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Q571.納品部品が組み込まれた電気電子製品が違反となった場合
2019年12月16日更新
【質問】
当社は日本国内の顧客に部品を納入しています。当社が納品した部品を組み込んだ顧客の電気電子製品はEUへ輸出されています。この製品がRoHS指令違反と指摘された場合、当社にも影響があるのでしょうか。
【回答】
貴社の製品(部品)を日本の顧客が製品に組込み、RoHS(II)指令の適合宣言(CEマーキング)を行っている場合の顧客の法的責任は次のように整理されます。
1.顧客の義務
*1)ブルーガイド(BG)3.1項では、「製品が上市されるとき、製造者の責任は、製造者がEU域外または域内に設立されていても同じ」としています。
顧客の製品のEUの輸入者の責任は、BG3.3項で「EU域内の製造者の責任を基にして、製造者がその義務を正しく満たしていることを確実にする」とされています。
また、CEマーキングを行っているのであれば、貴社の顧客はDoC(DECLARATION of CONFORMITY)に署名しているはずです。 そのため、当局の求めに応じて、TD(Technical Documentation)の提出などの対応が必要となります。
もし、製品不適合のような事象が発生した場合、顧客はEUの輸入者と共に不適合対応をする必要があります。
2.顧客の是正処置
RoHS(II)指令第7条j項では、「製造者は、所轄官庁からの理由を付した要請に、電気電子機器の適合を証明することに必要な全ての情報と文書を当局が容易に理解できる言語で提出し、上市した電気電子機器の指令への適合を確実にするために行った措置について、要請に応じて当局に協力する」としています。
BG5.1.3項で、製造者は「生産工程での適合を確実にする」ことが要求されています。 製造者の義務として、「製品を設計し、製造するまたはそれらを委託する」を挙げています。
さらに、「製品の適合性評価(設計及び製造)の全責任は、適合性評価を実質的に他の誰かが行っていても(例、貴社による部品の適合宣言)、(DoCを発行した)製造者が負う」としています。
このように、顧客は法的要求事項への取組みを「委託先管理」を含めて説明することが要求されています。
3.顧客の説明事項
RoHS(II)指令第16条では、「整合規格に従って第4条の特定有害物質の非含有への適合を証明する、試験及び測定が実施済又は評価済みの材料、部品、電気電子機器は指令への適合が推定される」としています。
整合規格EN50581:2012の“Introduction”で「製造者はサプライヤと連携し、法令を順守していることを管理する」としています。
この対応が「デューデリジェンス」といわれるもので、「コンプライアンスを確保するためにすべての合理的な予防措置、手順、および手段を講じたことを示す」ことになります。(*2)Guidance to RoHS Directive 2011/65/EU)
4.顧客からの貴社への順法要求
RoHS(II)指令第7条e項で「製造者は適合を維持するために量産品に関する手順が整っていることを確実にする」ことを要求されています。 顧客は「デューデリジェンス」の一つとして、サプライヤである貴社にグリーン調達基準書などが交付されていると思います。 下請法(下請代金支払遅延等防止法)の制限もありますが、顧客のグリーン調達基準書や関連契約による対応が求められます。
このように、顧客の適合説明に貴社は協力する必要があります。
*1):
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52016XC0726(02)&from=BG