当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q590.RoHS(II)指令対応のためのエビデンス入手と取引先調査の定期的実施について

202012月25日更新 【質問】

当社はCEマーク取得製品を製造販売しています。 RoHS(II)指令対応のために部品のエビデンス入手と取引先評価を2年に1回定期的に実施していますが、対象部品の増加によりそれに掛かる工数が増えています。 法規制上、定期的に行う必要があるのか教えて下さい。後、工数を減らす対策があれば教えて下さい。

【回答】 ご質問に関連する論点を整理します。


1.技術文書による遵法説明

第7条(製造者の義務)(b)で「製造者は要求される技術文書(technical documentation)を作成し、決定No.768/2008/ECの附属書IIのモジュールAに従って内部生産管理手順を実施するか、または、実施させるかをする」としています。


決定No.768/2008/ECの前文第9文節で整合規格への適合により法的規定へ適合するとみなされる」としています。整合規格リストはEU 官報(Official Journal of the European Union)で告示されます。


遵法説明を意味する技術文書は、整合規格リスト(一つまたは複数の整合規格)により作成することになります。


RoHS(II)指令の整合規格は2020年5月18日に“EN IEC 63000:2018”が告示されました。従前の整合規格のEN 50581:2012は、2021年11月18日まで継続して使用ができます。

 

2.RoHS(II)指令が求めるSCM(Supply Chain Management)


RoHS(II)指令の第16条(適合性の推定)で次のようにSCMを要求しています。


EU官報にて通達された整合規格に則り、第4条の規定の順守(特定有害物質の非含有)を確認するための試験もしくは対応がされた、もしくは評価がされた原料については、本指令に適合しているものとみなすこととする。


このように、整合規格の“EN IEC 63000:2018”の序文で、遵法確証データの収集について次のようにSCMの必要性を示しています。


部品または材料レベルで適用されるこれらの制限については、電気電子製品の製造業者が、最終的に組み立てられた製品に含まれるすべての材料の独自の試験を実施することは実用的ではない。 代わりに、製造業者は、それらの供給者と協力して、コンプライアンスを管理し、コンプライアンスの証拠として技術文書を編集する。


このアプローチは、業界および法規制当局の両方によって十分に認識されている。


RoHS(II)指令の遵法宣言は、SCMが重要な要件となります。


3.整合規格“EN IEC 63000:2018”の要求事項

整合規格“EN IEC 63000:2018”は、4.3.3 項(情報収集遵法確証データ)で、次の情報の組み合わせを要求しています。


a)サプライヤーの宣言および/または次のような契約上の合意

b)マテリアル宣言:

c)分析試験結果:


この組み合わせは4.3.2項(必要情報の決定)で、「制限物質が材料、部品またはアッセンブリに含有する可能性」とプライヤーの信頼性」による評価(Assessment)によるとしています。


4.3.4項(情報の評価)で、「製造者は、4.3.3項で入手した情報の評価手順を定め、受領した文書の供給源および内容を評価し、材料、部品またはアッセンブリが規定される物質制限を満たしていることを判定する「」ことを要求しています。


4.3.5項(技術文書のレビュー)で、製造者は「依然として有効であることを確認するために、技術文書に含まれている文書の定期的レビューを行う」ことが要求されています。


技術文書に含まれている文書には、4.3.3 項で収集した文書が含まれます。


また、4.3.3 項で収集した文書に何らかに変更(4M変更など)についても確実に評価する必要があります。


定期的レビューの間隔や変更の程度などは、製造者の手順や基準により決定するもので、整合規格“EN IEC 63000:2018”に具体的なレビューの間隔は示されていません。


4.企業の遵法対応

RoHS(II)指令および整合規格“EN IEC 63000:2018”の要求事項は前記の通りで、部分的な実施などは許されていません。 前記の手順を型通り読むと、設計からのBOM(Bills of materials)により、4.3.3 項の情報を収集することになります。 多くの企業の担当者の声は、「情報入手には平均3か月余必要で、1年かかるものも珍しくない」で、遵法確証データの入手に苦労されています。


別の考え方として、対象部品の増加していくような場合は、BOMが出てから遵法確証データの入手するのでなく、逆に設計者はあらかじめ遵法確証された材料、部品またはアッセンブリしか採用できないようにルールの変更をします。


あらかじめ遵法確証された材料、部品またはアッセンブリをデータベース化し、設計標準とし、設計のインプット情報として指定します。


設計段階で、データベースに収載された材料、部品またはアッセンブリでは不足する場合は、新規の材料、部品またはアッセンブリとして、前記のプロセスで評価し、データベースに登録します。

設計段階で並行して遵法確証データの入手をますので、期間に余裕がでます。


開発工期短縮、遵法確証データの入手の効率化が期待できます。

 

また、データベースに項目に、レビュー間隔や見直し年月などを入れておくと一元管理ができます。

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