当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q582.設計変更した場合の適合宣言について

2020年07月31日更新

【質問】

当社はEUに電気電子機器を輸出しています。 輸出するに際し、RoHS(II)指令に対する適合宣言を輸出先に実施済です。 今回、設計変更を行うことになりましたが、設計変更を行った場合、適合宣言をやり直す必要はあるのでしょうか。

【回答】

RoHS(II)指令(2011/65/EU)では2013年1月3日以降に上市する製品に対して、CEマーキング制度が適用され、RoHS(II)指令対象製品はCEマーキングにより、RoHS(II)指令に適合している旨の表示が義務化されました。


RoHS(II)指令第7条では製造者の義務が規定されています。同条(b)項で「製造者は要求される技術文書(TD)を作成し、決定768/2008/ECの附属書IIのモジュールA(Internal production control:内部生産管理)により、内部生産管理手順を実施するか、または実施させること」としています。 モジュールAでは、リスクアセスメントを基とした内部生産管理と技術文書作成を行い、自己宣言を行うことが規定されています。 また、RoHS(II)指令の順守を宣言するために整備する必要がある技術文書は、整合規格EN IEC 63000に定められています。

ご質問の設計変更の対応につきましては、RoHS(II)指令第7条の(e)項で「製造者は、適合性を存続するためシリーズ製品に対する手順が決まっていることを確実にすること。製品設計または特性の変更およびEEEの適合性が宣言されるため参照している整合規格又は技術仕様の変更が適切に考慮されなければならないこと」と記述があります。


また、RoHS指令などのCEマーキング対応のガイドである「ブルーガイド2016」1)の2.1項(製品の適用範囲)では、「製品本来の性能、目的または型式を変更することを目的として、重要な変更をした製品は、新製品として見なされる可能性がある。変更を実施する者は製造者と見なされ、それに相当する義務を負う」(部分訳)とあります。


したがいまして、適合宣言を行い上市したRoHS(II)指令対象製品を継続的に生産・上市するためには、自社が行う仕様変更や、RoHS(II)指令が改訂されるごとに変更管理を行い、必要に応じて適合宣言書の内容を更新する義務があります。

具体的には以下の対応が必要と考えます。

1.変更管理の手順書を作成(整合規格 EN IEC 63000 4.3.4項の要求事項)

自社製品の製品含有化学物質に影響する可能性のある変更を抽出し、変更管理の対象とすべきかどうかを、製品含有化学物質への影響の観点から検討するための手順を決定し、手順書として社内に共有します。

2.変更管理の実施

使用する材料の変更や製造方法などに変更がある場合には、作成した変更手順書にしたがって評価を行い、その結果、再評価が必要と判断された場合には前述のモジュールAに基づき評価を行い、技術文書を更新し適合宣言をやり直します。

また、近年はサイレントチェンジによる製品事故が問題になっています。 4)サイレントチェンジとは、発注元の企業に無断でサプライヤーによって部品の素材等の仕様が変更されてしまうことです。 サイレントチェンジが行われた部品を使用した製品は、性能不足や早期劣化により本来の性能を発揮できない可能性があります。


整合規格 EN IEC 63000 4.3.5項では「技術文書が有効であるかどうかを確認するために、定期的なレビューを実施すること」を要求しています。 自社内の設計変更などによる変更管理だけではなく、サイレントチェンジ対策としてサプライヤーに対する契約内容の確認や、品質検査などを定期的に実施する仕組みを構築する必要があると考えます。

参考資料

1.EU製品規則の実施に関するブルーガイド2016(原文)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52016XC0726(02)


2.自己宣言のためのCEマーキング適合対策実務ガイドブック(EU)(2018年3月)(日本貿易振興機構ジェトロ発行)  

https://www.jetro.go.jp/world/reports/2018/02/34c198d9628fe97f.html


3.RoHS(II)指令(2011/65/EU)(和訳)(一般社団法人 東京環境経営研究所発行 瀧山森雄)

http://ecoken.eco.coocan.jp/photo/15/RoHStranslation201604.pdf

4.身近に潜むサイレントチェンジについて(nite:製品評価技術基盤機構 製品安全センター発行)

https://www.nite.go.jp/data/000087880.pdf

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