当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q559.イギリス向けWEEE指令対応

2019年5月30日更新


【質問】Q559

当社はイギリスに電気電子機器を輸出しています。電気電子機器の廃棄処理規制(WEEE指令)への対応をどのようにしたらいいか教えてください。

【回答】

EUのWEEE(Ⅱ)指令は2018年8月に移行期間が終了し、英国では2019年1月1日からこれに対応した改正国内法が施行されています。1) 2)

1.対象製品

対象製品は、すべての廃電気・電子製品(交流1000V以下、直流1500V以下)であり、附属書Ⅲの10カテゴリーのいずれかに該当します。EUのWEEE(Ⅱ)指令の6区分より細かな構成です。附属書Ⅳには、各カテゴリーの対象製品例が挙げられています。3)

また、適用除外製品は、軍事目的の機器、他の機器の一部として機能する機器、白熱電球等です。3)

2.生産者の義務

生産者の義務についてガイダンスで解説されています4)。対象製品の国内生産者の義務としては、①当局への登録とWEEE処理システムの構築、②適切な情報提供とマークの添付、③再利用に考慮した製品設計になります。


①当局への登録とWEEE処理システムの構築

生産者は、毎年、前年(暦年)に英国内での販売重量を当局に登録する義務があります。販売重量は、カテゴリー毎かつ「家庭用(BtoC)か業務用(BtoB)」5)について集計した重量を登録します。

a)販売重量が5t以上の場合、毎年生産者コンプライアンススキーム(producer compliance scheme以下PCS)に加入する必要があります。生産者は、PCSに業務内容と、カテゴリー毎にBtoCとBtoBの販売重量を申告します。

PCSでは廃電気電子の回収・処理費用を集約し、加入企業に費用請求します。従って、生産者は、申告した販売重量に対する応分の費用を負担する必要があります。

b)販売数量が5t未満の場合、小規模生産者となり、活動拠点の地域の環境当局に、毎年集計した重量を直接登録する義務があります。


②適切な情報提供とマークの添付

製品には、WEEEとして適切に回収されるように分別回収マーク6)と製造時期を特定するための製造日付の表示が必要です。

また、製品の使用者やWEEEの処理施設に対して、再利用や処理のための情報提供をする必要があります。

なお、WEEEに関係する書類は提出時から最低4年間の保管が義務付けられています。


③環境に配慮した製品設計

特定製品を除き、ErP指令(ecodesign requirements for energy-related products 2009/125/EC)の枠組みで確立された廃電気電子機器の再使用や取り扱いを容易にする環境配慮設計(エコデザイン)を適用するとしています。ErP指令やRoHS(Ⅱ)指令への対応も含め、再利用やリサイクルのしやすい材料や部品等を採用する等の環境配慮設計に努めることが求められています。

3.英国外の生産者の対応

上記の生産者は英国内の製造者や輸入者、英国外のオンライン販売者等が対象であり、英国外の製造者が英国内の輸入者を経由して英国市場で製品を販売する場合には、英国外製造者が認証代理人(Authorised Representative)に委任して対応することも可能であるが、それ以外の場合は英国内の輸入者が義務対象となります。

このように、認証代理人に委任する場合を除けば、前項のWEEE規則への対応は英国内の輸入者等が義務を履行しなければなりません。しかし、当該製品の生産者として、輸入者等がWEEE規則を遵守しかつ円滑に販売活動を行うための協力は必要不可欠です。

具体的には、②適切な情報提供として、輸入者が円滑に対処するために製品に使用している材質や有害物の情報を開示することは必要です。また、製品に分別回収マークを貼付して輸出する必要があります。

また③環境に配慮した製品設計では、製品の本質に関わる部分であり、企業の社会的責任として、環境に配慮した材料の選定や、部品や材料の再利用やリサイクルに考慮した製品設計に取り組む必要があります。 4.Brexitの影響

英国のEU離脱期限は今年10月末まで再延期され、不透明な状況が続いています。

WEEE(II)指令は、欧州連合の機能に関する条約(TFEU)7)の第192条を考慮して国内法へ転換するとされています。転換時に国内状況に合わせて国内法を制定可能な枠組みであり、英国国内法のWEEE規則に則って運用されています。参考までに、REACH規則は、EU加盟国に直接の効力を持ち国内法を必要としないため、Brexitの際には国内法を整備する必要があります。

また、離脱した場合の環境法の取り扱いについて、英国政府は2017年3月の「The Repeal Bill: White Paper」のExample 2で、既存のEU環境法が引き続き効力を持つことを保証するとしています。一方で、離脱後に現行の枠組みを見直す可能性もあるとしています。8)

従って、WEEE規則については、現行の枠組みが継続するためBrexitの影響は少ない状況ですが、動向について注視していく必要はあります。


引用

1)

http://www.legislation.gov.uk/uksi/2018/1214/pdfs/uksi_20181214_en.pdf

2)

http://www.legislation.gov.uk/uksi/2013/3113/contents/made

3)

https://www.gov.uk/government/publications/electrical-and-electronic-equipment-eee-covered-by-the-weee-regulations/electrical-and-electronic-equipment-eee-covered-by-the-weee-regulations

4)

https://www.gov.uk/guidance/electrical-and-electronic-equipment-eee-producer-responsibility

5)

https://www.gov.uk/guidance/business-to-consumer-b2c-and-business-to-business-b2b-eee-and-weee-how-to-correctly-identify

6)

http://www.legislation.gov.uk/uksi/2013/3113/schedule/6/made

7)

https://eur-lex.europa.eu/resource.html?uri=cellar:2bf140bf-a3f8-4ab2-b506-fd71826e6da6.0023.02/DOC_2&format=PDF

8)

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/604516/Great_repeal_bill_white_paper_accessible.pdf

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