当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q589.鍵に使用する鉛入り真鍮のREACH規則制限適用除外継続のRoHS(II)指令への影響について

2020年12月04日更新

【質問】

EU_REACHでは鍵に使用している鉛入りの真鍮について制限の適用除外の継続が推奨されたようですが、仮にこれが決定された場合、RoHS(II)指令の適用除外も延長されるのでしょうか。

【回答】

RoHS指令とREACH規則の関係について、EU委員会および欧州議会は、「REACH AND DIRECTIVE 2011/65/EU (RoHS) A COMMON UNDERSTANDING」において、両規則が連携して運用することを望み、互いに侵害することなく適用することを決定しています1)。 RoHS指令前文(10)に、「本指令の附属書は、特にREACH規則の附属書ⅩⅣ及びⅩⅦを考慮し、定期的に見直しされなければならない。」としており、調和した運用を行っています2)。


RoHS(II)指令における適用除外は、第5条第1項(a)に定めており、また、適用除外申請に関するガイダンスが発行されています3)。 特定の用途での電気電子機器の材料および部品を附属書ⅢおよびⅣの適用除外リストに追加する要件としては、REACH規則により与えられる環境と健康の保護を弱めないことを前提に、①設計変更による除去、代替が科学的・技術的に不可能な場合、②代替品の信頼性が不確実な場合、③社会・環境・消費者安全に対して代替による悪影響が利益を上回る場合の何れかを満たす場合になります。


ご質問の鉛入り真鍮は、鉛の含有量が4%までの銅合金としてRoHS(II)指令附属書Ⅲ6(c)として適用除外となっています。 本サイトのRoHS Q&A 587に紹介があります4)。

現在の6(c)の適用除外の設定は、2016年6月に報告された調査プロジェクト(Pack9)がベースとなっています5)。報告書では、科学的・技術的に代替品が可能と結論付けられないため、文言と範囲は変更しない勧告をしました。 しかし、申請者や関係者が鉛の削減または代替への取組不足を指摘するとともに、削減または代替に向けて部品やカテゴリーを特定するリストの作成など包括的な調査の必要性を強調するため、6(c)のカテゴリー1~7や10の適用期間の短縮を推奨しました。 しかし、EU委員会は産業界の意見を受け、現在の適用除外期限(2021年7月21日)として公布しました6)。


現在の6(c)の適用除外の更新に関しては、2019年8月から開始された調査プロジェクト(Pack18)の対象の一つとして調査や意見募集等が行なわれていました。 当初は、附属書IIIの6(a)、6(b)、6(c)、7(a)および7(c)-Iも調査対象でしたが、途中からPack18の評価範囲から外されて調査が中断しました。 2020年7月に公開されたPack18の最終報告書の前文で、明確な協議に関わらず、更新申請者が評価を進めるための十分な資料を提供できず、調査期間の制約から、6(c)を含む中断した対象の調査をPack18では行わないと報告されました7)。 資料の内容は明らかではありませんが、Pack9の報告書の指摘から、削減または代替に向けた包括的な調査や除外対象の絞り込みなどの取り組み、代替品の評価などでPack9の結論を変更するに必要な情報不足の可能性が推測されます。


その後の状況としては、6(c)の適用除外の更新申請が2020年1月3日にEU委員会に申請されました8)。 今後、新たな調査プロジェクトが立ち上げられ更新審査が行われる予定です。


ご質問の点に関して、REACH規則での制限条件の見直しに関する調査報告書では、鉛入り真鍮について、現状では技術的かつ経済的に実現可能な代替品が無いとして適用除外の推奨が報告されました9)10)。


REACH規則での制限の適用除外が継続された場合、RoHS(II)指令での適用除外の更新は、「REACH規則により与えられる環境と健康の保護を弱めない」ことに適合します。 さらに、適用除外の更新のためには、対象の電気電子部品または材料が上述した①~③のいずれかの要件への適合が必要です。 更新審査では、申請者から新たに提出された事実を基にしてPack9での調査結果と同様に、電気電子部品の用途およびカテゴリーごとに削減または代替の可能性などが改めて評価されます。 電気電子部品の視点からの科学的・技術的な評価であり、REACH規則での評価結果とは異なる可能性はあります。


従って、両規則は健康と環境に対するリスクを回避するという意味で調和された運用を行っていますが、REACH規則で適用除外が決定されたとしても、RoHS(II)指令における要件を満たしているかによって適用除外更新の可否が判断されますので、更新審査での議論に注目する必要があります。


1) http://ec.europa.eu/DocsRoom/documents/5804/attachments/1/translations


2) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32011L0065


3) http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/Guidance_Document.pdf


4) https://www.tkk-lab.jp/post/roha-q587


5) http://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/RoHS_Pack_9/RoHS-Pack_9_Part_ALLOYS-MISC_06-2016.pdf


6) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32018L0741&from=EN


7) https://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/reports/RoHS_Pack18_final.pdf


8) https://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/Public_RoHS%20exemption%20applications%20submitted%20Nov%2019%20-%20Jan%2020.zip


9) https://echa.europa.eu/documents/10162/0/rest_lead_articles_review_public_en.pdf/8e75d28e-04f1-bf3c-b8a0-a2d079fe3987


10) https://www.tkk-lab.jp/post/20201002reach

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