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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q715.日本からEUへ輸出した部品の包装材に関する拡大生産者責任について

  • 執筆者の写真: tkk-lab
    tkk-lab
  • 12 時間前
  • 読了時間: 3分

2025年05月16日更新

【質問】

EUの会社の装置に部品を組み込むために日本の会社からEU域内の会社に部品を輸出しその際に部品の送付に包装材が使われた場合、包装材に関する拡大生産者責任はだれにかかるのでしょうか?

_________________________________________

【回答】

EU域外から提供される包装材に対する拡大生産者責任(Extended Products Responsibility 以下EPR)は、包装および包装廃棄物指令(Packaging and Packaging Waste Directive 以下PPWD 1))及び廃棄物指令(Waste Framework Directive 以下WFD 2))に基づき、EU各国の国内法で規制されています。輸入品に対するEPRは、多くの国で輸入者に義務付けられており、輸入国での規制に対応する必要があります。


PPWD第3条で、「包装とは、原材料から加工品まで、生産者から使用者または消費者に至るまで、商品の収容、保護、取扱い、配送および陳列のために使用される、あらゆる性質の材料で作られたすべての製品を意味する。」と定義されています。

また、EPRの枠組みについては、PPWD第3条2c及び第7条でWFDの第3条の定義を適用し第8条及び8条aに従って2024年12月末までに各加盟国が適切な回収・リサイクルの枠組みを確立するとしています。

WFD第8条では、「廃棄物の再利用、抑制、リサイクルその他の回収を強化するため、加盟国は、製品を専門的に開発、製造、加工、処理、販売または輸入する自然人または法人(製品の生産者)が拡大生産者責任を有することを確保するための立法上または非立法上の措置を講じることができる。」としています。


従って、対象となる包装の範囲、及び輸入品に対するEPRの対象者など具体的な規制内容は、加盟国での国内法規制によることになります。

例えば、ドイツでは、包装法(Verpackungsgesetz VerpackG)の第3条14項に輸入者は製造者と見なすと規定してEPRの対象としています。

包装の対象はPPWD第3条の定めと同じ内容で幅広い包装材としています。VerpackG第7条により、包装材を使用する事業者はLUCID包装登録を行い、データの報告を行う義務があります。

フランスでは、環境法典L541-10において、対象となる製品カテゴリーの輸入者をEPRの対象者としています4)。

包装に関する製品カテゴリーでは家庭用向け製品のみがEPRの対象でしたが、法改正により2025年1月1日から家庭用以外にも対象が拡大されました5)。輸送用も含め事業者向け包装もEPRの対象となりました。


ご質問の部品梱包に使用する包装材に対するEPRは、輸入国における国内法を確認する必要があります。EPRの対象でありかつ輸入者の責任としている可能性が高いと推測されます。


なお、2025年1月22日に包装および包装廃棄物規則(Packaging and Packaging Waste Regulation 以下PPWR)が公示されました6)7)。2026年8月12日から段階的に施行されます。

EPRに関しては、PPWR第45条にあり、対象者に輸入者が明記されています。内容は、PPWDを踏襲していますが、今後加盟国において国内法の見直しの可能性が想定されますので、注意が必要です。



1) 包装材及び包装廃棄物指令(Directive 94/62/EC)


2) 廃棄物指令 Directive 2008/98/EC


3) 包装法(Verpackungsgesetz VerpackG)


4) 環境法典(Code de l'environnement) L541-10


5) 環境法典(Code de l'environnement) L541-10-1


6) 包装材及び包装廃棄物規則((EU) 2025/40)


7) 包装および包装廃棄物規則(PPWR)の概要

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