、日没日2023年5月27日です。 主な用途としては、酸化剤、漂白剤や洗浄剤が挙げられます。


ECHA登録情報で調べてみますと、「EC番号234-390-0」、「CAS番号11138-47-9」だけが登録されていますが、その名称は「過ホウ酸ナトリウム」です。他方、NITEのCHRIPや厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」のSDS情報では、「過ホウ酸ナトリウム」は「CAS番号7632-04-4」、「過ホウ酸ナトリウム四水和物」は「CAS番号10486-00-7」となっています。


REACHでは水和物は、無水物と区別しないことになっています。過ホウ酸ナトリウムについては、無水物や水和物の付されているCAS番号やEC番号を全て網羅するために、該当する、CAS番号、EC番号が挙げられていると考えられます。


d)5-sec-ブチル-2-(2,4-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1,3-ジオキサン[1]、5-sec-ブチル-2-(4,6-ジメチルシクロヘキサ-3-エン-1-イル)-5-メチル-1,3-ジオキサン[2]([1]と[2]の個々の立体異性体、またはそれらの何れの組合せを含む)

エントリー50はvPvBとして収載されています。認可申請期限は2021年11月27日、日没日2023年5月27日です。主な用途は香料です。


e) 紫外線吸収材4化合物

エントリー51はUV-328、エントリー52はUV-327 、エントリー53はUV-350、エントリー54はUV320で、紫外線吸収化合物です。 有害性は、PBT、あるいは/および、vPvBで、認可申請期限は2022年5月27日、日没日2023年11月27日です。


今回は、ECHAから欧州委員会へ、第7次(2016年)、および第8次(2017年)として勧告されていた物質から、優先順位をつけて収載されています。 勧告された物質の中からは、鉛化合物類やNMPなどが収載されずに先送りになっています。


2.附属書XIVの表に記載の注記の差し替えについて

附属書XIVに収載された物質は、認可申請期限までに認可申請していなければ、日没日以降、EU域内では使用できないことになっています。 一方、循環経済の要求が高まり、成形品の寿命を延ばすためには、成形品の修理のために必須の部品が供給されることが不可欠です。


この目的のために、2017年6月14日付の官報で、附属書XIVに収載されていた31物質の内、エントリー4を含めて22物質を成形品の部品の製造に使用する場合について、認可申請期限、日没日を下記のように延長する注記を設けていました2)。

認可申請期限:2019年9月1日

日没日   :2021年3月1日


今回の修正規則では、2017年6月14日付で附属書XIVに収載された12物質、および今回収載された上記の物質の内エントリー44~50までの7物質につて、認可申請日期限、日没日に関する注記が差し替えられました。

認可申請期限:2021年9月1日

日没日   :2023年3月1日


エントリー4~46までの合計41物質については、部品製造のための上記の設定された認可申請期限、日没日は、一般的な使用のそれらより後です。 しかし、エントリー47~50までの4物質については、理解出来ないのですが、一般的な使用の認可申請期限、日没日の方が後になっています。


(以上)


1) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/GA/TXT/?uri=CELEX:32020R0171


2) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex:32017R0999


(林  譲)

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