当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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玩具中のアレルギー性芳香剤の表示に関する玩具指令附属書Ⅱを修正する委員会指令草案

2020年04月10日更新

EU玩具指令 (Directive 2009/48/EC) は、2011年7月20日に施行され、RoHS指令、低電圧指令、電磁両立指令等と同様New Legislative Framework (NLF) が適用されます。 そのため整合規格に則り技術文書の作成、適合宣言を行い上市前にCEマーキング貼付が要求されています。

玩具指令は、玩具の製造者に対して以下を義務付けています。(第4条)


1. 製造者は玩具が基本的安全要求 (第10条)および特定安全要求 (附属書Ⅱ) に従って設計、製造しなければならない。

2. 技術文書を作成 (第21条) し、適合性評価手順を実行しなければならない。(第19条)当該手順により玩具のコンプライアンスが実証される場合には、EC適合宣言書を作成し (第15条)、CEマーキングを玩具に貼付しなければならない。(第17条(1))

玩具の基本安全要求 (第10条)


1. 玩具が基本安全要求 (第10条(1) 第2文節) および特定安全要求 (附属書Ⅱ) に従っていない場合、加盟国はそれらの玩具が上市されないようあらゆる措置をとらねばならない。

2. 化学物質含有玩具が設計した意図どおりにそして想定した子供の振舞方法で使用される場合、使用者または第三者の安全が妨げられてはならない。特に36ケ月未満の子供やその他特定の年代グループが使うよう意図された玩具の場合、使用者やその監督者の能力が考慮されねばならない。

貼付ラベルや取扱説明書が玩具使用中の有害性や危害のリスクや有害性とリスクを回避する方法が使用者やその監督者の注意を喚起するようにしなければならない。


(第11条 (2) )

3. 上梓された玩具は通常、予測された使用期間中、基本安全要求を満たさなければならない。

特定安全要求 (附属書Ⅱ) は、パートⅠ(物理機械的特性: Physical and Mechanical Properties)、パートⅡ(可燃性 : Flammability )、パートⅢ (化学的特性: Chemical Properties)で構成されており、それぞれのカテゴリーでの安全設計、製造等の要求がなされています。

今回のコラムでは、欧州委員会が玩具指令の附属書ⅡパートⅢ、11項第3文節を修正する委員会指令の草案を公開しました内容を紹介します。

意見募集は2020年3月20日~4月3日に実施されています。

草案のタイトルは「玩具中のアレルギー性芳香剤の表示に関するEU議会と理事会の指令2009/48/EC附属書Ⅱを修正する委員会指令 (EU) ----- / ----- of XXX 」で、当該草案は本文と附属書で構成されています。(注1)

上記草案の概要は以下のとおりです。

草案本文の前文には以下が述べられています。


(1) 玩具指令は、玩具または部品に含まれる芳香剤濃度が100mg/kg以上場合、玩具、貼付ラベルおよび包装または付属リーフレット上にその名称の記載を義務付けている11種のアレルギー性芳香剤を規定している。

それら11種のアレルギー性芳香剤は指令の附属書ⅡパートⅢの11項第3文節に収載されている。


(2) 消費者安全に関する化学委員会 (The Scientific Committee on Consumer Safety : 以降「SCCS」) は、化粧品の独立リスク評価組織として委員会を支援し、2012年7月26日と27日の意見 (注2) において芳香剤への接触アレルギーは欧州では重要で妥当な問題であり玩具その他の消費者製品の使用からも芳香剤へのばく露が生ずることを述べている。更に、SCCSは近年子供用玩具のような多くの消費者製品に芳香性物質を添加することがトレンドとなっており、経皮ルートによる芳香剤ばく露が増えていることに言及している。SCCSは、消費者は化粧品、その他の消費者製品、薬学および職業ばく露からの広範で多様な芳香性物質にばく露していることおよびそれらのばく露は重大なばく露源ではないものの分野ごとの累積ドースが接触アレルギーという面においては重要であると付言している。当該意見において、人に対して確定されている多数の接触アレルゲンを表13-1に収載している。


(3) デンマーク環境保護局により実施されている子供向け製品のアレルギー反応誘発性物質の調査はモデリングクレイ (模型粘土) 、スライム、人形、テディベアおよびゴムバンド等の玩具中にアレルギー性芳香剤の存在を示している。(注3)


(4) 玩具安全専門家グループは、玩具安全分野の法令提案と政策イニシャテイブの準備を委員会にアドバイスしている。

そのサブグループ (サブグループケミカルズ) のミッションは玩具に使用される化学物質に関するアドバイスを提供することである。


(5) 玩具安全専門家グループは、2019年9月13日の会合において化粧品や玩具に存在しているか否かに拘わらず、アレルギー性物質はいつでもアレルギー性であるということを想起した。

いわゆる物質固有の性質は物質用途とは関係なく、それ故に化粧品や玩具にアレルギー性物質が使用されているかどうかに関わりなく存在している。

その結果、専門家グループは化粧品にリスクを呈するアレルギー性物質は玩具に対しても同様にリスクをもたらすと見ている。玩具中のアレルギー性物質を規制する場合、SCCSおよび以前の委員会の化粧品中のアレルギー性物質に関する意見の重要性を徹底して考慮すべきことを強調した。(注4)


(6) 2018年5月3日のサブグループケミカルズの会合で大多数のメンバーは2012年7月25日、26日のSCCSの意見における表13-1に収載されている人に対する接触アレルゲンは指令2009/48/EC附属書ⅡのパートⅢの11項第三文節の表に規定されている玩具、貼付ラベル、包装または付属リーフレットへの表示対象アレルギー性芳香剤に追加すべきであると結論付けている。(注5)


(7) 2019年9月13日に玩具安全専門家グループはサブグループケミカルズの結論を確認した。


(8) 上記会合で玩具安全専門家グループは玩具指令附属書ⅡのパートⅢ、11項第3文節の表エントリー4のシトロネロール CAS No 106-22-9 は2つのエナンチオマー(鏡像異性体)の混合物 (mixture) のみをカバーしていることを述べた。専門家グループによれば、表示要求は2012年6月26日、27日のSCCS意見の表13-1の2つの個々の異性体 CAS No 1117-61-9、7540-51-4もカバーすべきであるとしている。


(9) 2019年6月26日、27日のSCCSの意見および2019年9月13日の玩具安全専門家グループの意見に照らして、2019年6月26日、27日のSCCSの意見の表13-1に収載されているアレルギー性芳香剤は玩具に存在しているときには表示要求にしたがうべきである。玩具指令で未だ禁止または表示要求に従っていない芳香剤は、指令附属書ⅡパートⅢの11項第3文節の表に含まれるべきである。


(10) 指令2009/48/ECは修正さるべきである。


(11) 本指令で規定される措置は指令2009/48/ECの第47(1) 条で確立されている委員会の意見に従う。

条約草案本文

第1条

玩具指令2009/48/ECの附属書Ⅱは本指令の附属書により修正される。

第2条

加盟国は、官報公示後、最遅18月までに本指令に準拠すべく必要な法律、規則および行政規則を採択、公布しなければならない。

加盟国は、それら規定のテキストを直ちに委員会に通知しなればならない。

加盟国は、当該規定を官報公示の18ケ月+1日後から適用しなければならない。

以下略

第3条

本指令は、EU官報交付の20日後に発効する。

第4条

草案附属書

(1) エントリー4は以下に置換えられる。

アレルギー性芳香剤名称  シトロネロール (Citronellol)

CAS number 106-22-9, 1117-61-9, 7540-51-4

(2) 以下のエントリーが追加される。

現行では11エントリーであるが、12~72まで61物質が追加されている。

(内容は省略)

(瀧 山 森雄)

(引用)

(注1)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=PI_COM:Ares(2020)1374538

(注2) https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_102.pdf

(注3)

https://www2.mst.dk/Udgiv/publications/2016/08/978-87-93529-00-7.pdf

(注4)

https://ec.europa.eu/transparency/regexpert/index.cfm?do=groupDetail.groupMeeting&meetingId=17996

(注5)

https://ec.europa.eu/transparency/regexpert/index.cfm?do=groupDetail.groupMeetingDoc&docid=19025.

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