- tkk-lab
Q580.CASについて
2020月07月03日
【質問】
製造者のRoHS(II)指令対応方法としてCAS(Compliance Assurance System )を構築する方法があると聞きました。 弊社のような中小規模の部品メーカーの場合におけるRoHS(II)指令対応方法としてのCAS構築とはどのようなものか教えてください。
【回答】
貴社は部品メーカーですので、貴社の顧客またはその先の電気電子機器メーカーから要求される順法宣言は、RoHS(Ⅱ)指令(2011/65/EU)の以下の第16条(適合性の推定)の2項によります。
第2項には、「EU官報にて通達された整合規格に則り、第4条の規定の順守(特定有害物質の非含有)を確認するための試験もしくは対応がされた、もしくは評価がされた原料については本指令に適合しているとみなすこととする。」と示されております。
この整合規格EN IEC63000:2018(2020.5.18 にEN50581:2012から代替)に「均質材料のレベルで適用される制限については、複雑な製品の製造者にとっては、最終組み立て製品に含まれる全ての材料に独自の試験を実施することは非現実的であり、代替手段として、製造者はサプライヤーと連携し法令を順守している事を管理し、法令順守の証拠として技術文書を集めるのである。」とあります。
顧客は、整合規格EN IEC 63000:2018で、順法の確証データとして、以下の文書の組み合わせで要求します。
a)サプライヤーの宣言および/または次のような契約上の合意
b)マテリアル宣言
c)分析試験結果
貴社が上記の顧客要求の適合宣言をするためには、以下の順法を確認する必要があります。
(1)購入している部品材料
(2)自社工程 (例、はんだ作業)
(3)外注工程 (例、めっき作業)
(1)は、購入者としての立場で上記a~cをサプライヤーから入手します。
(2)は、作業要領書やQC工程表等の作成と運用で順法保証をします。
(3)は、RoHS指令の関連する部分は、社内工程と同じような管理をして順法保証をします。
社内工程と同じような管理とは、サプライヤー作成の作業要領書、QC工程表等の確認、または、貴社が作業要領書、QC工程表等をサプライヤーに提供するなどです。
(1)から(3)の順法確認は、全数検査で確認することはできなく、ものづくりの仕組みで保証することになります。 全てのデータは、順法認証データベースに登録され、管理・運用することで順法性を確保します。
仕組みとしては、運用しているISO9001、JIS Z 7201、エコステージや自社のマネジメントシステムで構いませんが、EUでは文書化されたマネジメントシステムを要求しています。
文書化の程度は、順法活動を実施し維持できることで大げさなものではありません。
小規模企業では、フローチャートに確認事項を入れる、あるいは、箇条書きの作業要領書や、図面に順法のための要点を記入するなども構いません。
顧客の求めに応じて、以下の内容が表明できる仕組みを構築し運用することです。
RoHS指令(2002/95/EC)の施行前に発行されRoHS Enforcement Guidance Document”(RoHS施行ガイダンス文書)が参考になります。
i.一般
製造者の連絡窓口・会社情報(組織規模、製品範囲、売上高を含む)
ii.コプライアンスへのアプローチ(製造者が実施しているRoHS指令の遵守を支援するのに適したコンプライアンスシステムの概要
iii.データ品質システムの概要(コンプライアンスを示すためにサプライヤ情報に大きく依存している場合)・リスクアセスメント・合格基準・購買手続等
iv.製造システムの概要
これらがCASといわれるものです。CASは、日常的に管理している仕組みに、RoHS指令を意識した管理項目を追加するものです。
そして運用しながら、厳重の管理する作業、一般的な管理で済ませるかを、運用しながら、PDCAのサークルを回して徐々にスパイラルアップしていくものです。