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Q591.RoHSで追加される特定有害物質の動向について
2021年01月08日更新
【質問】
EU環境総局がRoHS指令の特定有害物質の追加を検討していると聞きました。 追加になる化学物質の状況を教えてください。 また2021年7月21日に期限となる附属書IIIの延長の動向について教えて下さい。
【回答】
RoHS指令で追加される特定有害物質の動向と適用除外に関する検討はパック15からパック22で進められており、その経過はOeko-Institut e.V.1)により公開されております。
既にプロジェクト期間が終了しているパック15〜20については下記の通り追加物質の検討が行われましたので、上記を踏まえ、ご質問の特定有害物質の追加検討状況及び2021年7月21日が期限となっています附属書Ⅲの延長動向にいて以下にご案内します。 また、追加となる個々の化学物質の状況については” Adaptation to technical and scientific progress of the RoHS 2 Annexes III and IV2)3)“で確認出来ます。
関連する箇所についてご案内します。
1.パック15(2017/12/29-2019/6/28)
このプロジェクトは特定有害物質の追加と適用除外の評価2つのパートに分かれており、一つ目のパートでは下記7物質が特定有害物質の追加候補として評価されました。
・三酸化アンチモン
・テトラブロモビスフェノールA
・リン化イリジウム
・中鎖塩素化パラフィン
・ベリリウムとその化合物
・硫酸ニッケル及びスルファミン酸ニッケル
・塩化コバルト及び硫酸コバルト
二つ目のパートでは、適用除外のためのガイドラインの編集及び更新などがタスクとなっておりました。
2.パック18(2019/8/20-2020/4/19)
このプロジェクトでは、RoHS指令附属書III及びIVに関連する7件のリクエストがありましたが、有効期限が2021年7月21日に設定されている適用除外用途のうち、更新申請を受領した6(a)、6(b)、6(c)、7(a)および7(c)-Iについては適用除外申請評価は停止されたため、附属書IIIに関連する更新はありませんでした。
3. パック22(2020/10/28-2021/8/27)
このプロジェクトでは下記7件について適用除外がリクエストされており、2021年8月末までに最終報告書が提出されます。
・附属書 III, 6(a) : 機械加工用途の鋼材及び亜鉛めっき鋼中に合金成分として含まれる0.35wt%までの鉛および6(a)-I : 機械加工用途の鋼材中の合金元素として含まれる0.35wt%までの鉛とホットディップ溶融亜鉛めっき鋼中に含まれる0.2wt%までの鉛
・附属書 III, 6(b) : アルミニウムに合金元素として含まれる0.4wt%までの鉛および6(b)-I : 鉛含有アルミニウムスクラップのリサイクルに由来するアルミニウムに合金元素として含まれる0.4wt%までの鉛
・附属書 III, 6(b)-II : 機械加工用途のアルミニウムに合金元素として含まれる0.4wt%までの鉛
・附属書 III, 6(c) : 銅合金中の4wt%までの鉛
・附属書 III, 7(a) : 高融点はんだ中の鉛 (鉛系合金に含まれる85wt%以上の鉛)
・附属書 III, 7(c)-I : コンデンサ中の誘電セラミック以外のガラスまたはセラミック中に鉛を含む電気電子部品 (圧電素子等) およびガラスまたはセラミック化合物中に鉛を含む電気電子部品
・附属書 III, 7(c)-II : 定格電圧AC125VまたはDC250V以上で用いられるコンデンサ中の誘電セラミック中の鉛
パック22の結論については2021年8月末の最終報告書をご確認いただくとともに、2021年1月8日掲載のコラム「RoHS指令附属書IIIの一部の適用除外用途の見直しに関する調査プロジェクト(パック22)がスタート」にてこれまでの経緯及びパック22の概要についてご案内させていただいておりますので、そちらをご参照ください。
また、今後の特定有害物質の追加及び適用除外の動向については随時Webサイトなどでご確認いただくなど情報収集をしていただくことをお勧めします。
1) https://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=163
2) https://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/adaptation_en.htm