当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q578.フタル酸エステルの含有量分析

2020年04月24日更新

【質問】 サプライヤーから提出された非含有証明は玩具指令の整合規格EN14372でフタル酸エステルの含有量を分析した結果に基づいています。

この結果は、RoHS(II)指令でも使用できるのか教えてください。

【回答】 EN14372:2004は36ヶ月未満の子ども用品、育児製品(食卓用品や食器)の安全試験法です。 玩具指令(2009/48/EC)の整合規格のEN71-1(機械的及び物理的特性)やEN71-3(特定元素の移行)などが引用規格となっています。

EN14372の5.4化学物質の要件があり、熱可塑性樹脂(熱を加えると溶け、冷すと硬くなる塩化ビニル樹脂・ポリエチレン・ポリスチレン・ABS樹脂・アクリル樹脂・ポリプロピレンなど)について、DIDP、DINP、DBP、BBP、DNOP、DEHPのGC-MS分析法(ガスクロマトグラフ質量分析法)による測定法が附属書に示されています。


上記のフタル酸エステル類の含有量総合計が重量比0.1%未満であることが要件となっています。

一方、RoHS(II)指令の整合規格EN50581(有害物質制限に関する電気・電子製品のための技術文書:2012)では技術文書作成にあたり、サプライヤーから収集する情報として、以下の3つの文書を上げています。

(1)サプライヤーの宣言書あるいは契約上の合意書

(2)材料宣言書

(3)分析試験結果

(1)から(3)の全てのデータを必要とはしていません。 サプライヤーから入手する情報は、材料・部品などにおける物質の含有可能性やサプライヤーの管理状況等を踏まえた、リスク評価を実施し、その評価結果に基づいて決定します。


RoHS(II)指令では、分析方法についての条項は規定されていません。 RoHS(II)指令の整合規格EN50581においては、EN 62321-8:2017が示されていますが、EN 62321-8:2017に基づく分析結果の提出を義務付けられているものではありません。


サプライヤーから納品される部品・製品中のフタル酸エステル類の含有量が許容濃度を超えるリスクが低いと想定できれば、サプライヤーの宣言書や材料宣言書の提出を求めることで対応出来ます。


フタル酸エステル類の含有量が許容濃度を超えるリスクが高いと想定される場合には原則として分析試験結果の提出を求めることになります。 この分析方法の選定や結果の表明は企業に委ねられています。

EN62321-8とEN14372は同様な有機物抽出方法です。 そのため、EN14372でフタル酸エステルの含有量を分析した結果はRoHS(II)指令でも使用できます。 EN14372の分析結果は、IEC62321-8による分析結果に完全に合致するわけではありませんが、フタル酸エステル類の含有可能性について訴求する情報としては、十分に法的に活用できます。

RoHS(II)指令の規制物質についてはIEC(国際電気標準会議)がスクリーニング法と検証試験法を規定しています。 フタル酸エステル類の分析方法については、IEC62321-8に規定されています。 IEC62321-8では、スクリーニング分析はPy/TD-GC/MS(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法)が示されています。 精密分析についてはソックスレー抽出(n-ヘキサン使用)、もしくはテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran、THF)による超音波抽出後、GC-MS分析法が示されています。

EN14372とEN62321-8の違いはソックスレー抽出に用いる溶媒の違いであり、目的や測定対象が異なりますが、条件が一致していれば、成分分析はGC-MS分析法で行うため、同等な結果が得られると想定されます。

EN14372でフタル酸エステルの含有量を分析した結果などの採用にあたっては、サプライヤーから納品された部品や材料に適切な内容であるかを、上記を踏まえて確認することが肝要です。

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