当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q594.EU向け以外でのCEマーキングの適用可否について

2021年03月26日更新

【質問】

オーストラリアに分析機器を輸出することになりました。 顧客からCEマーキングが要求されました。 EU向けでなくてもCEマーキングは可能でしょうか。

【回答】

CEマーキングは、EU域内で上市される指定分野の製品がEUの基準を満たしている場合に「CEマーク」を表示することができる、という制度です。 CEマーキングによってその製品が分野別のEU指令や規則に定められる必須要求事項に適合したことを示します。「CEマーク」とは、EU域内で販売される指定分野の製品に貼付を義務付けられる安全マークのことです。


1.CEマーキングの適用可否について

CEマークは日本国内で販売されている多くの製品にも表示されています。 例えばスマートフォンのiPhoneでは、「設定 >一般 >法律に基づく情報および認証」で電子的に法的証明書としてCEマークが表示されています。 同じ場所にEUのCEマークに加え、アメリカのFCCマーク、日本のVCCIの法的証明が表示されています。 パソコンや液晶ディスプレイなど身近にあるものにも複数の国のマークが表示されていますのでご確認ください。

以上の通り、複数の国に輸出する可能性がある製品には、一括して各国の要求事項を満たすためのマークを表示することが一般的に行われていることがわかります。 オーストラリア国内においても同様に複数国の適合マークが表示されている製品が上市・流通していることは容易に想像できますので、CEマークなどの他国向けのマークが表示されていて問題になることは無いと考えます。

また、CEマーキングを実施する場合は基本的にはEUの要求事項に合わせて貴社の責任で自己宣言するか、製品のEC型式審査が必要な場合には認証機関(ノーティファイドボディ)の第三者認証を受けることになりますが、EU域内への輸出計画が未定であっても実施を妨げるものはありません。

以上よりEU向けでなくても顧客の要望によりCEマーキングを行うことは可能と考えます。


2.CEマーキングのメリット

CEマーキングを行った製品は、EU域内に上市、流通することが可能となります。 ここでいうEU域内とは、EEA(欧州経済領域)のことであり、以下のEU加盟27カ国(イギリス離脱後)とEFTA(欧州自由貿易連合)加盟4カ国からなる地域のことをといいます。


■EU加盟27カ国

ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン


■EFTA加盟4カ国

アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン

(ご存知の通りイギリスは2020年1月31日にEUを離脱しましたので個別の対応が必要となります。詳細は当サイト「Q584.EU離脱後のイギリスでのCEマーキング対応について」1)をご参照ください。)


したがいまして、ご質問のオーストラリア国内の企業が貴社製品をEU域内に販売することも視野に入れ、CEマーキングを要求していることも考えられます。 また、貴社製品にCEマーキングを行うことにより、EEA域内へ自社製品を上市することが可能になりますので、貴社のビジネス的にもメリットがあるのではないかと考えます。


3.CEマーキングを行なう場合に必要な対応

EU域内に貴社製品を上市する場合はEUのRoHS(II)指令(指令2011/65/EU)などの要求事項への対応は現地の輸入者が対応することになっていますが、当局の直接的な対応は輸入者の義務として行うとしても、技術的な内容は、製造者である貴社が対応することになり、製造者である貴社は輸入者に対して適合宣言書(DoC)や技術文書(TD)など必要文書を提供する必要があります。 したがいまして、EU域外向けの製品であってもCEマークを付けるのであれば適切な手順により適合宣言書、技術文書などを事前に整備する必要があります。


また、ご質問のオーストラリアの輸入者が様々なルートでEU域内に貴社製品を転売した場合、知らない輸入者から様々な情報提供を要求される可能性があるため、その点にも留意する必要があります。


以上より、オーストラリアの顧客の要求を安易に受け入れるのではなく、「EU域内への転売については貴社の承認が必要」といった契約を締結するなどの対応策を検討する必要があると考えます。

(詳細は当サイト2020年2月7日付けコラム 「製造者の出荷後の義務」2)を参照ください)


1) 当サイト Q584.EU離脱後のイギリスでのCEマーキング対応について

https://www.tkk-lab.jp/post/rohs-q584


2) 当サイト2020年2月7日付けコラム「製造者の出荷後の義務」

https://www.tkk-lab.jp/post/rohs20200207

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