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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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RoHS指令附属書Ⅲの適用除外用途改正案

2018年08月10日

 RoHS(II)指令(2011/65/EU)では特定有害物質の使用を制限しており、その対象物質は附属書IIに収載されています(第4条)。鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭素化ビフエニルおよびポリ臭素化ジフェニルエーテルの6物質は、すでに使用が制限されていますが、フタル酸ビス(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)の4物質は2019年7月22日以降から使用が制限されます。


 RoHS(II)指令の附属書IIIとIVには、特定有害物質の使用が避けられない電気・電子装置(EEE)の材料および構成部品、すなわち、含有制限の適用を除外する項目が収載されています。これらの適用除外項目については、科学と技術の進歩により適合除外の項目の追加、見直し、修正および廃止がなされます(第5条)。適用除外の追加については、REACH規則が目的とする環境と健康の保護を弱体化させず、以下の条件が実現される場合には、追加が認められることになっています。


(1)附属書II収載のいかなる材料もしくは物質も必要としない設計変更または材料および構成部品による削減、代替が科学的、技術的に不可能。

(2)代替品の信頼性が不確実。

(3)代替により生ずる総合的な環境、健康および消費者安全の負の影響が総合的な環境、健康および消費者安全の便益それ自体を上回る。


 RoHS(II)指令が公布されて以来、欧州委員会は規定に従った多数の新規除外の認可と既存の除外の見直し要求を事業者から受けていました(第5条(3)と附属書V)。


 欧州委員会は、6月21日と6月22日に電気・電子機器に特定有害物質の使用を制限しているRoHS(II)指令の附属書IIIの適用除外のうち、鉛含有の適用除外を改正する委員会委任指令(Commission Delegated Directive)草案2件(「G/TBT/N/EU/579」1)と「G/TBT/N/EU/580」2))をTBT通報しました。

 なお、G/TBT/N/EU/597のコメント締切日は2018年8月20日、提案採択日は2018年9月、G/TBT/N/EU/580については、コメント締切日は2018年8月21日、提案採択日は2018年9月となっています。EU官報公示はTBT通報の採択の3カ月後と予想されます。

 提案されています2つの委員会委任指令は、EU官報公示後、20日目に発効するとされています。


以下に上記2つのRoHS指令の附属書IIIの適用除外用途見直し案の内容をご紹介します。


1. 内燃機関用の鉛含有ベアリング・ブッシュの適用除外に関する委員会委任指令案の概要(TBT通報G/TBT/N/EU/579)

 通報文書のタイトル:

 特定の非道路職業用途装置に適用されるベアリングとブッシュ中の鉛除外に関し、科学と技術の進歩を適用するために指令2011/65/EU(RoHS(II)指令)附属書IIIを修正する委員会委任指令草案


この委員会委任指令草案の改正背景は以下の通りです。


欧州委員会には、2015年7月に非道路職業用途装置のディーゼル、すなわち、ガス燃料駆動内燃機関のベアリングおよびブッシュへの鉛の適用除外申請(附属書IIIカテゴリー11)が提出されていました。

 移動式のエアコンプレッサ、溶接装置、クレーンなどの非道路用の職業用途の装置は使用環境が厳しく、この条件下で高い信頼性を確保することが要求されています。非道路用職業用途装置に求められる上記の使用環境に耐える鉛フリーの代替品は現状では市場では入手できません。この解決策としては、鉛を含有したベアリング・ブッシュの使用が必須の状況です。

 信頼性のある代替品がないため、非道路用職業用途装置エンジンに対して鉛の代替または削減は科学的、技術的に不可能な状況にあります。鉛使用の適用除外を認めた場合においてもREACH規則と一貫性があり、REACH規則が目的とする環境と健康の保護を弱体化させることはありません。

 ディーゼル、すなわち、ガス燃料が供給される内燃機関のベアリングとブッシュに使用される鉛の適用除外を、RoHS(II)指令附属書IIIに新規に42項として追加することを認可されるべきとの結論です。


なお、加盟国に対して本草案の内容を2019年7月21日までに必要な国内法を制定し、公布することを求めています。


表1 附属書IIIに42項として追加される内容


2.光線療法用ランプの蛍光体中の鉛の適用除外に関する委員会委任指令案の概要(TBT通報G/TBT/N/EU/580)

 通報文書のタイトル:

 蛍光体を含む放電ランプの蛍光パウダー中の活性剤としての鉛の適用除外に関し、科学と技術の進歩に適応するための指令2011/65/EU(RoHS(II)指令)附属書IIIを修正する委員会委任指令草案


この委員会委任指令草案の改正背景は以下の通りです。


 蛍光体に鉛を含有している日焼け用ランプとして使用される場合、放電ランプの蛍光バウダー(BaSi2O5:Pb)中の活性剤としての鉛(鉛の重量比1%以下)の使用は適用除外されており、附属書IIIの18(b)に収載されています。この適用除外の期限はカテゴリー1~7と10に対しては、2016年7月21日でした。

 欧州委員会には、上記の適用除外期限前の2015年1月21日以前に適用除外の更新の申請が提出され、適用除外は有効として継続しています。そのほかに、欧州員会は蛍光体含有の光線療法(医療用装置)として使用される放電ランプを附属書IVに追加されるべき新しい適用除外項目の申請が2015年1月に提出されていました。

 評価の段階で、光線療法用放電ランプは、日焼け用装置にも使用でき、その逆も可能であることが判明しています。その結果、附属書IIIの適用除外18(b)の除外評価においても、光線療法用ランプの鉛の適用除外要求とマージすることが決定されています。

EUでは日焼け装置は厳しく規制されており、鉛の代替品は信頼性、安全性および健康リスクに関する基準を実現しなければなりません。信頼性ある代替品がないため、蛍光体を含有している特定の放電ランプに対する鉛の代替および削除は科学的、技術的に不可能な状況です。鉛の適用除外はREACH規則と一貫性があり、REACH規則による環境と健康の保護を弱めることはありません。したがって、日焼け用ランプに使用されるとま、放電ランプの蛍光パウダー(鉛の従量比1%以下)中に活性剤としての鉛使用に対する除外は、見直されるべきです。

 関連する製品に対し、信頼できる代替品が市場に出ていないので、RoHS(II)指令附属書Iのカテゴリー1~7および10に対する除外は、2021年7月21日までの最長5年間有効期間が見直されることになっています。

 また、光線療法用(医療用途)が使用されているランプが、日焼け用装置への適合が可能であるという事実を考慮し、RoHS(II)指令の附属書IVの34項に収載されている製品を除く医療製品に対し、カテゴリー5および8が適用されるよう附属書IIIに新しくサブエントリー18(b)-1を追加し、有効期限は2021年7月21日までとることになっています。


なお、加盟国に対して本草案の内容を2019年7月21日までに必要な国内法を制定し、公布することを求めています。


表2 附属書III18(b)の修正と18(b)-1の追加の内容


1)http://tbtims.wto.org/en/RegularNotifications/View/142887?FromAllNotifications=True 2)http://tbtims.wto.org/en/RegularNotifications/View/142904?FromAllNotifications=True