当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q583.IEC62474のDSLはすべて情報伝達が義務なのか?

【質問】

RoHS指令の整合規格が「EN IEC 63000:2018」に改定されましたが、RoHS指令の適合宣言をするためには、EN IEC 63000:2018が引用しているIEC 62474のDSL全部を対象とした管理が必要となるのでしょうか。

【回答】

EN IEC 63000:2018はEN50581:2012に替り、RoHS指令の整合規格として2020年5月18日に指定されました。

なお、EN50581は2021年11月18日までは、移行期間として利用できます。

(1)整合規格の定義

ブルーガイド2016 4.1.2.1では、「整合規格の適用は任意のままである」とし、4.1.2.2で「整合規格は、法的拘束力のある必須要求事項に置き換わることは決してない」としています。


一方、4.1.2.2で「整合規格の全ての規定を適用しないことを選択した場合は、どのように適合を達成したか、または、関連する必須要求事項が製品に適用されないことを、自社のリスクアセメントに基づいて技術文書に記載することが必要である。」としています。

一般企業では、整合規格が事実上強制適用となります。

(2)IEC 62474:2012の位置づけ

EN IEC 63000:2018では、EC 62474:2012を引用規格としていますので、一体運用となります。

EN IEC63000:2018の4.3.3(情報収集)b)では、「材料宣言内容は、該当する物質について、IEC 62474:2012 4.2.3に規定された要件をみたすべきである。(should meet・・・)」としています。

IEC 62474:2012 4.2.3では「IEC 62474のデータベースでその物質または物質群に記載されている報告すべき用途に該当する場合には報告しなければならない」としています。

順法判断が求められていますが、すべてが強制ではありません。

(3)DSLの定義

IEC62474のデータベースのDSLに収載する基準は、IEC 62474:2012の5.2の表に示されていますが、基本は「電気電子製品に適用される法規制に明確に適用される物質」です。

DSLでは、“BasisDescription”の項で、適用法令が明記されており、EUだけでなくアメリカの法規制も含めています。

DSLへの物質収載はVT(バリデーションチーム:専門家)が決定しますが、適用法令、適用物質の完全なリストではありません。

DSLにはEU RoHS指令以外の法規制やアメリカの規制物質も入っています。

(4)結論

EU RoHS指令だけの順法情報伝達であれば、10物質群の非含有宣言で構いません。一方、EUでは、上市する時にその時点で適用されるEU法規制が同時に適用されます。

従って、DSLのEU法規制については、該当する項目について川下(顧客)に伝えることが肝要です。

(5)参考情報

EN IEC 63000:2018は情報伝達を引用規格としてIEC62474:2012を特定しています。

現時点では、IEC62474は改版されて2018年版になっています。IEC62474:2018の改定で、4.7項に「依頼回答型」(4.7.3)と「提供型」(4.7.4)が追加されました。

「依頼回答型」は、依頼者(顧客)が、サプライヤに提出すべき情報を指定します。

「提供型」は、サプライヤが受領者(顧客)を特定しないで、順法判断宣言及び/又は成分情報宣言をするものです。

“chemSHERPA”は、IEC62474のXMLスキマーに準拠し、「依頼回答型」と「提供型」の選択もできます。また、DSLの改定に応じた物質リストの改定が行われます。

chemSHERPAの利用も効果的と思います。

なお、EN IEC 63000の引用規格をIEC62474:2018に改定する時期は確認できていません。

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