当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q581.ディスプレーの修理における修理パーツ提供義務について

2020年07月21日更新

【質問】 弊社は液晶ディスプレーをEUに輸出しています。新エコデザイン指令で、修理部品の提供が義務化されたと聞きました。 プリント基板に実装しているICやチップコンデンサーなどの部品を求めに応じて提供する必要があるのでしょうか。 EUの修理業者が修理できるのか疑問に思っています。

【回答】

修理部品の提供は新たな施策で要求されるようになりました。

EU委員会は、「欧州グリーンディール」の施策として、2019-24年の6優先事項を発表しています。 2019年10月1日には第1優先事項となる冷蔵庫、洗濯機、食器洗い機、テレビなどの10製品に対する新持続可能な家電製品ルール*1)を採択しました。


新ルールは、修理性とリサイクル性の要件が初めて含まれ、寿命、メンテナンス、再利用、アップグレード、リサイクル性、廃棄物処理など、循環経済目標に貢献する事項が明確にされました。


修理性は、「使い捨て」文化からの脱却で、2020年3月11日に告示された「新循環経済行動計画*2)では、「修理の権利」(right to repair)として提唱されています。

貴社製品のディスプレーは、10月1日の採択を受けて、2019年12月5日の官報(Official Journal of the European Union)で公告された委員会規則(EU)2019/2021*3)が適用されます。

委員会規則(EU)2019/2021は、ErP指令(2009/125/EC)*4)第15条(実施措置)により制定されたものです。

ErP指令前文には以下の記述があり、設計の重要性が示されています。

「多くのエネルギー関連製品は、設計改善を通じて環境影響の低減とエネルギー消費量削減の達成に対する重大な改善ポテンシャルを持っており、同時にビジネスと消費者の経済的削減効果を主導する。」


対象となる製品群については個別の委員会規則が定められます。

個別製品群ごとの委員会規則発効後に欧州市場に上市した該当製品はこの規則に適合する必要があります。その製品に使用されているサブアセンブリも同様です。

ご質問のディスプレーの修理に関しては委員会規則(EU)2019/2021のANNEX II.D.5.(修理とリユースの為の設計)に記載されています。 ここの

(a)(スペアパーツの入手のしやすさ)(3)に、『スペアパーツは一般的に入手可能な道具を用いて、修理対象品を損傷することなく、交換できるようにしておかねばならない』とあります。

(b)(修理およびメンテナンス情報へのアクセス)では専門の修理業者の修理及びメンテナンス情報へのアクセス方法についての記載があり、提供する保守情報について定められています。この様に修理情報については設計時点から計画しておくことが求められています。

一方、ErP指令(2009/125/EC)第15条対象製品は、CEマーキングが要求されます。 CEマーキングは、製造者によって設計段階、製造段階で安全要求事項などの適合性を確認しています。 この確認された安全性は、修理後も維持される必要があります。 このためには、修理が必要な場合を想定し、修理でのリスク評価を行い、修理の範囲、修理方法を決定する必要があります。

修理業者が、確実に実施できるように、修理手順などを定めて情報を提供する必要があります。

従って、評価した修理手順でチップコンデンサーなどの電子部品が、現地では交換できないとすれば、プリント基板を入替し、別途プリント基板を貴社で修理をするのが現実的と思います。

*1:

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/QANDA_19_5889

*2:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1583933814386&uri=COM:2020:98:FIN

*3:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32019R2021

*4:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX:32009L0125

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