top of page

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q602.Prop65の警告表示を行った場合のDeca-BDEの使用可否について

【質問】

カリフォルニアのRoHS規制はPBDEを制限していなので、Prop65の警告表示をすればDeca-BDEは使用できるのでしょうか。

 

【回答】

Deca-BDE(デカブロモジフェニルエーテル)は臭素系難燃剤の1種で、プラスチック、繊維製品、接着剤、シール材、コーティング剤およびインクなどに使用されています。自然環境で分解されにくく生物蓄積性も高い物質です。


Deca-BDEは200余の物質のPolybrominated diphenyl ether(PBDE)の一つです。Deca-BDEの規制はEU RoHS指令では2006年から始まっていますが、規制の統一は進まなく、2017年になってPOPs条約の附属書A(廃絶)物質に特定されました。


カルフォルニアRoHSは、重金属(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム)を制限しています。 注1)Deca-BDEは、Penta-BDE,OctaBDEとともに“AB-513 PBDE: prohibition.”により、電気電子製品には0.1%以上の含有を禁止されています。注2)


カリフォルニア州では化学物質規制に関する州法としてProp65が定められています。Prop65の対象物質リストには、Deca-BDEは収載されていなく、PBDEのpentabromodiphenyl ether mixture [DE-71 (technical grade)](異性体を含む)が発がん性で収載されています。注3)


Prop65は、含有制限ではなく、ばく露リスクの規制です。例えば、Penta-BDEは、0.1%以上含有させてはならなく、かつ、十分に低いばく露レベルでなければ警告表示の義務があります。 なお、Prop65は、リスト収載物質がsafe harbor levels”を超えるばく露を生じる場合に、警告表示の義務があります。Penta-BDEの“safe harbor levels”はリストには記載されていません。 リスト未収載物質について、警告表示をしてはならいとも明記されていません。 特に、” Shrt Form ”による警告表示は、物質名の記載義務がないため、安易に表示されがちです。(物質名表示義務については改正検討中)


アメリカの連邦法であるTSCA第6条(a)では化学物質およびその混合物の製造、加工、使用または廃棄が人の健康や環境に対して重大なリスクを与える場合には、そのリスクを無くすために、規制を行うことが定められています。 2016年の改定で新設されたTSCA第6条(h)では米国環境保護庁(EPA)は難分解性、生物蓄積性および毒性の高い(PBT)化学物質について、改正TSCAの施行日から3年以内に第6条(a)に基づく規則を提案し、その提案から18か月以内に最終規則を公示するべきと定めています。 その結果、Deca-BDEは、2021年1月6日に第6条(a)に基づきPBTとして特定されました。 DecaBDEおよび同物質を含有する混合物や成形品について、2021年3月8日以降は製造・輸入や加工が禁止されています。注4)


修正合衆国憲法第10条では州政府は下部単位ではなく、「憲法が合衆国に委任していない権限または州に対して禁止していない権限は、各々の州または国民 に留保される。」されています。 運用は、合衆国憲法や連邦法と州の憲法や法律が矛盾する場合には、合衆国憲法や連邦法が優先する。」としています。 Prop65と連邦法TSCAの関係は、TSCA第18条でTSCAより州法のProp65が優先されますが、PBTは第6条で、TSCAが優先とされてます。


カリフォルニア州では消費者製品から難燃剤化学物質の家庭へのばく露を最小限にする目的で家庭用家具に難燃剤化学物質の使用を禁じる法律(AB-2998)が制定されています。

潮流としては、Deca-BDEは使用制限が強化されます。 日本では、Deca-BDEは化審法で規制されていますので、意図的に使用した部品や材料の流通は無いとは思いますが、再生材には過去に合法的に使用していた残渣が懸念されます。 警告表示より調達部材の遵法体制の強化に注力することが肝要です。


以上のことをまとめるとご質問に対してはカリフォルニア州内におけるDeca-BDE への規制に関しては州法であるProp65よりも連邦法であるTSCAが優先されますので、カリフォルニアRoHSについては、Prop65の警告表示に関わりなく、TSCA第6条(h)に基づきDeca-BDEは使用できないと考えられます。


注1)


注2)


注3)


注4)




閲覧数:693回

最新記事

すべて表示

Q643.EU RoHS指令におけるPack27とPack22について

2024年04月12日更新 【質問】 EU RoHS指令でPack27のパブコメが行なわれました。 Pack22と重複しているようですが、Pack22は廃案になるのでしょうか。 ご教示ください。 【回答】 Pack27にはPack22の内容も一部重複していますが、Pack22の内容が全て破棄されるわけではありません。 RoHS(Ⅱ)指令1)において適用除外用途については、それぞれ有効期限が決められ

Q642.台湾電池規制に関する認可番号の取得について

【質問】 乾電池、ボタン電池を内蔵した産業用機械を台湾に輸入しようとしています。この電池が規制対象の電池の場合、この電池についてカドミウム、水銀の含有が無いデータを添えて、台湾当局に申請をして認可番号を取得する必要があるでしょうか? 【回答】 台湾では、「乾電池の製造、輸入、販売の制限」公告により1)、対象となる電池は、ご質問のように装置に組み込んで同梱する場合も含めて、指定分析機関での水銀及びカ

Q642.フランスのポリスチレン包装材の禁止法

2023年12月01日更新 【質問】 ポリスチレン包装材がフランスで禁止されると聞きました。 発泡スチロール容器も対象でしょうか。 【回答】 フランスの発泡スチロール容器の使用規制は「リサイクルできない」という条件があります。 貴社の販売方法などのビジネスモデルにより規制対象の該否が分かれます。 以下、規制内容をご紹介します。 §1 ポリスチレン包装材の規制 フランスのポリスチレン包装材は、環境コ

Comments


bottom of page