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RoHS (Ⅱ) 指令Pack 15およびPack 17の除外申請に対する意見募集
2019年5月24日更新
RoHS (Ⅱ) 指令では以下の10物質を電気電子機器の均質材料あたり最大許容濃度超の含有が規制されています。
RoHS (Ⅱ) 含有制限物質

ただし、RoHS (Ⅱ) 指令の第5条において一定の条件に該当する場合、個別製品の材料/部品に対し10物質の許容濃度以上の含有を認め、附属書Ⅲ (すべての電気電子機器)およびⅣ(カテゴリー8の医療用機器とカテゴリー9の監視制御機器) に収載しています。
附属書ⅢおよびⅣ収載の除外の用途には原則として、最長除外期限が設けられており、附属書Ⅲ収載用途は5年、附属書Ⅳ収載用途の場合7年となっています。
また、RoHS (Ⅱ) 指令第5条において科学と技術の進歩に照らし、以下の (1) ~(3) の条件に該当しない場合には、附属書Ⅲ、Ⅳから当該電気電子機器の材料および構成部品が削除されます。
(1) 設計変更による除去、代替または上記10物質を必要とする材料、部品が科学的、 技術的に不可能
(2) 代替品の信頼性が確実でない
(3) 代替品の総合的な環境、健康および消費者安全の負の影響が総合的な環境、健および消費者安全の便益を上回る
逆に言えば以下の何れかの条件に該当する場合には当該電気電子機器の構成材料および構成部品は申請者からの見直しや新規要求に従って、許容濃度以上の含有が認められることとなります。
適用除外の許可、見直し、廃止の申請は附属書Ⅴにより欧州委員会に対して行わなければなりません。(適用除外の見直し申請は、適用除外期限の18カ月前まで)
欧州委員会は附属書Ⅲ、Ⅳに対する許可、見直し等を受理した場合、プロジェクト毎に評価 (Technical Study)を行って対処しています。
プロジェクト評価の委託先については、欧州委員会が入札により委託先の決定を行っています。今回のプロジェクトにおいては以下にご紹介しますようにOeko-InstitutおよびFraunhoferIMZに委託され、申請者からの意見聴取やステークホルダーからの意見募集等を行い、欧州委員会がOeko-Institutからの中間およひ最終評価報告書を求め、結論をまとめ総合的に判断を下し附属書Ⅲ、Ⅳ収載内容の見直し、廃棄、追加等の管理を行っています。
現在Oeko-Institutが欧州委員会から委託されている進行中の3つのプロジェクトのうち、 2つのプロジェクトPack15及びPack17の適用除外に対する申請者からの6つの適用除外延長および新規の適用除外要求についてOeko-Institutはステークホルダーコンサルテーション募集 (1) を行っています。
このステークホルダーコンサルテーションはPack 15およびPack 17両プロジェクトにおいて評価されている適用除外に対する6つの要求に対するステークホルダーからの意見募集で募集期間は2019/3/18~2019/5/13の8週間 (2)となっています。
なお、もう一つのPack16プロジェクトは特定業界用途の除外であり本コラムでは割愛しています。
上記6つの除外要求は既存除外である附属書Ⅲの適用除外39a及び附属書Ⅳの適用除外31a(3)の更新 (renewal) 要求で、その他の要求は、新規の除外要求となっています。このステークホルダーコンサルテーションでは、できるだけ事実に基づいた評価を実施することが可能なように関係者に参加してもらうことを狙って実施されています。 提出された意見の中で企業機密以外の情報はEUのCIRCA Websiteから以下の手順により公開情報が検索できます。
CIRCA website (Browse categories > European Commission > Environment > RoHS Evaluations, at top left, click on "Library").
参考までに、以下にPack 15とPack 17プロジェクトの概要を紹介します。
1. Pack 15プロジェクト(4) プロジェクトは、2017年12月29日から2019年6月28日までの18ケ月実施される予定で、3つの要求が提出されており、その中の2つはそれぞれ別の申請者からの附属書Ⅲ除外39aの更新 (renewal) 要求で残りの申請は類似の用途に関する新規の除外要求となっています。 39aの更新要求は以下です。
「表示照明製品に使用されるカドミウムベースの半導体ナノクリスタル量子ドットのダウンシフトにおけるセレン化カドミウム (表示スクリーン領域mm2あたりCd 0.2μg以下)」
ステークホルダーコンサルテーションに必要な情報 (オリジナルの要求用途、質問票、前回の評価結果等) は、EUのCIRCA Websiteに掲載されています。
2. Pack 17プロジェクト(5) プロジェクト期間は、2018年12月12日~2019年8月11日で、RoHS (Ⅱ) 指令の附属書Ⅳに関する3つの要求を含んでいます。
その中の1つは既存適用除外31aの更新 (renewal) 要求で、他の2つは新規の除外要求です。
・附属書Ⅳ適用除外31aの更新要求 再利用が監視可能なクローズドループの企業間回収システムにおいて再利用され、そ の再利用したことを顧客に通知する場合、医療機器 (体外診断用医療機器およびその付 属品を含む) から回収され、修理または改修に使用されるスペアパーツ中のDEHP、 DBP、DIBP、BBP
・新規要求 2019-1
人間の体液中のイオン性物質のポイントオブケア診断のためのイオン選択電極中の DEHP
・新規要求 2019-2
MRIイメージコイルへのケーブル接続の損傷予防に使用されるプラスチック製ストレイン リリーフ装置中のDEHP
2019年5月13日に締め切られるステークホルダーコンサルテーションでの意見内容も加味して、Oeko-InstitutはPack 15およびPack 17の附属書Ⅲと附属書Ⅳに対する申請者からの除外製品の見直し、新規適用除外要求に対する中間報告書および最終報告書を欧州委員会に提出することとなっています。この報告書に基づきPack15およびPack17で検討されている適用除外の見直し、新規要求に対する欧州委員会の見解がまとめられ、委員会委任指令として官報公示されることとなります。
(瀧山 森雄)
引用
(1)
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=307
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=316
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=308
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=309
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=310
(3)
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:02011L0065-20171211
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32016L0585