当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

EU RoHS(Ⅱ)指令カテゴリー11製品の適用時期が迫っています

2019年6月20日更新

1.現行RoHS(Ⅱ) 指令の定義と適用製品カテゴリー

現行のRoHS(Ⅱ)指令 (Directive 2011/65/EU(1) 以降「RoHS (Ⅱ) 指令」) は、適正に動作するために電流/電磁界に依存し、定格電圧が交流1000V以下、直流1500V以下で使用されるよう設計されているすべての電気電子製品 (以降「EEE」) に適用されます。


電流/電磁界に「依存する」とはEEEに関して少なくとも1つの意図された機能を果たすため電流または電磁界を必要とすることを意味しています。


RoHS (Ⅱ) 指令では 附属書Ⅰに規定されている以下の11カテゴリーのEEEに適用されます。


(1) 大型家庭用電気製品

(2) 小型家庭用電気製品

(3) 情報および通信装置

(4) 消費者用装置

(5) 照明装置

(6) 電気電子工具

(7) 玩具。レジャーおよびスポーツ用品

(8) 医療用装置

(9) 監視よび制御装置

(10) 自動販売機

(11) 上記範疇に含まれないその他のEEE


旧RoHS指令 (Directive 2002/95/EC(2) 「以降 RoHS (Ⅰ)」) においては、上記11カテゴリー中の(1) ~ (7) およびカテゴリー (10) が適用範囲で、カテゴリー (8)、(9) および (11) は適用対象に含まれていませんでした。


2.カテゴリー8および9およびカテゴリー11EEEへのRoHS (Ⅱ) 指令適用について

カテゴリー8、カゴリー9およびカテゴリー11のEEE対しては第4条3項で以下のように

RoHS (有害物質の非含有規制) 適用時期が猶予されています。


(1)医療装置と監視および制御機器に対しては、2014年7月22日以降上市分から適用。

(2)対外診断医療装置に対しては、2016年7月22日以降上市分から適用。

(3)産業用制御装置については、2017年7月22日以降上市分から適用。

(4)RoHS(Ⅰ)指令の範囲外であったその他のEEEは2019年7月22日上市分から適用。


3.カテゴリー11製品へのRoHS(Ⅱ)指令の適用猶予

第4条(予防)の5項 (ea) にカテゴリー11EEEのRoHS(Ⅱ)指令適用猶予期間が以下のように規定されています。


2019年7月22日以前に上市されたRoHS(Ⅰ)指令の適用範囲外であったすべての他のEEEには修理、再使用、機能の更新および能力向上のためのケーブルまたはスペアパーツには附属書Ⅱ収載物質の非含有は適用されない。


カテゴリー11EEEの適用猶予期限である2019年7月22日も残すところ約1ケ月と迫ってきました。


RoHS (Ⅱ) 指令ではカテゴリー11が追加されたことによりすべてのEEEが適用範囲(オープンスコープ)となりましたが、RoHS(Ⅱ)指令においてカテゴリー11製品が適用対象EEEとなった背景にはRoHS (1) 指令におけるEEEの定義とRoHS (Ⅱ)指令における定義が以下のように見直されたことによります。


すなわち、RoHS (Ⅰ) 指令の定義おいては適用対象EEEが意図された主要機能を果たすために電流/電磁界を必要とするEEEとなっていました。


しかし、RoHS (Ⅱ) 指令においてはEEEの定義が1項に記載していますように「少なくとも1つの意図された機能を果たすため電流/電磁界を必要とする」と定義されたため、RoHS (Ⅰ) 指令では適用外であったEEEについてもRoHS (Ⅱ) 指令において適用対象となり、カテゴリー1~10に該当しないカテゴリー11EEEとして、例えば「コネクターがケーブル片側のみに接続されているかコネクターの接続がない単独で上市されたケーブル」や「電気的機能を有する金庫」等があげられます。


4.2019年7月22日の意味すること

カテゴリー11製品は2019年7月22日以降の上市分からRoHS (Ⅱ) 指令が適用となります。「上市」等については、第3条(定義) (11) および (12) において以下のように定義されています。


(11) 「市場で利用可能にする」とは、有償もしくは無償で商業活動の過程において共同体市場で流通、消費または使用のためにEEEの供給を意味する。 


(12) 「上市」とは、共同体市場において初めてEEEを利用可能とすることを意味する。


2019年7月22日までRoHS(Ⅱ)指令の適用が猶予されているカテゴリー11EEEがEU域内の輸入者や日本メーカーのEU支社等に在庫として保管されている場合は、それらのEEEは上市とはみなされないことに注意が必要です。

それらのカテゴリー11EEEは2019年7月22日以降に上市するためにはRoHS(Ⅱ)指令への適合していなければ上市できません。


5.RoHS (Ⅱ) 指令適用対象EEEへのEU適合宣言とCEマーキング要求

RoHS(Ⅱ)指令では適用対象EEEに対しEU適合宣言、CEマーキング等が製造者や流通業者に以下のとおり要求されています。


第7条 (製造者の義務) において製造者には以下の義務が課せられています。


(a) 附属書Ⅱ収載物質非含有要求に従った設計、製造を確実にする。

(b) 技術文書を作成し、決定 No 768/2008/EC附属書ⅡモジュールAに従い内部生産管理手続きを実施もしくは実施させる。

(c) EU適合宣言書を作成し完成品にCEマーキングを貼付する。

(e)技術文書とEU適合宣言書はEEE上市後10年間保管すること。

(f)適合性存続のためのシリーズ製品の手順を定めること。

(g)製品特定のための型式、バッチまたは製造番号をEEEに貼付。

(h)名称、登録商標名/登録商標および連絡先住所をEEEに表示

(i)上市したEEEが非適合である場合、適合させる、市場から引上げ、リコール等の措置の実施、加盟国的確当局への通報と結果の報告

(j) 当局からの要求に対し、EEEが指令に適合するために必要な情報/文書の提供と指令への適合するための当局との協力


第10条(流通業者の義務) には以下が規定されています。


(a) 市場で利用可能となる加盟国の消費者/最終使用者が理解できる言語で文書を作成し、

EEEに型式、バッチまたは製造番号、連絡先住所等やCEマーキング要求に従っていることを検証し適用可能な要求に注意して行動する。

(b) EEEが附属書Ⅱ収載物質非含有に適合していないことを確信するかそう信ずる理由がある場合には、適合するまで市場で利用可能としてはならずその結果を製造業者、輸入業者および市場監視当局に通知すること。

(c) EEEが指令に適合していない場合、指令に適合させる、市場から引上げ、リコール

等の措置を適切に行い、EEEを利用可能とした加盟国的確当局に非適合と修正措置について通報のこと。

(d) 当局からの要求に対し、指令へのEEEの適合を証明するため必要な情報/文書を提供し、自らが利用可能としたEEEが本指令に適合することを確実にするために採用された行動について当局と協力すること。

上述のとおりRoHS(Ⅱ)指令においてはNew Approach指令への適合が要求されています。


6.まとめ

2019年7月22日以降EU市場に上市されるRoHS (Ⅱ) 指令カテゴリー11のEEEは本指令への適合が既に適用されている1~10のカテゴリー製品と同様にRoHS (Ⅱ) 指令への適合が要求されます。4項において述べましたとおり仮にEUの輸入業者あるいは日本企業の現地法人において本指令に未適合のカテゴリーEEEが在庫として保管されている場合には注意が必要となります。2019年7月22日以降に上市するカテゴリー11のEEEについては5項記載への対応製品でなければ輸出先国の当局による摘発を受け市場からの引上げやリコール等の対応が求められることとなります。


(担当: 瀧山 森雄)


(1)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32011L0065&from=EN (2)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/HTML/?uri=CELEX:32002L0095&from=EN

0回の閲覧

© 2011-2019  一般社団法人東京環境経営研究所

  • Facebook - White Circle
  • YouTube - White Circle
  • アマゾン - ホワイト丸