当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q561.改正前のフタル酸エステル類非含有未対応ユニット組込製品のEUへの輸出

2019年7月12日更新


【質問】

RoHS指令の改正前にEUからフタル酸エステル類非含有未対応ユニットを輸入し、改正以降に同ユニットを組み込んだ電気電子機器を欧州へ持ち込もうとした場合、RoHS指令不適合として通関等で止められてしまうことはありますか。

【回答】 ご質問の回答は端的には「不適合状態」となります。


この結論には前提条件などもありますので、背景やEUの考え方を含めてご説明します。


1.法規制の適用日

RoHS(II)指令などのニューアプローチ指令群は、上市時に法規制が適用されます。


上市の定義は、RoHS(II)指令第3条で次としています。

「上市」とは、共同体市場で電気電子機器 をはじめて利用可能とすることを意味する。「市場で利用可能にする」とは、商業活動として有償もしくは無償に拘わらず、電気電子機器を共同体市場で、流通、消費又は使用のために供給することを意味する。


規制、監視当局は、規則765/2008/EC(製品のマーケティングに関する認定及び市場監視の要求)で行われます。 ブルーガイド20161) 7.6項で、税関は規則765/2008/ECにより、EU法規制への違反がない場合にリリース許可をあたえ、違反の場合は上市を制限します。


ブルーガイド2016 2.3項の「上市」の定義では、「製品は、EU市場で初めて利用可能にされるときに上市される」としています。


同項では、「輸入者が保管している場合」は上市とみなされないとしています。 従って、輸入者の保管品を顧客に有償無償に拘わらず移転するときが上市となります。


なお、EUの考え方は、【輸出者は「EUに輸出するということは、EUの法規制に適合させる」といことを認識しているものとし「知らなかった」は弁解の理由にはならない」】です。


2.順法状態の維持

RoHS(II)指令第7条eで「製造者は、適合性を存続するためシリーズ製品に対する手順が決まっていることを確実にする。」が要求されています。 当初の順法確認済製品が継続して順法状態を維持するように作業手順を作成することが要求されています。


この手順の具体化されたものが整合規格EN50581:2012(有害物質の使用制限に関する電気•電子製品の評価のための技術文書)になります。 EN50581の4.3.3項で、順法確証情報は定期的にレビューすることが要求されています。


3.最大許容濃度

RoHS(II)指令の特定フタル酸エステル類は第8、第9製品群を除いて、2019年7月22日から0.1wt%が最大許容濃度になります。


最大許容濃度の考え方が、日本とは若干異なります。

RoHS(I)指令(2002年頃)はELV指令(廃自動車指令)が先行しており、特定有害物質(鉛、水銀、六価クロム、カドミウム)の最大許容濃度が次のようになっていました。


意図的に導入されていない限り、鉛、六価クロム、水銀については最大0.1重量%、均質材料あたりには最大0.01重量%の許容濃度を許容するものとする。

「意図的に導入された」とは、「特定の特性、外観または品質を提供するために最終製品においてその継続的な存在が望まれる材料または成分の配合において意図的に利用される」ことを意味する。


論議を呼んだのが、「意図的でない場合は1ppmでも入れてはならないのか」です。


現在は、「意図的に導入されていない限り」が削除されましたが、論議(ロビー活動)では「意図的、非意図的を問わず」最大許容濃度以下にすることと解釈されました。


RoHS指令もこの考え方が踏襲されています。


(4)規制の本質

EUの消費者向け製品安全はGPSD(General Product Safety Directive 一般製品安全指令)が適用されます。GPSDの要求は「製品の安全保障」で、特定製品については、RoHS(II)指令などで「特定安全要求」が追加されます。


消費者の安全保障が根底にありますので、上市後の物流期間(在庫)で法規制が変わった場合であっても、消費者が購入する時点では、その時点での規制に適合していることが期待されています。


RoHS(II)指令では、第10条(流通業者の義務)b項で「流通業者が電気電子機器が第4条に定める事項(特定有害物質の非含有)に適合していないと考えるか、または、そう考える根拠を有している場合は、流通業者はその電気電子機器を適合させるまで利用可能にしてはならない」としています。


製造者にとっては、販売後の販社の在庫には責任が持てませんので、費用負担などはビジネス契約になります。


このように、 法規制の適用は、消費者保護の観点で、適用されますので、ご質問の回答は「不適合状態」となります。


1)https://ec.europa.eu/docsroom/documents/18027/attachments/1/translations/en/renditions/native

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