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ショートコラム:BrexitとRoHS指令のCEマーキング
2019年5月6日更新
U離脱後の英国は、「REACH規制やRoHS指令への批准は継続するのか?」「独自の規制をする可能性はあるか?」などのお問い合わせがきています。
このなかで気になるCEマーキングに代わるUKCAマーキングについて解説します。
ヨーロッパの歴史は戦争と言われほど、戦争が多く、戦争と戦争の間の平和の間は、外交交渉で凌を削っている印象です。この外交交渉は手練手管で日本人には付いていけない点が多々あります。
英国のEU離脱は2019年3月30日の離脱予定でしたが、政治的決着がつかなく2019年5月時点で10月末に延期になっていますが、これも綱引き状態です。
REACH規則など化学物質規制のBrexit の対応については、ECHAでも特別なページ1)を用意し情報を提供しています。英国は、離脱後、英国内で(少なくとも一時的に)EUの法律を有効にする予定であるため、英国の法律の改定に従うべきとしています。
英国に本拠を置きEU27ヶ国とビジネスをしたい場合、EU27ヶ国に本拠を置き英国とビジネスをしたい場合などにより対応は様々です。
このような動きのなか、英国は、EU離脱後のREACH規則の国内法案2)を告示しています。
RoHS指令についても、CEマーキングによる適合性宣言について、合意なき離脱の場合の方針を告示3)しています。
告示では、当面CEマーキングの使用が認められ、一定期間後にUKCAマーキング4)に移行するとしています。
REACH規則は”Regulation”で、EU加盟国すべてについて、登録や認可などECHAが主管します。この部分は、Brexitは英国国内法で対応を明確にしなくてなりません。
一方、RoHS指令は、指令に基づいて国内法を整備していること、CEマーキングはモジュールA(内部生産管理手続)でNB(Notified Body)の関与は不要ですから、REACH規則とは状況が異なります。
英国は、EU RoHS指令の特定有害物質や用途の除外を受け入れ5)ており、REACH規則と異なり、企業対応は大きな負担はないようです。
「ガイダンス:英国が合意なくEUを離脱した場合のUKCAマーキングの使用」6)で、次の記述があります。
現在CEマーキングの自己申告にのみ依存している場合は、マーキングの範囲内の製品について、自己申告に基づくUKCAマーキングを使用することもできます。
このような場合、どちらかのマーキングを使用することも、同じ製品にUKCAとCEの両方のマーキングを使用することも可能です。
CEマーキングと同様に、技術文書を作成し10年間の保管、適合宣言(DoC)などが要求されます。ただし、使用言語は英語でなくてはなりません。
UKCAマーキングは、高さが5mm以上で、容易に判読できて、消えないことが要求されます。UKCAマークキングは製品自体に添付する必要がありますが、場合によっては、包装、マニュアル、またはその他の補助資料に記載されていることもあります。
Brexit後もRoHS指令のCEマーキング/ UKCAマーキング対応は、NBの関与が要求されていないので、大きな負担なく移行できるようです。
(松浦徹也)
引用
1) https://echa.europa.eu/uk-withdrawal-from-the-eu
2)http://www.legislation.gov.uk/ukdsi/2019/9780111178034/pdfs/ukdsi_9780111178034_en.pdf